心尖部心室瘤
心尖部心室瘤を伴う心尖部肥大型心筋症の左前斜位の心プールシンチグラフィ(上)と負荷Tl心筋イメージングの負荷後像と後期像(下)
心尖部心室瘤を伴う心尖部肥大型心筋症の左前斜位の心プールシンチグラフィ(上)と負荷Tl心筋イメージングの負荷後像と後期像(下)
💚 解説
- 上図の左前斜位の心プールシンチグラフィでは心室中部の肥大により心基部と心尖部が分離したように見える。
- 左室全体(LV)、心基部(a)、心尖部(b)にROIを囲み得られた各容量曲線を比較すると、心尖部の容量最小時点の時相が遅れていることが示されている。すなわち、左室全体の拡張早期に心尖部はまだ収縮していることを示している。
- 本例は心エコーでparadoxical jet flow(拡張早期に心尖部から心基部に向かう血流)が検出されているが、paradoxical jet flowが生じる機序の解明につながる所見である。
- 本例の運動負荷Tl心筋イメージングでは負荷後の心尖部欠損が後期像でも変化しなかった(下図)。
- 心尖部の心筋障害/線維化がすすんだことを示唆する所見である。
👤 裏話
- 心プールシンチグラフィでは、当時流行っていた位相解析で時相のずれは表示されたが、左前斜位像で左室が分離したように見えることから心基部と心尖部の各容量曲線を作成することを思い立ち、paradoxical jet flowを生じる病態と関連する所見が得られた。
- 高齢者中心の入院施設には、本例のように心尖部心室瘤に生じた血栓が原因で、脳梗塞を発症したことが推定される症例がある。
※「輝きを放つ一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)
(投稿者 杉原)
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