Beer負荷Tl心筋SPECT
症状発現時の携帯型心電図波形とbeer負荷Tl心筋イメージング
症状発現時の携帯型心電図波形とbeer負荷Tl心筋イメージング
💚 解説
- 60才代男性、クリニックへの初診で典型的な労作性狭心症の症状を訴えた。右冠動脈にPCI歴があった。よく問診すると、夕食時にbeerを飲むとよく症状が出現するとのことであった。
- 携帯型心電図でbeerを飲むことによる症状発現時にST低下を確認した(上)。 倫理審査委員会を通して、beer(正確には発泡酒、さらに正確には“のどごし生”)負荷Tl心筋SPECTを施行した。
- 負荷直後像で下壁に集積低下が認められ、後期像で再分布した。
- 冠動脈造影では右冠動脈のステント内に75%狭窄と回旋枝に90%狭窄がみられ、虚血が生じたのは前者の領域と考えられた。
- アルコールに関連した冠攣縮は通常アルコールを飲んだ翌朝に生じることが多いとされる。本例の心筋虚血発現の正確な機序は不明であるが、sirolimus-eluting stentsは血管内皮細胞に機能不全をもたらし、血管トーヌスに変化が生じ得るとの報告があり、アルコールが血管トーヌスに影響した可能性が推定される。
👤 ひとり言
- 頭にはbeer負荷を思い浮かべながら、あえてそのことを記載せず、紹介した。
- 言わずとも心が通じ、beer負荷心筋イメージングが実現した。
- 約30年前、同様にbeerで生じる胸部不快感を証明するため、冠動脈造影前日の夕方に患者さんを外来に連れて行き、一緒にbeerを飲んだことを思い出した。
- 15分で誘発されたが、その時の心電図を保管していないことが悔やまれる。
- 循環器領域では特に日常の症状の再現による診断は大切である。
- これまでに運動/薬剤以外に施行した負荷はHyperventilationおよびCold Pressor Testである。
- 通常の運動負荷/薬剤負荷以外の負荷をする場合、最近では同意書/倫理審査委員会の承認が必要である。
※「輝きを放つ一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)
(投稿者 杉原)
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