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2026-09-12

トラヘルパー 輪状甲状靭帯穿刺針

【使用目的又は効果】
  • 本品は輪状甲状膜に留置することを目的としたチューブで、気管切開後の気道確保、緊急時の気管切開による気道確保、気管内分泌物の吸引、気管内及び気管切開孔の狭窄防止や保持の何れかを目的として、気管切開後の気管内に挿管して使用す

【禁忌・禁止】
  • 再使用禁止
  • 12歳以下の症例、血液凝固異常、咽頭外傷、気管損傷、声門下狭窄、高度肥満
  • カフ付きの気管内チューブや気管切開チューブの適応となる長期呼吸管理が必要な症例には使用しないこと。[カフがなく、チューブ径も細いため、長期人工呼吸管理には適さない。]


トラヘルパー 輪状甲状靭帯穿刺針




(投稿者 川崎)

2026-09-10

今週の一枚 🎯

食事中にピアスを飲み込んだ若い男性

💋 解説
  • 胃内に棒状の金属性異物の疑い
  • 腹腔内に遊離ガスは認められず
  • 緊急上部内視鏡を行い異物除去
  • 脱落した唇ピアスの一部だった

👂 追加コメント
  • はじめは,「どうやって食事中にピアスなんて飲み込んだんだろう?」と思いましたが,耳のピアスではなくて,口のピアスでした.
  • 唇ピアス vs 耳たぶピアスの脱落率を直接比較した論文は見つかりませんでしたが,リップピアスの方が落下しやすいと思われます.
  • その理由は,口の物理的な負荷の多さ(会話や食事など)に加え,装着による歯肉退縮(Dent Traumatol 2006;22:7-13)など?

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(投稿者 川崎)

2026-08-27

今週の一枚 🎯

舌の腫脹で救急外来に搬入された高齢者

🔎 解説
  • 舌は腫大し舌根に白苔と腫瘤病変あり
  • 採血は白血球9200/μl,CRP 8.76mg/dl
  • 造影CTで明らかな膿瘍を疑う所見なし
  • 右側の顎下腺に一致して石灰化(赤丸)
  • その周囲には僅かに浮腫様の変化あり
  • 本症例の最終診断は急性の右顎下腺炎

👅 追加情報
  • 耳鼻咽喉科をコンサルト:舌腫脹+右口腔底のワルトン管の走行に沿った腫脹+ワルトン管開口部から排膿あり→ワルトン管開口部から洗浄+抗菌薬(2週間予定)
  • ワルトン管(Wharton's duct)とは顎下腺管で,顎下腺から分泌された唾液を口腔内へ導く導管(排泄管).およそ5cm程度の長さで,唾石症の好発部位でもある.
  • なお洗浄液の培養からKlebsiella pneumoniae(過粘稠性株,String test+)を検出→眼内炎および膿瘍の全身検索も追加するが,特記すべき異常所見はなかった.

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(投稿者 川崎)

2026-08-20

今週の一枚 🎯嚥下負荷

心不全の悪化から改善中の症例(座位)

🔎 解説
  • 安静座位では内頚静脈の拍動は不明瞭
  • 偶然、患者さんが自発的に唾液を嚥下
  • 直後に内頚静脈の拍動が出現(矢頭)
  • その隆起は暫くすると見えなくなった

😋 独り言
  • 嚥下はとても複雑な生理現象で、胸腔内圧は相(口腔期・咽頭期・食道期)によって異なる変動を示します。ただし胸腔内圧は概ね陰圧になるため、静脈灌流が増加して中心静脈圧(あるいは右房圧)が上昇するようです。
  • もっとも胸腔内圧の陰圧程度は、吸気と比較すると嚥下では少ないようです(右下の図Cのグラフを参照)。吸気などの指示が入らない症例では、上肢挙上や前屈に加えて、嚥下負荷も心不全評価に有用…世界初の報告?


