弁置換術後の症例(座位)
💧 解説
- 座位で頚部中央に明瞭な拍動を視認する
- 陥凹なので静脈拍動 ➜ 非代償性心不全
- 深吸気負荷で胸鎖乳突筋が明瞭になった
- それと同時に内頸静脈の拍動は不明瞭に
- BNP:前回172 pg/ml ➜ 今回305 pg/ml
- 過労回避と減塩指導で早めのフォローへ
💦 個人的見解
- 吸気時には胸腔内圧が陰圧になるため,健常者では中心静脈圧が低下します.しかし安静座位で内頸静脈の拍動を視認できるほど中心静脈圧の症状した症例(例えば15 cm水柱 or 11 mmHg以上)では,その圧が正常化することはほぼないと思います.実際に圧の測定はしていませんが,頸静脈所見はほぼ悪化します(拍動上縁の上昇あるいは拍動パターンの変化[陥凹から隆起など])
- しかし日々の臨床では,吸気負荷で内頚静脈の拍動が逆に不明瞭になる症例に稀ながら遭遇します.本例のように吸気という動作に伴い胸鎖乳突筋が明瞭になることもその一つの理由かと思います.内頚静脈は深部静脈であるがため,胸鎖乳突筋を介した皮膚面の拍動で認識する必要があります.胸鎖乳突筋が緊張すると深部の拍動を認識しにくくなるということは容易に理解できます.
- そもそも論として「安静時に座位で内頚静脈の拍動を認める症例には負荷が必要なのか?」という問題があります.頚静脈評価の普及を願って作成したアプリ「シンプル頚静脈©」では,安静時に陽性なら負荷は不要と謳っています.負荷で重症度を細分化したいとの想いは分かりますが簡便な半定量評価で十分なのかもしれません(例えば3分割法:拍動上縁が鎖骨上窩・頚部中央・顎下)
心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶
(投稿者 川崎)
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