異物を食べてERに搬入された症例
👄 異食症(Pica)
- 非栄養かつ非食用の物質を繰り返し摂食する状態のこと(厳密には少なくとも1月以上持続)
- 氷・土・粘土・毛髪・洗濯ノリ・プラスチック・石ころ・段ボール・金属類・糞尿など多彩
- 栄養不良(鉄や亜鉛欠乏など),妊娠,ストレス,精神疾患,発達障害,認知症などが原因
- 原疾患への対応かつ心理社会的・環境的アプローチ(リスクがある物質の除去)などを行う
🐦 現場実況
- 本例には認知機能障害があり,ベットの周囲に置いてあった紙おむつ内の高分子吸水材を食べていたようです.咀嚼時に水分を吸収したためか,胃や食道内では膨らんだゼリー状でした.緊急の内視鏡検査での回収は極めて困難でしたが,その後の経過は順調で特に問題は生じませんでした.
- 紙おむつや生理用ナプキン等の高分子吸水材に毒性はなく,ゼリー状になったものを嚥下しても体内で水分を吸収せずにそのまま排泄されるようです(日本衛生材料工業連合会).カメラでの回収が困難であったを考慮すると,バイタルサインが落ち着いているようなら経過観察でもいいのかも…
- 異食症は紀元前の医師であるヒポクラテスの時代からすでに知られていたようです(Psychiatr Pol 2016;50:497-507).ちなみに英名のpicaは,鳥のカササギを意味するラテン語pīcaに由来します.カササギは何でもかんでも食べてしまうことで有名だそうです(※)😱
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(投稿者 梶/川崎)
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