運動負荷誘発下壁虚血に伴うBezold-Jarish reflex
運動負荷Tl心筋SPECT(上)とその時の心電図および心拍数とST低下のトレンド(下)
Sakai C et al ; Ann Noninvasive Electrocardiol ;00:e12759 ; 2020
💚 解説
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50才代男性、虚血は生じそうもない症例と思いながら運動負荷を続けていた。
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100Wまで負荷をかけた時、モニター音で心拍数が減少するのに気がついた。
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症状はないが、心電図では下壁誘導でSTが低下しており、この時点でTlを静注した。
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予想通り、SPECT像は負荷直後で下壁が中等度に集積低下し、後期像で再分布している。
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冠動脈CTで狭窄はなく、運動で誘発された右冠動脈のspasmと考えられる。
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心拍数の低下は下壁虚血によりBezold-Jarish
reflexを生じたことによると推察される。
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40000例の運動負荷心電図の検討で、心拍数減少を呈したのは7例であり、すべてが右冠動脈病変であったとの報告がある。
- 迷走神経分布が左室下壁に多いことが関係するとされる。
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うら話
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松下記念病院循環器内科ではBezold-Jarish reflex
に大変興味を示し、多くの論文を発信している。心拍数低下時に下壁誘導のST低下を確認し、SPECT像での下壁の集積低下を祈ったところそれが通じ、論文になることを確信した。
日常診療では五感を駆使することも大切である。
※「輝きを放つ一枚」の過去の投稿は
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(投稿者 杉原)
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