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2024-08-06

ポンセ病 Poncet's Disease

  • 結核による非化膿性反応性関節炎(感作されたCD4+ 細胞が関節に移動し関節炎?)
  • フランスの外科医 Poncet A に由来 (Congres francaise de chirurgie 1887;1:732-9
  • 関節症状の持続期間は3日〜6年と様々ですべて非びらん性および非変形性の関節炎
  • 多発性関節炎で(結核性関節炎は単関節炎),中手指節関節や膝,手足首の小関節
  • 患者の48%に全身症状はなくほとんどの症例で結核は肺外性(リンパ節結核が最多)
  • 通常はすべての患者は抗結核治療により関節破壊なく完全に解消(NSAIDsの併用有)


💁 結核に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版は右欄から選択可)

(投稿者 川崎)

2022-08-13

通称 DOTS (ドッツ)

  • 直接服薬確認療法=directly observed treatment short-course
  • WHO(世界保健機関)が推奨している結核に対する治療戦略
  • 患者の発見から治療の評価までを行政の強力な関与の下に行う

👹 DOTS戦略の主な5要素東京都DOTSマニュアル
  1. 広範囲な結核対策活動を維持することを政府が合意すること
  2. 受診した有症状者の喀痰塗抹検査による患者発見を行うこと
  3. 適切な化学療法剤を必要期間投与する
  4. 必要な抗結核薬を規則的に、中断することなく供給すること
  5. 個々の患者の発見、治療成績、ならびに全体の結核対策の実施状況を評価する標準的な 報告、分析を行う


💁 結核に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2022-05-26

🎯 今週の一枚

労作時の胸痛で来院した症例



(投稿者 川崎)

2022-03-12

リファンピシンとオレンジ

抗結核薬リファンピシン添付文章の副作用欄より
  • 注4)尿、便、唾液、痰、汗、涙液がリファンピシン及びその代謝物により橙赤色等に着色する。なお、血清も同様の着色を示す。また、ソフトコンタクトレンズが変色することもある。

機序として薬剤の色が代謝されることなく排泄されているためと考えられる
(リファンピシンの粉末:Wiki

🉐 オレンジ関連の投稿
(投稿者 川崎)

2021-12-30

👴 歴史クイズ




(投稿者 川崎)

2021-09-15

ADA vs IgG4

  • 胸水中のADA(adenosine deaminase)上昇は結核性胸膜炎を示唆する
  • ADA 40.3 U/Lを分割値にすると,感度は100%,特異度は93.9%(引用
  • しかし最近,IgG4関連疾患によるADA上昇例の報告が散見される(下表)
  • 機序は不明(T細胞とB細胞の相互作用による細胞性免疫の活性化? 


(投稿者 川崎)

2021-09-12

日本内科学会 第233回近畿地方会より

🐤 9/11にWEBで開催(個人的に気になった演題)
演題 34 カテーテルアブレーションの際、中隔穿刺時に下行大動脈を誤穿刺してしまった1例
  • 心房中隔穿刺における大動脈穿刺の合併症は0.03~0.05%.本例ではワイヤーのみの大動脈に穿通していると判断し慎重に抜去してその後は通常通りに肺静脈隔離を実施.

演題59 EBUS-TBNAで結核性リンパ節炎と診断した慢性腎臓病患者の1例
  • EBUS-TBNAとはendobronchial ultrasound-guided trans- bronchial needle aspirationの略で超音波ガイド下経気管支針生検のこと

演題91 1週間前からの咳嗽を契機に診断された気管支結石
  • 気管支結石の成因に関しては,気管支内腔の分泌物・粘液・異物を核に石灰沈着を生じたもの.肺実質・気管支周囲リンパ節の石灰化,気管支壁の石灰化が知られている.

演題97 処方カスケード形成によるポリファーマシーの1例
  • 処方カスケードとは処方された薬剤による有害な反応を新たな病状と誤認し,それに対して新たな処方をすること.本例では利尿薬によって生じた食思不振・嘔吐に対して制吐薬や漢方薬が処方された.

演題112 緊急内視鏡治療が奏功した糞便による閉塞性大腸炎
  • 糞便による閉塞性大腸炎は受診時にショックを呈し緊急手術の適応となる症例が多い.早期診断および内視鏡的治療により重症化を回避しえるため,便秘症の診療に当たっては本疾患に念頭に置く.

