5年生時の実習で『お坊さんは糖尿病治療のアドヒアランスが良くない』と聞いたことがありました。私が実習で出会った僧侶の方も糖尿病で片足を切断していたにも関わらず糖尿病治療には消極的でした。しかし一般的に僧侶のアドヒアランスが悪いのかは不明でした。
👀 そこで宗教家と糖尿病発症率・アドヒアランスの関係について調査しました。
👀 そこで宗教家と糖尿病発症率・アドヒアランスの関係について調査しました。
🎻 結果
【参考文献】
- タイでの研究では、仏教の僧侶に糖尿病が多いことが報告されていますが(文献1,2,3)。これは食生活(長期の断食とそれに続く高炭水化物、高脂肪、低繊維、タンパク質の不足した食事)と座りがちなライフスタイルが関係しているという意見もありました(文献4)。
- 同じくタイでの研究で、仏教的価値観が高いことは、より良いアドヒアランス、HbA1c低下と相関すると報告されています(文献5)。仏教的価値観のスコア化については研究データを閲覧できなかったため不明です。
- ネパールでの研究で、チベット人僧侶群と僧侶と違う生活習慣を持つチベット移民群との間において、2型糖尿病、空腹時血糖異常、肥満の発症率に有意差はなかったと報告されています(文献6)。
【参考文献】
- International Journal of Diabetes in Developing Countries 2013;33:23–8
- The Island: Sunday Island epaper 2012
- J Relig Health 2013;52:1319–32.
- Indian J Endocrinol Metab 2018;22:806-11
- Int J Psychiatry Med 2008;38:481-91
- 福岡大学医学紀要 2006;33:265-70
議論&結論 💨
- 今回日本での研究は見つからなかったためタイやネパールの研究を参考にします。タイでは仏教の僧侶に糖尿病が多いですがネパールではそうではありませんでした。国によって僧侶のライフスタイルが違うのかもしれません。
- タイでは仏教的価値観が高いとアドヒアランスが良いということでしたので、仏教的価値観が高いであろう僧侶のアドヒアランスも良いのではと思いますが詳細は不明です。一方タイの僧侶は糖尿病が多いので、元々の生活習慣に問題がありそうです。
- 日本での宗教家とアドヒアランス、糖尿病についての調査は見つかりませんでした。 タイでは僧侶に糖尿病が多いので、国によっては糖尿病のリスクとなる職業であると思われます。一方、仏教的価値観が高いとアドヒアランスが良いので、仏教自体は糖尿病の治療にとって良いものだと思われます。
(投稿者 中西)
0 件のコメント:
コメントを投稿