左室のびまん性壁運動低下を認める2症例の心臓MR(造影)
💟 解説
- 症例Aは下壁に遅延造影(=線維化/下図Aの矢印)
- 心内膜側が造影されているため虚血性心疾患の疑い
- 実際のカテーテル検査では完全閉塞を含む3枝病変
- 症例Bは心室中隔に遅延造影が陽性(下図Bの矢頭)
- 造影部位は心筋中層であるため拡張型心筋症の疑い
- 実際のカテーテル検査では冠動脈に狭窄病変はなし
💞 追加コメント
- 大動脈から派生する冠動脈は心筋の外側を走行するので,心筋の内膜側が虚血にさらされやすくなります.よって内膜側から進展する遅延造影を認めたら虚血性心疾患を疑います(貫壁性梗塞なら全層性の造影).この遅延造影領域が心筋壁厚の50%以下ならば心筋バイアビリティ(生存能)は保たれていると考えられます(N Engl J Med 2000;343:1445-53)
- 拡張型心筋症(DCM)の遅延造影は通常,冠動脈走行に一致しない分布です.やや特異的な所見として中隔中層の線維化(遅延造影)があり約30%の症例に認めます.同所見を伴うDCMは遅延造影を認めない症例に比して心事故の頻度が高く,薬物治療によるリバースリモデリング(心機能改善)も少ないことが知られています(日内会誌 2016;105:2041-7)
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(投稿者 川崎)
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