🎊 当院からの発表(とてもよかったよ〜)
  • 演題26 ばち指が肺癌の診断と経過観察に有用であった労作性狭心症の1例(土橋哉仁先生ほか,循環器内科・呼吸器内科・呼吸器外科)

🎓「学会」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2021-08-14

DALY ダリ  障害調整生命年

  • Disability Adjusted Life Yearsの略
  • 損失生存年数と障害生存年数の合算
  • 疾患や障害,死による喪失の年換算
  • 疾病負荷を総合的に示す指標の一つ
  • 1DALY=健康生活が1年間失われる
  • 疾患の社会的な重み付け比較に有用

世界の疾病負荷2019年 WHO引用
順位 死因 DALYs (万) DALYs(%) DALYs
(10万人当たり)
1 新生児疾患 20,182.1 8.0 2,618
2 虚血性心疾患 18,084.7 7.1 2,346
3 脳卒中 13,942.9 5.5 1,809
4 下気道感染症 10,565.2 4.2 1,371
5 下痢性疾患 7,931.1 3.1 1,029
6 交通事故 7,911.6 3.1 1,026
7 COPD 7,398.1 2.9 960
8 糖尿病 7,041.1 2.8 913
9 結核 6,602.4 2.6 857
10 先天異常 5,179.7 2.0 672
11 背中と首の痛み 4,653.2 1.8 604
12 うつ病性障害 4,635.9 1.8 601
13 肝硬変 4,279.8 1.7 555
14 気管、気管支、肺がん 4,137.8 1.6 537
15 腎臓病 4,057.1 1.6 526
16 HIV / AIDS 4,014.7 1.6 521
17 その他の難聴 3,947.7 1.6 512
18 墜死 3,821.6 1.5 496
19 マラリア 3,339.8 1.3 433
20 裸眼の屈折異常 3,198.1 1.3 415


(投稿者 川崎)

2021-05-12

関節炎の鑑別診断

🐧 診断のポイント
  • 問診が大切:既往歴,家族歴,始まりと経過,持続時間,部位,朝のこわばり他
  • 関節外疼痛の除外:筋なら筋肉把握痛,腱や関節周囲なら伸展〜屈曲の時に疼痛
  • 関節痛なら分類:単発性か多発性&急性(発赤と熱感)か慢性で鑑別(下図〜)


🐤 急性関節炎を呈する主な疾患引用
  • 細菌性関節炎 ➜ 好発部位は大関節,免疫能低下したものが罹患しやすい
  • 痛風 ➜ 好発部位は第一足趾節関節,ときに足・足根・膝関節,中年男性に多い
  • 偽痛風 ➜ 好発部位は膝関節,中高年
  • 急性骨髄炎 ➜ 脛骨・大腿骨・上腕骨などの長管骨の骨幹端に多い.乳幼児
  • 機能的関節内障害 ➜ 膝の半月板・十字靭帯などの外傷
  • 出血 ➜ ロッキング現象,外傷,滑膜血管腫,血友病,色素性絨毛性結節性滑膜炎

🐦 慢性関節炎を呈する主な疾患引用
  • 結核性及び真菌性関節炎 ➜ 免疫能の低下したもの,結核では成人の場合,膝関節 小児では脊椎・股関節
  • 変形性関節症 ➜ 肥満者・高齢者・膝・遠位指節間関節
  • Charcot関節症 ➜ 基礎疾患に糖尿病・梅毒・脊髄空洞症などがある
  • 機械的関節損傷 ➜ 膝の半月板・十字靭帯損傷
  • 離断性骨軟骨症 ➜ 思春期から青年期の男性,膝
  • 無菌性骨壊死 ➜ 大腿骨頭,長期間の副腎皮質ステロイド薬服用者 アルコール中毒,肝硬変などの患者にみられる
  • サルコイドーシス ➜ 手,足などの対称性多発性関節炎
  • 色素絨毛性結節性滑膜炎 ➜ 膝,青年
  • 滑膜骨軟骨腫 ➜ 膝,30〜50歳代

(投稿者 川崎)

2021-04-23

ばち指 vs 結核

ばち指自体は、今のところ血小板由来増殖因子(PDGF)や血管内皮細胞増殖因子(VEGF)が肺の毛細血管で除去されないことで末梢組織まで流れ、指尖部の結合組織を肥厚させていると考えられています。肺癌では肺の毛細血管が破壊されることで、これらの因子を捕集することができなくなるため、ばち指になると考えられます。特発性肺線維症でばち指が見られるのも同様の理由だと考えられます。

