★ 筋ジストロフィー
- 筋細胞骨格と細胞外マトリックスを構造的に結合するジストロフィン蛋白の遺伝子変異で進行性に筋力低下(臨床経過は病型で大きく異なる)
- デュシェンヌ型,福山型,ベッカー型,エメリー・ドライフェス型,肢帯型筋ジストロフィー,顔面肩甲上腕型,筋強直型などに分類される
☆ 各病態の心表現型
- デュシェンヌ型筋ジストロフィー ➜ 心筋細胞の脂肪 /線維性置換が左室後壁基部から徐々に左室自由壁に広がるのが特徴的である.肥大性心筋症様よりも拡張型心筋症様の表現型が多い.
- 福山型筋ジストロフィー ➜ 拡張型心筋症様の心不全を発症する.
- ベッカー型筋ジストロフィー ➜ Duchenne型で特徴的な左室後壁の線維化は通常認められない.肥大型心筋症様または拡張型心筋症様の表現型をとる.典型的な経過は初期に右室拡大をきたし,その後に左室拡大と左室収縮不全に陥る.
- エメリー・ドライフェス型筋ジストロフィー ➜ 高頻度に完全房室ブロックや洞不全などの刺激伝導障害を呈するのが特徴である.
- 顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー ➜ 心房性不整脈の頻度が高いが,心筋症の表現型はごく軽度にとどまる.
参考)
心筋症診療ガイドライン(2018年改訂版),他
🌀 おまけ
- 筋ジストロフィー心筋症の診断は確立されていない(と思う)が,拡張型心筋症と鑑別すべき主な二次性心筋症の除外が基本になる.
- 例えば心筋異常(虚血,心毒性物質,感染性,サルコイドーシス,糖尿病など)や機械的負荷(圧負荷と容量負荷),心臓の構造異常(先天性あるいは弁膜症など),高心拍出(重症貧血,甲状腺機能亢進症,脚気心など),不整脈による心筋症などを除外
- 筋ジストロフィー心筋症の根本的な治療は(心移植を除き)未だ開発されていないため,通常の心不全治療を行っていく.
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(投稿者 川崎)
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