大動脈弁狭窄症の心内膜下虚血
冠動脈狭窄のない大動脈弁狭窄症の運動負荷Tl心筋SPECT(上)と左前下行枝の冠血流速波形(下)
馬本郁男、他 : 核医学、28:749-757,1991
💚 解説
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負荷直後像で心尖部に集積低下がみられ、後期像で再分布している。
- さらに負荷時には左室一過性内腔拡大が明瞭である。
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これは見かけ上の拡大であり、左室全周性の心内膜下虚血の反映と推定される。
大動脈弁狭窄症の三主徴の一つである狭心痛と関連する所見と考えられる。
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下図は冠動脈ドプラ法により記録した左前下行枝の冠血流速波形(上段コントロール、下段AS)である。
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正常人では小さな収縮期成分とそれに続く拡張期成分からなる二峰性を示す。
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一方、ASでは収縮期逆流が出現し、拡張早期血流速の立ち上がりが不良である。
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これらの特徴は冠血流増加に不利な病態と推察される。
著者の考えるASの冠血流予備能低下の機序を図に示した。
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ひとり言
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ASの治療法としてのTAVIが急速に普及しているが、高齢者が多く、心筋虚血の評価は困難である。
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TlとBMIPPの内腔の大きさの差から心内膜下虚血を検出できないかと考えたが、頭に描いたような結果にはならないようである。
※「輝きを放つ一枚」の過去の投稿は
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(投稿者 杉原)
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