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2025-12-16

日本内科学会 第250回近畿地方会より

😀 個人的に気になった報告

演題68 腹筋の有痛性収縮にて発症したスティッフパーソン症候群の1例
  • 症例は50歳,男性.入院3か月前から腹筋が持続的に収縮するようになり, 緩徐に増悪し疼痛を伴うようになった.疼痛は臥位,特に前屈姿勢で軽度となるため,歩行困難となり入院となった.スティッフパーソン症候群(SPS)は自己免疫異常により中枢神経での抑制性神経伝達 (主に GABA) が低下しα運動ニューロンが抑制から解放されて症状を起こすと考えられている.異常な筋強直を呈する姿勢異常の鑑別疾患として本疾患を考慮する必要がある.

演題84 レフグレン症候群を契機に有症状化した潜在性甲状腺機能亢進症の1例
  • 症例は50代,女性.10日前から発熱と四肢の紅斑・関節痛を認め,精査加療目的に入院した.CTで両側肺門リンパ節腫脹(BHL)を認め,経気管支肺生検にて非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を確認し,サルコイドーシスに矛盾しない所見であった.さらに両側下肢に結節性紅斑,関節痛,発熱を伴い,急性発症型であるレフグレン症候群(関節炎と結節性紅斑,両側肺門リンパ節腫脹を三主徴とする急性サルコイドーシスの一型)と診断した.サルコイドーシスと自己免疫性甲状腺疾患の合併は2%程度に報告されるが,橋本病が多く,バセドウ病は比較的稀である.

演題126 当院のランタン沈着症11例の検討
  • 炭酸ランタン(La)は透析患者の高リン血症に対する薬剤である.そのLaが消化管粘膜に沈着することで消化器症状を生じることや, プロトンポンプ阻害剤(PPI)を内服することでLaによるリンの吸着が低下することが近年注目されている.透析患者176 例のうち4年間で上部消化管内視鏡検査(EGD)を受けた134例を対象に,後方視的にランタン沈着症と考えられる白色微細顆粒状病変を認める患者において,EGD施行日までのLa総内服量とPPIの内服の有無について検討した.ランタン沈着症患者は11例で,発症までのLa総内服量の平均値は1952.8g(543.5-4021.5g)であった.

💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

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