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(投稿者 川崎)

2026-07-19

乾癬と扁桃摘出

💁 先日の学校健診で...
  • 医師「大きな病気したことありますか?」
  • 学生「別にないです。でも手術しました」
  • 医師「手術ですか…どんな手術ですか?」
  • 学生「扁桃摘出です。乾癬があったので」
  • 医師「乾癬で手術?…扁桃を摘出…??」

📑 乾癬における扁桃摘出術の有用性
  • 尋常性乾癬7例に対する扁摘の効果とその病理学的特徴について検討
  • 7例の内訳は男性3例, 女性4例であり, 年齢は9歳から46歳であった
  • 扁摘による効果は3例が消失, 2例が著効であり, 治療効果は約70%
  • 病理では, T領域の拡大, Bリンパ濾胞の縮小, アポトーシス細胞増加
  • 乾癬の中には扁桃病巣感染症の特徴を持つ症例が存在することが示唆


(投稿者 川崎)

2026-07-09

今週の一枚 🎯

立ち上がり時のめまいで来院した症例

🔒 解説
  • 右眼の睫毛徴候陽性かつ右鼻唇溝は明らかに浅い
  • 起立は不安定で右へ容易に転倒(lateropulsion) 
  • MRIで右延髄外側にDWI高信号 (A) +ADC低下 (B)
  • 最終診断は右延髄外側梗塞(ワレンベルグ症候群)

🔓 臨床裏話
  • 本例のめまい感は頭位変換後30秒ほど持続し、安静により軽減しました。来院時には明らかな神経学的な異常所見がなく、頭部CTやMRIにも特記すべき異常所見はありませんでした。
  • BPPV(良性発作性頭位めまい症)と診断して耳鼻咽喉科に入院してもらいました。しかし、その後に右側顔面の異常が顕性化し、MRI再検(上記画像)で最終診断に辿り着きました。

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(投稿者 川崎)

2026-05-28

今週の一枚 🎯

労作とは関係ない胸痛を訴えて来院した高齢者

💀 解説
  • 左写真:耳垂に皺あり(フランク徴候が陽性)
  • 右写真:「胸部症状はどこですか?」の質問後
  • 手掌で心臓のあたりを指すパームサイン陽性
  • 緊急カテで左回旋枝に高度狭窄を認めPCI施行

💫 臨床裏話
  • 本症例は他院で肥大型心筋症として長年フォローされていた方でした.来院時の心電図では著明な左室肥大を認めました(ST上昇はなし).心エコー図では不均一な左室肥大がありましたが,明らかな壁運動異常はないと判断.高感度トロポニンも陰性
  • 非発作時には心電図のST低下が少しだけ改善しました.しかし派手な左室肥大を呈する肥大型心筋症例では,後負荷や前負荷,心拍数の変化でST-T部分が変わることは稀ではありません.我々もこの時点では積極的に冠動脈疾患を疑っていませんでした.
  • 一旦,入院で経過観察しつつ,かかりつけ医からの情報提供を待つことにしました.しかし,その後も断続的に5-10分持続する胸部症状が出現しました.フランクサインとパームサイン(いずれも虚血性心疾患と関連)もありCAGに踏み切りました.

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(投稿者 川崎)

2026-02-10

ガマ腫 🐸 Ranula

  • 舌下腺導管が閉塞し舌下腺からの唾液が周囲間隙に漏出した貯留嚢胞
  • その命名はガマガエルが喉を膨らませた姿に似ていることに由来する
  • 10~20歳代に好発する疾患で, 組織学的には上皮細胞を欠く偽嚢胞
  • 口腔底限局の舌下型,顎下進展の顎下型,口腔底〜顎下の舌下顎下型
  • 治療は開窓術,嚢胞摘出術,舌下腺摘出術などの手術に加え硬化療法

参考)口咽科 2023;36:59-64,他

口腔底の腫脹を生じたガマ腫の12歳女性
OK-432(ピシバニール®)高濃度注入法で消失

(投稿者 川崎)

