発熱が続く若い女性
👿 解説
- 甲状腺の腫大あり(峡部の前後径11 mm)
- 周囲リンパ節も目立つ(反応性腫大の疑い)
- 採血でCRP 17,TSH 0.01,fT3 3.94を確認
- 身体所見では甲状腺の両葉下極に圧痛あり
- エコーで右下極にややlow echoicな領域あり
- その後の追加検査で亜急性甲状腺炎と診断
- ロキソプロフェン屯用で3週間後に正常化
👾 甲状腺と造影剤
- 本例は初診時に甲状腺疾患が鑑別診断に含まれていなかったため造影CTが行われてしまいました(幸い検査後に問題なし).甲状腺中毒患者に造影剤を投与した場合有機ヨードが体内に取り込まれるので,Wolff-Chaikoff効果が期待できません.その結果,TSHによる制御を受けずに多量の甲状腺ホルモンが生成されて甲状腺クリーゼを引き起こす可能性があります.
- 甲状腺中毒患者へのヨード造影剤の使用は原則禁忌ですが,心疾患など造影を必要とする疾患を併発してしまった場合などでは,その危険性を理解して注意深く造影しなければいけません.造影の24時間前からメチマゾールを予防的に投与することで甲状腺機能の悪化リスクをある程度,低下させることができるようです(Front Endocrinol (Lausanne) 2023;14:1154251.) .
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(投稿者 太田/川崎)
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