- 心室瘤は真性心室瘤と仮性心室瘤に分類されるが仮性心室瘤の特殊な型が心外膜下心室瘤
- 心外膜下心室瘤は高頻度に心破裂を起こす可能性があるため早期発見・外科的治療が重要
- 真性心室瘤 ➜ 菲薄化した心筋壁の全層が心内圧により伸展し,本来の心室腔より収縮期にも拡張期にも外方に突出する膨隆部が存在し,膨隆部は壁運動消失ないし奇異性壁運動を呈する.
- 仮性心室瘤 ➜ 心破裂の際に癒着した心膜と心外膜との間に血液が流出し,限局性の血腫を形成した後に徐々に血腫が吸収されて生じ,瘤壁は心外膜と血腫で構成され心筋は含まれない.
- 心外膜下心室瘤 ➜ 梗塞部心筋の不完全破裂,もしくは心筋内に解離が生じ,破裂を防ぐ形で残存した心筋および心膜が,徐々に外方に突出して形成されるものである.
仮性心室瘤の診断基準(以下の3条件を全て満たす)
- 心室瘤の頸部における心筋の突然の途絶
- 心室瘤の頸部が瘤の径より小さい
- 心室瘤の壁に心筋組織,心外膜組織,心膜組織が存在するか否かは問わない
仮(偽)性心室瘤 (pseudoaneurysm or false aneurysm) と真性心室瘤 (true ventricular aneurysm) のシェーマ
😄 おまけ
- 仮性心室瘤(Subepicardial aneurysm)は米国の医師(病理学?)のEpsteinらが提唱した観念です(Am J Med 1983;75:639-44).読み方はエプスタインでいいと思われます.ちなみにエプスタイン奇形の由来 Wilhelm Ebstein (1836-1912)で別人で"p"ではなくて"b"です
- 先天性心疾患であるEbstein's anomalyは循環器学会用語集ではエプスタイン奇形(”ブ”でなくて”プ”)です.一方,エプスタイン奇形と同じ意味であるEbstein's diseaseはエブスタイン病と記載されています.これは聴診のErbと同じく謎かもです(過去の投稿:Erbの謎).
(投稿者 川崎)
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