👥 先日のERカンファで...
- 急性大動脈解離の血圧管理にはニカルジピン(ペルジピン®)の持続静注を行うことが多いと思います.でも「ベータ遮断薬ってどうなの?」という意見がでました.うまく答えられなかったので調べてみました.
📕 合同ガイドライン2020年改訂版より抜粋(一部改変)
- 大動脈疾患では130/80 mmHg未満を目標に厳格な血圧管理が望まれる.β遮断薬は慢性大動脈解離における解離後のイベント発生率の低下や,Marfan症候群において瘤拡大速度の低下をもたらし,予後を改善する.一方AAAに対しては,β遮断薬を含むいずれの降圧薬も瘤拡大を抑制しない.したがって,大動脈疾患における降圧薬の選択は,併存疾患との兼ね合いも含め,短期・長期予後や薬物コンプライアンスを考慮して選択すべきである.併存疾患のない高血圧に対しては,Ca拮抗薬,レニン・アンジオテンシン系阻害薬(ARB・ACE阻害薬),利尿薬の3剤の中から選択する.
👶 独り言
- ガイドラインでは急性期降圧と慢性期降圧が明確に区別されて記載されていませんでした.ニカルジピン(ペルジピン®)で急性期を乗り越えて,その後に上記表の活用がいいのかもしれません.しかし大動脈瘤に対してはベータ遮断薬を含む降圧薬の効果が乏しいことは意外でした.
- 降圧療法ではCa拮抗薬はとても重宝します.しかしマルファン症候群では注意する必要があるというツイートを最近見かけました(※).動物実験レベルですがCa拮抗薬は瘤拡大や解離の懸念があり第一選択としては使用されないようです(Tzu Chi Med J 2021;34:44-8).
💁 大動脈解離に関する過去の投稿 ➜ コチラ
(投稿者 川崎)
1 件のコメント:
昨今はevidenceに基づくガイドライン重視の医療がなされており、それは当然です。
40年前に、β遮断薬は単に血圧を下げるだけでなく、dp/dtを下げることにより、大動脈壁への
衝撃を軽減するため、大動脈瘤(解離)の降圧治療の第一選択にするのがよいと教育されました。これは指導医個人の考えであったようですが、その理論背景がevidenceにつながって
いるのなら、感慨深いものがあります。 元上司
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