倦怠感を訴える症例(指先を少しテーブルに押し当ててもらいました)
👉 解説
- 押し当て過ぎのビデオ前半では爪床の近位と遠位部が各々,赤と白に固定
- 程よい力加減になったビデオ後半では,爪床の赤部分が周期的に白く変化
- これはクインケ脈(Quincke's pulse)で脈圧の開大した大脈・速脈を反映
- 心エコー図では高度の大動脈弁逆流が観察された(甲状腺機能亢進なし)
😶 独り言
- クインケ脈(Quincke pulse)が何もせずに観察できることは極めて稀で(個人的には経験なし),通常は患者さんの爪先を自分の指で少し抑えて観察する(自験例).本例のように患者さん自ら指先を机に押し付けても観察できるが,力が一定しないと偽陽性になることもあるため要注意(偽クインケ脈).
- ドイツの医師 Heinrich Quincke 先生が約150年前に発見したこの所見は有名であるが,臨床的意義は微妙.高度の大動脈弁逆流でも出現しない症例が多く,偽陽性も稀ではない(Ann Intern Med 2003;138:736-42).身体所見の超人サパイラ先生も臨床的には有用でないと結論づけている(South Med J 1981;74:459-67).
- サパイラ先生の名著”Sapira's Art and Science of Bedside Diagnosis"には大動脈逆流で有名だけど無意味な身体所見(useless signs)として,クインケ徴候とMayne's sign(メイン?徴候:腕の挙上による拡張期血圧の15mmHgを超える低下)の二つが記載されている(312ページ).
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(投稿者 川崎)
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