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2020-01-20

前脊髄動脈症候群 Anterior spinal artery syndrome

🔎概略
  • 脊髄の主要な栄養血管は大動脈から起始し,前方3分の2は前脊髄動脈,後方3分の1は後脊髄動脈である.前脊髄動脈は上位頸髄領域では数本の栄養動脈を,また下位胸髄領域では1本の太い栄養動脈(Adamkiewicz動脈)を有するのみである.側副血行路に乏しい前脊髄動脈の血流障害によってその支配領域に神経脱落症状を生じた病態が前脊髄動脈症候群と呼ばれる.
(参考:MSD マニュアル)

  • 疫学 稀で不明(特発例では20〜70代と幅広く生じ,性差なく頻度は脳卒中の1/50〜1/100)
  • 原因 大動脈疾患・手術,心停止など(血栓症や動脈硬化との関連は乏しく原因不明も多い)
  • 診断 MRIで障害レベルの髄内病巣の確認(長軸で平均3.9椎体)かつ可及的な他疾患の除外
  • 経過 症状のピークまでの時間は半数が12時間以内/全例が48時間以内にピークに達している
  • 症状 四肢・対麻痺,知覚障害,膀胱直腸障害など(頸髄は腕肩,胸髄は背部,腰髄は下肢)
  • 治療 原因疾患があればその治療/ステロイドやヘパリンの投与は有効性が証明されていない



(投稿者 川崎)

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