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2025-10-03

日本内科学会 第249回近畿地方会より

😀 個人的に気になった報告

演題5 中年期に診断された下垂体茎離断症候群の1例
  • 造影MRIで下垂体茎の離断、前葉の低形成、異所性後葉を認め、周産期異常に関連した下垂体茎離断症候群(PSIS)と診断した。原因として、周産期異常、頭部外傷や手術による機械的な下垂体茎の断裂、下垂体の胎生期の発生異常などが関係する可能性が考えられている。発症率は約0.5/10万人で、出生に伴うPSISは0.5/100万出生と極めて稀である。※PSIS=Pituitary stalk interruption syndrome

演題10 虚血性心筋症と診断されていたが中性脂肪蓄積心筋血管症(TGCV)と判明した1例
  • 経過中のLDLコレステロール値は50mg/dl前後で管理していたが短期間で冠動脈病変の著しい進行が認め、虚血性心筋症以外を疑いBMIPP心筋シンチ施行した所、Wash out rate 7.7%と低下認め、TGCVと診断した。TGCVは、2008年に提唱された新規疾患概念であり、細胞内の中性脂肪(TG)分解が障害され、難治性心不全、びまん性冠動脈疾患、心室性不整脈等を呈する循環器病の仮面をかぶった代謝病である。※TGCV=Triglyceride deposit cardiomyovasculopathy

演題129 ジスチグミン臭化物によるコリン作動性クリーゼをきたした1例
  • 神経因性膀胱に対してジスチグミン臭化物5mg/日を10年前より内服していた。入院2日前より下痢を認め、入院当日より湿性咳嗽、排痰困難、多量の気道分泌物を認め、当院へ救急搬送された。ジスチグミン臭化物(ウブレチドなど)によるコリン作動性クリーゼは内服開始2週間以内に発症することが多いが、長期内服中に脱水や腎機能低下を契機に発症することもある。

演題131 HFNCによる100%酸素吸入法によって, シャント率の測定を行った肝肺症候群の1例
  • 経胸壁心エコーでは肺高血圧の所見はなく、バブルテストで 6,7心拍後に左房に大量のバブル流入を認め、肺内シャントが示唆された。右心カテーテル検査・肺血流シンチグラフィ・肺動脈造影CT検査で他疾患の除外を行った。右心カテーテル検査・肺血流シンチグラフィに加え、high-flow nasal cannula(HFNC)を用いた100%酸素吸入法によってシャント率を測定し、いずれも同等な値であった。HFNCを用いた100%酸素吸入法は、低侵襲な検査であり、利便性の点から有用であると考えられた。

演題155 SACIテストが局在診断に有効であったインスリノーマの1例
  • 造影CTで膵臓に早期濃染を伴う1cm台の腫瘤性病変を認め、EUSで膵頭体移行部に低エコー域を認め、EUS-FNAでクロモグラニンA、シナプトフィジン陽性細胞を認め神経内分泌腫瘍に矛盾しない所見であった。SACIテストでは脾動脈近位でグルコン酸カリウム注入前後でインスリン濃度が3.24倍に上昇したため膵中央部切除術を行う方針となった。※SACI=selective arterial calcium injection=選択的動脈内カルシウム注入法

💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

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