😗 では、なぜ "結核ではばち指が見られない" かについてですが、僕なりに2つの仮説を立て、それぞれについて考えてみました。
  • 仮説1 結核の好発は肺尖部であることから、肺尖部の毛細血管は、増殖因子の捕集に重要な役割を担っていない ➜ 今回の患者さんのようにPancoast腫瘍であってもばち指が見られるため恐らく違う
  • 仮説2 結核の病巣部で毛細血管が保たれているから、増殖因子が末梢に出てこない ➜ このことについて調べてみると、めちゃくちゃ昔の文献ですが、こんなものがありました ➜ 論文

上記研究では、細葉性結節:毛細血管の異常構造、破綻なし小葉性乾酪性病巣:乾酪壊死巣では毛細血管が消失しているが、周囲で毛細血管が発達していると総括されています。結核では乾酪壊死巣で毛細血管の破綻が起きたとしても、周囲で毛細血管が発達することで増殖因子の捕集には影響を及ぼさないと考えられます。これは、仮説2を支持するのではないかと考えています。

😑 しかし、いくつかの文献を読んでいると、結核患者の1/3でばち指が観察できた、というものもあります。
ただこれらの調査対象はアフリカ地域であり、結核に対する医療が十分でないということが書かれているため、不十分な治療では毛細血管の破綻を来す可能性がある、とも読み取れるかなと思っています。とはいうものの、上で紹介した日本の臨床研究に関しても、昭和28年時点で日本の結核治療がどのようなものだったのかは僕自身よく分からない、、、ということがlimitationです。

🏃 感想
  • 国試的には、ばち指は特発性肺線維症で見られるがCOPDでは見られない、ということが有名で、COPDでは血管破綻しないんかなっていうところが現在の疑問です。

(投稿者 土橋)

2021-03-17

ゴーン複合体 Ghon complex

  • 結核のときに認める肺内の初感染巣(Ghon focus/ゴーン巣)+リンパ節病変のこと(石灰化を伴えばRanke complex)
  • オーストリアの病理医 Anton Ghon(1866-1936)に由来している(Berlin & Wien, Urbach & Schwarzenberg, 1912)


 😋 雑学
  • 日産・ルノーの元社長であるゴーン氏の名前はGhosnと少し異なります
  • ゴーンと読む人名には,他にもGongやGaunt,Gornなどがあるようです

(投稿者 川崎)

2020-09-20

汎血球減少 Pancytopenia

定義 赤血球・白血球・血小板のすべてが減少した状態
  • ヘモグロビン ➜ 男 12.0g/dl未満,女 11.0g/dl未満
  • 白血球 ➜ 4,000/μl未満
  • 血小板 ➜ 10万/μl未満

先週の復習 😁 汎血球減少を生じる原因疾患は?(最低5/目標10)➜


(投稿者 川崎)

2020-08-15

😑 CTのレポートに”CPPAの疑い”って書いてありました!

  • CPPA=Chronic progressive pulmonary aspergillosis(邦名は慢性進行性肺アスペルギルス症)
  • 糸状菌のアスペルギルス属(Aspergillus fumigatusやA. niger,A. terreus等)による真菌症
  • 肺アスペルギルス症の一つで,CPPA以外の病型として侵襲性,単純性,アレルギー性がある
  • CPPAは通常,陳旧性肺結核やCOPD,胸部外科手術後,間質性肺炎など肺の基礎疾患と関連
  • 特徴は1月以上の咳・熱+進行性の肺空洞影・胸膜肥厚+抗菌薬・抗酸菌薬無効+炎症反応
  • 適切なバイオマーカーはない(血清ガラクトマンナン抗原や血清βグルカンの陽性率は低い)
  • アスペルギルス沈降抗体検査は約90%が陽性であるが保険収載なし/培養の陽性率は約50%
  • 本邦の5年間の発症率は人口10万あたり2.5人で5年生存率は18%~49.8%と予後不良である


ベータ β beta D グルカン
🉐 関連投稿(紛らわし略語編)

(投稿者 川崎)

2020-04-26

医薬品副作用被害救済制度

  • 医薬品の副作用で患者さんが入院や死亡した時に救済給付される制度
  • 独立行政法人である医薬品医療機器総合機構(PMDA)が担っている
  • 請求者(当人または遺族)が給付請求を行う必要あり(申請はコチラ
  • 年間1000件以上の申請で8割以上に支給(不支給の理由と事例は下記)


関連投稿 🉐(副作用編)

(投稿者 川崎)

