このブログを検索

2017-06-14

Hypermucoviscosity Klebsiella pneumonia(hvKP)による肝膿瘍

過粘稠性K. pneumonia(string test:陽性)
通常のK. pneumoniae(string test:陰性)

通常のK.pneumoniaeによる感染症とは異なり、過粘稠性を示す株であるK. pneumoniae(rmpAやmagAなどの遺伝子を保有した株)による感染症は、肝膿瘍前立腺膿瘍を主な原発巣とし、厚い莢膜多糖体の産生によって好中球の貪食から逃れ、さらに抗菌薬も菌体へ到達しにくい特徴がある。そのため、敗血症へと進展し様々な臓器に播種され重篤な経過をたどることから危険視されおり多数報告例がある。特に、本菌による感染症は敗血症からの血行性に脳膿瘍眼内炎を合併することが非常に多いため、画像検査によって検索する体制が必要となる。治療の第1選択は膿瘍のドレナージであるが、抗菌薬の選択は合併症として髄膜炎も報告数が多いことから、髄液移行性の良い抗菌薬の選択が推奨されている。過粘稠性株か否かの判断は、遺伝子検査の他に、string testという方法がある。菌の集落を釣菌し、5mm以上糸を引けば陽性と言う簡便な方法で確認することができる。検査室からのstring test陽性の報告があれば、DICへの進展を危惧し、早期の抗菌薬投与とその他の膿瘍などの検索が必ず必要である。

【参考図書】
笠原敬,忽那賢志,佐田竜一(著).感染症みるトレ.医学書院出版

【参考論文】
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27852233
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23435082
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16704562

(投稿者 前田)

0 件のコメント: