運動負荷でTlを静注時に心筋梗塞発症
運動負荷Tl心筋SPECTの3時間後と24時間後のSPECT像(上)と負荷中の心電図(中)および4か月後のSPECT像(下)
運動負荷Tl心筋SPECTの3時間後と24時間後のSPECT像(上)と負荷中の心電図(中)および4か月後のSPECT像(下)
💚 解説
- 70才代男性、負荷直後像がないのは負荷中の心電図を見れば納得できるであろう。
- 100W負荷時にⅡ、Ⅲ、aVFでSTが上昇し、ニトログリセリン舌下でも改善せず、負荷5分後には異常Q波となった。
- Tlを静注したが、さすがに負荷直後像は撮らずに、緊急冠動脈インターベンションとなった。右冠動脈閉塞のインターベンションは成功し、安定していたので3時間後さらに24時間後に撮像した。
- 3時間後像では下壁が高度集積低下しているが、24時間後にはわずかに再分布が認められる。
- 直後像が撮れていれば同領域は欠損であったと予想される。
- 急性心筋梗塞発症と同時にTlを静注した例の報告はない。
- 救済された梗塞心筋の評価目的で施行した4か月後のTl像は正常化していた。
👤 うら話
- 外来診療中に負荷により急性心筋梗塞を発症したと連絡があった。
- 運動負荷検査で心筋梗塞発症はあり得ることではあるが、初めての経験であった。
- 念のため負荷が禁忌の症例ではなかったことを確認したが、この症例の息子氏は循環器内科医であった。
- Tl心筋イメージングは、不安定狭心症では再分布、再灌流成功例の亜急性期では逆再分布現象が認められることが多い。
- この特異な例では24時間後にわずかに再分布が認められた。
- 苦い経験であるが、“心筋梗塞発症直後にTlを投与した”貴重な症例である。
- 10数年が経った今、症例報告として投稿し、最近acceptされたとの連絡が入った。
※「輝きを放つ一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)
(投稿者 杉原)
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