2019-09-17

抗結核薬の主な副作用

抗結核薬の使用にあたっては、副作用の発現に十分に注意する。全ての薬剤で肝障害、アレルギー反応(発熱、発疹)は起こりえる。

・INH
肝障害、末梢神経障害、アレルギー反応(発熱、発疹)がある。末梢神経障害の治療にはビタミンB6が有効である。

・RFP
肝障害、食欲不振・悪心などの胃腸障害、アレルギー反応(発熱・筋肉痛・関節痛などのインフルエンザ様症状、まれに血小板減少、ショック症状)、尿・便等の着色(尿、便、唾液、痰、汗、涙液が橙赤色等に着色する)などがみられる。胃腸障害のある場合は、朝食後に服用させる。

・EB
視神経障害(視力低下、視野の狭窄・欠損、色覚の異常など球後神経炎の症状)に注意し、月1回視力検査を行う。

・PZA
肝障害、胃腸障害、高尿酸血症、関節痛がある。

(投稿者 小森)

2019-08-15

熱型 Fever pattenrs

🔥 代表的な4型
  1. 稽留熱 Sustained (or Continuous) fever:体温の日内変動が1℃以内かつ最低体温が37℃以上 ➜ 大葉性肺炎,腸チフス,髄膜炎,ブルセラ症粟粒結核など
  2. 弛張熱 Remittent fever:体温の日内変動が1℃以上かつ最低体温が37℃以上 ➜ 敗血症,化膿性疾患,ウイルス感染,肺結核など
  3. 間欠熱 Intermittent fever:体温の変動が1°C以上かつ最低体温が37℃以下 ➜ 腫瘍,薬剤性など
  4. 回帰熱 Relapsing fever:発熱期と無熱期を数回繰り返す ➜ ボレリア感染(多くはダニ媒介性),ホジキン病


🌋 その他の型
  • 周期熱 Periodic fever:高熱期と無熱期の周期的な変化 ➜ マラリア(三日熱,四日熱),ステロイド熱
  • 波状熱 Undulant fever:有熱期と無熱期が不規則に出現 ➜ ブルセラ症ホジキン病

👶 稽留熱の読み方は「けいりゅう」熱・・・実は投稿者は読めず 🐧

関連投稿 🉐

(投稿者 川崎)

2019-07-06

今週の総診カンファレンスより

  • 粟粒結核では喀痰から結核菌を検出しにくいが(以前の投稿),肝生検や骨髄生検で結核菌を検出できることが少なくない.
  • 特発性血小板減少性紫斑病は長年ITP (=Idiopathic thrombocytopenic purpura)と呼ばれてきたが,最近では(一次性)免疫性血小板減少症免[(primary) immune thrombocytopenia]と称される機会が増加している(血栓止血誌 2018;29:281-7

💙 関連投稿

(投稿者 川崎)

2019-06-24

回盲部の腸炎 シンプル問答集


👿 おまけ

大腸菌O-157は上行結腸に多く,アメーバクラミジアなどの性感染症は直腸に多い.偽膜性腸炎は全大腸に生じて,白血球の著増(>3万)するケースがある.

(投稿者 伴野/堀田/川崎)

2019-03-09

抗酸菌 喀痰3連痰+PCR1回

結核感染が疑われる場合あるいは否定できない場合は,異なる日に喀痰を3回採取(3連痰)して抗酸菌の塗抹と培養検査を行う.そのうち1回は直接検体から菌の遺伝子を検出するPCR法を併用する(月1回まで保険算定が可能).喀痰が採取できない場合には胃液あるいは気管支鏡等による検体の採取を検討する.

  • 塗抹・培養の感度は3回すれば各々91%と99%
  • 塗抹とPCR(核酸増幅法検査)は1回で感度89%

🉐 関連投稿

(投稿者 川崎)

2019-01-04

ランダム分布 Random distribution

胸部CTで結節影の分布パターンのひとつ

代表的なパターンをざっくりとまとめると・・・
  1. ランダム(Random)⇔ 血行進展(粟粒結核や悪性疾患の血行性転移など)
  2. 小葉中心(Centrilobular)⇔ 気道進展(呼吸器感染症やびまん性汎細気管支炎など)
  3. 小葉辺縁(Perilymphatic)⇔ リンパ進展(癌性リンパ管症や肺水腫,サルコイドーシスなど)

ランダム分布
シェーマ(A:黄色はリンパ流)と実例(B:肺癌転移,C:ヒストプラズマ症,D:敗血症性肺塞栓症)

(投稿者 川崎)