心アミロイドーシス 1
Tc-99m-PYPシンチグラム(上)と心エコーの経年変化(下)
Tc-99m-PYPシンチグラム(上)と心エコーの経年変化(下)
Ego K et al : 松仁会雑誌59(2) : 94-99, 2020
💚 解説
- 70才代男性、Planar像では骨より強い心臓への集積が見られる。
- SPECTでは明瞭な左室全体への集積が認められる(上図)。
- 本症例は6年前に呼吸困難感で受診し、高血圧と心房細動と診断されていた。
- 労作時の呼吸困難感だけでなく、全身倦怠感もでてきた。
- 心エコー上は左室肥大が進行した(下図)が、心電図上のV5のR波高は2.43mVから1.63mVに減少した。
- 心アミロイドーシスが疑われ、PYPシンチグラム施行により、その診断がなされた。
- 遺伝子解析もされ、Wild-type transthyretin amyloidosis (ATTRwt)と診断した。
- 本症例は心エコーでの肥大の進展の過程を観察できた。
👤 ひとり言
- 心アミロイドーシスの一部のtypeにPYPが集積するとの認識であったが、ATTRwtの診断に感度・特異度とも優れるとの論文には驚いた。
- 治療薬タファミジスメグルミンの登場も相まって、PYPの検査数、本症の診断数が増加すると予想される。
- 高齢者剖検例の16.7%にATTR陽性アミロイドの沈着が心臓に認められたとの報告があり、人生100年時代に臨床医には本症の認識が必要である。
- 長寿で有名になったぎんさんの病理解剖を担当した病理医が執筆した書物の中に、診断した主な病名は“老人性心アミロイドーシスとアルツハイマー病の二つです”との記載がある。TTRとアミロイドβは老化に密接に関連するアミロイドタンパクであり、平均寿命100才時代を迎えるこれからの日本人高齢者の典型的所見かもしれない。
※「輝きを放つ一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)
(投稿者 杉原)
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