肥大型心筋症の中隔性Q波の消失
肥大型心筋症の運動負荷/安静時tetrofosmin心筋イメージングおよび負荷時の心電図変化(上)と安静時心電図の13年後の変化(下)
Akakabe Y et al : Circ J ; 72: 953 – 957 ; 2008
💚 解説
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安静時と運動負荷時のtetrofosmin心筋イメージングの短軸像を比較すると、負荷時像で左室内腔が拡大して見え、心内膜下虚血の反映である。
- 一方、心電図では安静時に見られたV5V6の中隔性Q波が負荷により消失している。
- 冠動脈疾患でV5V6誘導での中隔性Q波の運動負荷での消失ないし減高は中隔虚血と関連する。
- 29人の肥大型心筋症における中隔虚血/左室全体の心内膜化虚血と中隔性Q波の変化を検討すると、負荷による中隔性Q波の消失ないし減高の、中隔虚血検出の感度は100%、特異度は43%、心内膜下虚血検出の感度は100%、特異度は33%の結果を得ている。
- 安静時の中隔性Q波の欠損の中隔虚血/心内膜下虚血検出の感度は低かった(43%/33%)。
- 肥大型心筋症における負荷による中隔性Q波の反応は中隔虚血検出に役立つと言える。
- 下図は肥大型心筋症の1例の安静時心電図の13年後の変化を示すが、中隔性Q波が消失している。
- 平均7年の経過観察では、負荷による中隔性Q波の消失ないし減高例では、減高が見られない例に比し、安静時の中隔性Q波が経年的に減高する傾向がみられた。
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裏話
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冠動脈疾患における中隔性Q波の反応は論文にすることができなかったが、20年後に肥大型心筋症における中隔性Q波の反応を論文にできた。
※「輝きを放つ一枚」の過去の投稿は
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(投稿者 杉原)
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