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2020-12-14

外頸静脈に騙されるな!

労作時の動悸で来院した症例

💙 解説
  • 外頸静脈の明瞭な拍動(+呼吸性変動)が視認できる.その最高点は頸部中央まで達し,中心静脈圧のかなりの上昇が推察される.しかし内頸静脈は陰性で,クスマウル徴候もなかった.
  • 本例ではBNP値の上昇はなく,心エコー図も正常であった.冠動脈CTで狭窄病変なく,運動耐容能も年齢相応.貸出心電計で記録した動悸時の波形にも問題になる不整脈を認めず.

😶 独り言
  • 中心静脈圧の推定には,その直線的位置関係から右側の頸静脈を使用(復習).さらに外頸静には逆流防止に有効な静脈弁があるため,内頸静脈をより信頼すべきである(復習).
  • ただし外頸静脈でも,その拍動や呼吸性変動が明瞭な場合は中心静脈圧の推定に用いることができるという意見が多いと思う.本例では残念ながら外頸静脈はあまりあてにならなかった.
  • 外頸静脈は表在静脈であるため,微妙な変化は内頸静脈よりも得意(例:収縮性心膜炎のフリードライヒ徴候).本例でも,その規則正しい拍動は洞調律を示唆した(実際に正常洞調律).

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

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