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2024-11-13

側弯症の検診

  • 実施方法の多くは前屈テストによる視認法(下図)
  • 本邦の側弯症検診は学校保健法に基づき1979年開始
  • 意義は未確立でイギリスやカナダなどでは現在中止
  • 側弯症頻度は1-2%で程度はCobb角で判定(下図C)



(投稿者 川崎)

2024-11-12

三白眼さんぱくがん 👀 四白眼しはくがん

  • 通常の開眼時に黒目(虹彩)の上または下に白目(強膜)が露出してた状態
  • その部位から上三白眼,下三白眼,四白眼(上下ともに観察)に分類される
  • 英名は sanpaku(日本語からの借用語)であるが医学用語ではない(多分)
  • 美容を除き臨床的意義に乏しい(ただし眼瞼下垂などと関連することはある)

三白眼として知られていた資産家 J. ポール ゲティ

(投稿者 川崎)

2024-11-11

第21回 循環器Physical Examination講習会より


循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です。「生きた physical examination」を体感・習得して、「感動できる」ものにしていきたいと思っています。毎週情報発信をしているので,よければSNSでフォローしてみてください.


👻「フィジカル講習会」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2024-11-10

交感性眼炎 Sympathetic Ophthalmia

  • 定義 眼の損傷後に起こる(両眼性)ぶどう膜炎
  • 組織 脈絡膜の黄白色結節を伴った肉芽腫性炎症
  • 機序 損傷・術後に続発する自己免疫炎症の疑い
  • 疫学 0.3人/百万人・年(穿通性眼外傷後0.2-1%)
  • 時期 通常損傷後12ヵ月以内(さらに遅発性あり)
  • 症状 視力低下や充血,痛み,光過敏症,失明など
  • 治療 初期に高用量ステロイド(再発抑制に継続)
  • 予防 損傷14日内に損傷眼摘出(発症後摘出は無効)


右眼外傷後に左眼の視力が突然低下した22歳男性

(投稿者 川崎)

2024-11-09

アシスタントクルー Assistant crew

  • USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)などで以前から用いられてきた用語で,クルー(スタッフ)のスケジュールなどをサポートする要員です().最近では医療現場でも耳にするようになりました.例えば看護助手や医師事務作業補助者
  •  医師以外の医療職の総称としてメディカルスタッフを用いる機会が増えたことは以前に記載しました(ココ).これはコメディカル(co-medical)は和製英語で,パラメディカル(paramedical)はparaが従属のニュアンスを有するためだそうです.

(投稿者 川崎)

2024-11-08

ミニレクチャー:眼瞼の徴候

  • 少し前のカンファレンスで,眼瞼下垂が話題になったようです.そこで今回,当院の脳神経内科部長の滋賀先生が自作資料を用いて眼瞼の徴候についてミニレクチャーをされました(絵も自作 😮).とても充実した素晴らしい内容だったので許可を得て本ページにアップしておきます.


(投稿者 川崎)

2024-11-07

今週の一枚 🎯

労作時の動悸を訴える糖尿病例の負荷心電図

🐤 現場実況
  • 紹介元のマスター負荷心電図を持参された
  • 軽度ST低下に加え2:1伝導の房室ブロック
  • 当院の心エコー図とホルターには問題なし
  • 運動負荷タリウムで心拍は上昇し虚血なし
  • その後にベータ遮断薬を含む目薬が判明
🐥 徐脈と目薬
  • 日常臨床では薬剤性の伝導障害にしばしば遭遇します.本例も初めに確認しましたがベータ遮断薬を含む内服薬はありませんでした.長年変更もないようです.目薬の申告はありましたが,ドライアイに対する処方でした.
  • その後の外来フォローでブロックの再発がないため,もう一度薬歴を確認しました.すると労作時の動悸~紹介元で負荷心電図時はミケラン(カルテオロール塩酸塩)点眼薬を使用していたことが判明しました 😐
  • 謎かけ「点眼とかけて失神と解く.その心は?」は有名です(答えはβ遮断薬を含む目薬:謎かけでもなんでもない😅).ただし臨床現場で遭遇することは稀です.逆に緑内障に禁忌薬の処方の方が臨床アルアル?
  • 本例は薬剤性(点眼誘発)の房室ブロックが疑われました.ミケラン点眼薬の徐脈の頻度は0.1〜5%未満と記載されています(DI).本例には潜在的な刺激伝導系の障害があると思われるので今後も要注意でしょうか.


👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2024-11-06

MTX-LPD:メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患

  • MTX-LPD=Methotrexate-associated lymphoproliferative disorder
  • メソトレキセート内服中に認められリンパ増殖疾患の総称である
  • methotrexateは葉酸代謝拮抗剤の一つで免疫抑制作用を有する
  • 発生頻度は0.1%未満と予想され通常はMTX中止により自然退縮
  • 特徴は節外病変が多く多彩で複雑な病理像,高EBウイルス陽性率


MTX関連リンパ増殖性疾患の患者背景

(投稿者 川崎)

2024-11-05

ドーピングあれこれ

📗 血液ドーピング
  • 血液成分を物理的・化学的手段で血管内操作すること
  • 例えば保存しておいた自己血を競技直前に本人に輸血

📘 遺伝子ドーピング
  • ゲノム配列や遺伝子を変更する可能性がある物質使用
  • 例えば酸素運搬能力を高める造血因子であるEPO投与

📙 化学ドーピング
  • 採取した検体の完全性および有効性を変化させる手法
  • (通常は有機半導体の電子特性を制御する専門用語)

👿 おまけ
  • ベータ遮断薬は心肺機能を抑制します.しかし特定の競技種目に限って禁止されています.アーチェリーやゴルフ,射撃などです.緊張を抑えるためと思われます.
  • スキージャンプやスノーボードのハーフパイプ,水中スポーツのフリーダイビングでも禁止です.こちらは恐怖に打ち勝つためでしょうか.なかなか奥深い規定です.


(投稿者 川崎)

2024-11-04

唾液腺型高アミラーゼ血症 Salivary hyperamylasemia

  • 血液検査で予想外に血清アミラーゼが高値であったが,P型(膵臓型)ではなくてS型(唾液型)で一安心した経験は誰もがあると思います.
  • P型アイソザイムの上昇は膵疾患と考えられますが,S型アイソザイムの上昇には様々な原因があるようです(ガム噛みや強いストレスなど).
  • 下表以外にも摂食障害(特に神経性過食症)などが知られています.中には酸味嗜好(ココ)や特発性(ココ)という報告も見つけました. 

 高アミラーゼ血症診断のフローチャート

👉 アミラーゼに関するの過去の投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2024-11-03

ネマリンミオパチー  Nemaline myopathy

  • 概略 筋線維内に桿状体様構造物(ネマリン小体)をもつ稀な先天性ミオパチー(筋疾患)
  • 病因 遺伝子異常(ACTA1, NEB, TPM2, TPM3, TNNT1, CFL2, KBTBD13, RYR1, SEPN1など)
  • 疫学 人種や民族,性別に関係なく5万人におよそ1人の頻度(本邦の患者数は約1,000人)
  • 症状 顔面筋を含む全身の筋緊張低下(フロッピーインファント),高口蓋,呼吸障害など
  • 分類 乳児期早期に死亡する乳児重症型,緩徐進行性の良性先天型,ならびに成人発症型
  • 治療 根本的な治療法はない(必要に応じリハビリ/呼吸障害や側弯に対する治療など)
  • 予後 乳児重症型は呼吸障害の程度によって規定され,良性先天型の予後は一般的に良好


先天性ネマリンミオパチーに関連した拡張型心筋症の1剖検例

(投稿者 川崎)

2024-11-02

ポイツ・ジェガーズ症候群 Peutz-Jeghers Syndrome

  • 食道以外の全消化管の過誤腫性ポリポーシスと皮膚・粘膜の色素斑を特徴とする症候群
  • STK11 遺伝子の生殖細胞系列の病的バリアントが原因で常染色体優性(顕性)遺伝形式
  • 小腸ポリープが好発し出血や腸重積(8歳頃~検査して10〜15mm以上なら内視鏡的切除)
  • 消化管や乳房,膵,子宮,卵巣,肺,精巣などに悪性腫瘍が発生するため定期検査が要
  • 名称は蘭内科医 Peutz J (1886–1957) の初報と米内科医 Jeghers HJ (1904–1990) の体系化

ポイツ・ジェガーズ症候群の身体的特徴

Peutz-Jeghers Syndromeの診断フローチャート

(投稿者 川崎)

2024-11-01

運動誘発肺胞出血
Exercise-induced pulmonary hemorrhage (EIPH)

  • 競走馬で有名な病態でレース後は半数以上に出現する
  • 重症例ではレース後のサラブレットで鼻出血を認める
  • 馬は運動でRAP>60mmHg,PCWP>70mmHgに達する
  • ただしEIPHの有無でRAPやPCWPには有意差なし(下図)
  • 予防にはフロセミドが有効(ただし日本では禁止薬物)
  • ヒトでもマラソンなどを契機に発症例の報告あり(

サラブレッド馬の内視鏡的評価(トレーニング終了60分後)

- 競走馬の負荷中の心内圧 -

😋 独り言
  • 先日の心不全学会での講演(杉本匡史先生)で知った病態です.とても興味深かったため調べてみました.こんなにも高圧になった時の頚静脈拍動ってどんなんだろう? 動脈との鑑別は容易ではないと予想します.
  • でもさすがサラブレット 🐎 あらゆる点でヒトとは比べ物にならない循環系でしょうか.だから運動耐容能も桁違いです.健常若者 11.4 METs,オリンピック選手 22.8 METs,サラブレット 57 METs(以前の投稿)

(投稿者 川崎)