💚 解説
- 50才代男性、健診時の心電図では下壁誘導のST上昇が見られ(症状なし)、即座に循環器内科に紹介された。
- 心電図はすぐに正常化し、冠動脈CTでは有意狭窄なし。
- 症状はないが、冠攣縮によるST上昇と考えられた。
- その後運動負荷Tl心筋SPECTが依頼された。
- 運動負荷時に下壁誘導でSTが上昇し、QRS幅も広くなったが、症状はなかった。
- SPECT像では負荷時に広範な下壁に欠損があり(左上)、後期像で不完全再分布を示した(右上)。
- 運動で誘発された冠攣縮による高度虚血の心筋SPECT像である。 WORが負になっている(左下)ことも注目すべき珍しい所見である。
👤 ひとり言
- ドックで冠攣縮の心電図を示したきわめて稀な例である。
- 運動誘発冠攣縮の頻度は高くないので、誘発されないと予想しながら負荷を続けたところ、STが上昇した。
- 主治医の本検査を依頼するセンスに感心した。
- その後主治医がよくよく聞くとし失神歴があり、ごく軽度の胸部症状もあるとのことであった。
- 刑事の取り調べのように胸部症状の有無を何回も聞くと、そう言えば軽いのがと答える患者さんはたまにいる。
- “狭心症は病歴聴取の疾患”と学生・研修医に指導するが、何年経っても症状を聞き出すのが難しい疾患である。
- 冠攣縮の運動による誘発には日内変動があるが、午前中の誘発は再現性が高いと報告されている。
- 泰江先生(熊本大元教授)が冠攣縮性狭心症患者の発作時心電図をとるため寝泊りをされ、また自然発作時の冠動脈造影所見を得るため、早朝5時に冠動脈造影をされた歴史の意義を皆で再確認した。
※「輝きを放つ一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)
(投稿者 杉原)
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