👭 先日のカンファレンス
- 発熱があると家族に連れられて夜間のERを受診した高齢者.本人は無症状で,特記すべき既往歴もない.軽度の炎症反応があり,尿検査と全身CTから尿路系の感染症が疑われた.血培が追加され,内服抗菌薬を処方され帰宅した.改善がないときには再診するよう指示された.
- 翌日,血液培養から大腸菌が検出されたと病院から連絡があり入院した.すでに炎症反応はピークアウトしていると思われたが,抗菌薬を内服から点滴に変更.その後しばらくして,体幹に皮疹が出現した.皮膚科を受診し抗菌薬による副作用が疑われた.入院期間は延長...
🚨 日本版敗血症診療ガイドライン2024 より
- 菌血症は,心内膜炎,カテーテル関連血流感染症,肺炎,膿瘍,骨髄炎,腹腔内感染症,尿路感染症などの感染症で生じ,高い死亡率を示している。
- 敗血症においては,38〜69%で菌血症を合併することが報告されている。各種の迅速診断法が開発されているものの,現在でも血液培養は敗血症の病原微生物を同定する標準的検査法である。
- 菌血症を疑う症状(発熱,悪寒・戦慄など)の出現,原因不明の低体温,低血圧,頻呼吸,意識障害(特に高齢者や小児),白血球数増加や減少,代謝性アシドーシス,免疫不全患者における呼吸不全・急性腎障害・急性肝障害などがみられた場合は敗血症を疑い,できるだけ早急に血液培養を 2セット以上採取することが推奨されている。
- 悪寒・戦慄を伴う発熱が生じた場合は菌血症の陽性尤度比が高い。一方,菌血症の可能性が低い場合の発熱や白血球数の上昇のみでは必ずしも血液培養を採取しなくてもよいとする報告もある。
😑 独り言
- 血液培養の診療報酬点数は225点で,嫌気性培養を行った場合は122点が加算されます.よって2セットなら計6,940円です(令和6年版:今日の診療サポート)
- 医学は確率の側面を有するため必ずしも想定通りにはいきませんが,医療費の蛇口の開閉を担う医師は Choosing Wisely(賢明な選択)を心がけたいものです.
(投稿者 川﨑)
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