慢性左心不全の増悪が疑われる症例
🐥 解説
- 座位で頸部に内頸静脈の2峰性陥凹(中心静脈圧の高度上昇)
- 吸気で内頸静脈の陥凹は隆起(ランチシ徴候)に変化(矢印)
- 両側の上肢を挙上するとシャツの襟が頸部を隠してしまった
- 慌てて襟元を覗いてみたがやはり頸静脈の拍動は確認できず
🐤 コメント
- 上肢挙上は吸気よりも強い負荷になることが少なくありません.吸気負荷は前負荷の増大が中心ですが,上肢挙上負荷は上肢の静脈血液の還流(前負荷増大)に加え,挙上という仕事(心拍数増加を含む),呼気時間の延長(胸腔内圧上昇)などが加わるためと思われます(過去の投稿).
- 本例では吸気負荷で陽性波(巨大v波/cv merger)が出現したため,過剰負荷にならないか少しヒヤヒヤしながら上肢挙上を追加しました.しかし両手をバンザイしてもらったら服がせり上がって頸静脈が見えなくなりました.急いで服をずらしましたが頸静脈の拍動は確認できませんでした.
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単なる視界不良でなく,ペンバートン徴候(Pemberton's
sign)と同様の機序が働いているのかもしれません.拡大した両側の頸静脈が万歳ポーズで圧迫された結果,頭部からの静脈還流が減少しそうです.顔面うっ血が生じないのは甲状腺腫大や縦隔腫瘍と異なり完全閉塞にならないため?
※ 心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶
(投稿者 川崎)
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