右房・左房の描出
各種右心負荷疾患(上)と高血圧性心不全末期症例(下)の安静時Tl心筋planar正面像
Adachi et al : J Nucl Med ;21:914-918 ,1980
💚 解説
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アナログカメラの時代にAdachiらが右心負荷疾患で右房(右心耳)が描出される(上)ことを最初に報告した。
- その機序として右心負荷疾患ではrotationにより右房が前胸壁に近づく(ガンマカメラに近づく)要因が大きいと推定している。
- 最近ではデジタルカメラの性能が向上し、右房描出はよく見られるようになったが、右房負荷がある病態が示唆されることが多い。
- 特に心房細動では高頻度である。
- 下図は高血圧性心不全末期症例のplanar像であるが、著明な左室拡大に加え、右室もよく描出され、右房が見えている。左室の上部はおそらく左房と思われる。
- 本例には心房細動があった。
- 右室負荷疾患(圧負荷/容量負荷)では右室が明瞭に描出され、右室圧の推定に寄与すると報告している。
- 高齢者ほど右房の描出される割合が増加することも報告している。
- 本例はさらに左房が見えていると推定される。
- Tlで左房描出と思われるplanar像の経験は数例であるが、現時点では“思われる”までで確認することはできなかった。
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ひとり毎
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カンファレンスで右房の描出が明らかな時、この症例は心房細動があると思うと言うと驚かれることがあるが、よくあたる。
- FDG-PETにおいても心房細動で心房描出がよく認められるとの話がある。
- 心筋イメージングではあまり見向きもされない心房であるが、読影時に描出の有無とその意義も考慮してほしい。
※「輝きを放つ一枚」の過去の投稿は
コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)
(投稿者 杉原)
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