早朝ERのタイムアウトでの一コマ 💨
- 若い当直医師 「この症例はイレウスだったので消化器内科で入院しました」
- 中堅責任医師 「OK.イレウス菅は入れなかったの?」
- 若い当直医師 「軽症だったので胃管だけ挿入しました」
- 中堅責任医師 「マーゲンチューブね.OK」
- 若い当直医師 「次の症例はヘルパンギーナと診断して帰宅してもらいました」
- 中堅責任医師 「おっ,OK」(内心 😅 ヘルパンギーナって何だっけ?)
😶 ヘルパギーナ Herpangina
- 概要 発熱と口腔粘膜にあらわれる水疱性の発疹を特徴とした急性のウイルス性咽頭炎
- 疫学 患者の年齢は5歳以下が全体の90%以上を占め,我が国では7月頃にピークを形成
- 原因 エンテロウイルス(腸管で増殖するウイルスの総称)のコクサッキーA群が中心
- 発症 2~4日の潜伏期後,突然の発熱 → 咽頭痛(咽頭粘膜に紅暈で囲まれた小水疱)
- 経過 発熱は2~4日間程度でおさまり,それに遅れて粘膜疹も消失する(計7日程度)
- 診断 通常は臨床症状などから診断(口腔内拭い液のPCRやペア血清でも確定は可能)
- 予後 対症療法で通常は良好(熱性けいれんや脱水症の合併有/稀に髄膜炎や心筋炎)
参考)国立感染症研究所,ほか
👾 独り言
- 内科医にとってヘルパンギーナは,聞いたことがあっても実際の患者さんをみたことがない病気の一つかもしれません.ヘルパンギーナの別名は本邦では夏かぜで,英語圏ではmouth blistersです.よって夏に口蓋垂のまわりに多発するアフタを幼児に認めれば,比較的容易に診断が可能だと思います(下写真).
- 主な感染経路は唾液や便などによる経口・接触・飛沫感染であるため,感染者との接触回避,うがいや手洗い,手指の消毒が必要です.ちなみにヘルパンギーナという不思議な病名は,ギリシャ語のherp(忍び寄る,蛇のような)とラテン語のangina(扁桃周囲膿瘍)が由来だそうです.
(投稿者 川崎)
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