2026-02-07

🌀 BPPVならぬPPPD

  • BPPV: Benign Paroxysmal Positional Vertigo(良性発作性頭位めまい症) 
  • PPPD: Persistent Postural-Perceptual Dizziness(持続性知覚性姿勢誘発めまい) 

😨 PPPD 
  • 持続性のふらつき・不安定感を中核症状とする機能性めまい疾患
  • 非回転性のめまいが3月以上継続し、立位・動作・視覚刺激で悪化
  • 何らかの前庭症状を先行後に発症することが多く、重症例が多い
  • 40-60代の女性に多く、めまい疾患の15~20%(BPPVに次いで多い)
  • 自然寛解が少なく、長期に生活機能障害や抑うつ・不安をきたす
  • 治療は認知行動療法、前庭リハビリ、薬物療法(SSRIとSNRI)など


- PPPDの診断基準 -

💁 めまいに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2026-01-24

唾石症 Sialolithiasis

  • 解剖 唾液腺は大唾液腺(耳下腺,顎下腺,舌下腺)と小唾液腺で構成
  • 原因 脱落上皮,迷入異物,細菌などの周囲にカルシウムが沈着し形成
  • 部位 9割以上は顎下腺に発生(ただし最新の欧米報告では耳下腺が最多)
  • 疫学 77例の検討では30代が最多(4~74歳)で男42例,女34例(※)
  • 症状 唾液疝痛と呼ばれる食事時の疼痛(顎)や腫脹などを引き起こす
  • 診断 CT,超音波検査,唾液腺造影は高感度(臨床診断が不確実な場合)
  • X線 顎下腺唾石の90%は放射線不透過性なため単純X線は正確ではない
  • 治療 局所麻酔による口内摘出術,5mm以上や癒着症例は全身麻酔手術

参考)日耳鼻 2022;125:1405-8,他

- 耳下腺腫脹と疼痛,開口障害を訴える60歳女性 -


(投稿者 川崎)

2026-01-22

今週の一枚 🎯

2日前より発熱と咽頭~後頚部痛を訴える若い女性


(投稿者 川崎)

2025-12-13

海綿静脈洞血栓症 Cavernous Sinus Thrombosis (CST)

  • 概略 海綿静脈洞内血栓で神経症候を呈した病態
  • 機序 静脈洞の炎症波及による血栓形成でうっ滞
  • 原因 感染性と非感染性があり感染の波及が多い
  • 症状 患側の眼窩周囲浮腫,眼球突出,結膜浮腫
  • 神経 眼筋麻痺,顔面感覚障害(Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ・Ⅵ)
  • 合併 髄膜炎,下垂体機能不全,内頸動脈血栓他
  • 治療 早期の抗菌薬と抗凝固療法+原疾患の治療
  • 予後 致死率は約30%で50%以上が後遺症を残す


齲歯で海綿静脈洞血栓症とLemierre症候群を合併した54歳女性

(投稿者 川崎)

2025-11-07

人中じんちゅう Philtrum

  • 鼻中央~唇上部の垂直溝で多くの哺乳類が有する
  • (おそらく)医学用語(ガイドラインや論文記載)
  • 口から水分を運び鼻を湿潤?(嗅覚機能に有利?)
  • 胚発達期に鼻隆起と上顎突起が出会う場所に形成
  • 融合が不完全なら口唇口蓋裂で人中形成術が必要

(投稿者 川崎)

2025-10-02

今週の一枚 🎯

- 息苦しさで来院した高齢男性 -



(投稿者 川崎)

2025-07-27

カルマン症候群 Kallmann syndrome

  • 概要 嗅覚低下と低ゴナドトロピン性性腺機能低下の合併した症候群
  • 形式 X連鎖潜性,常染色体顕性・潜性遺伝などのさまざまなパターン
  • 原因 視床下部ゴナドトロピン放出ホルモン(LHRH)ニューロン障害
  • 命名 ドイツ系米国人 Franz Josef Kallmann(1897–1965)の初報(※)  
  • 疫学 男性で約1万人に1人,女性で5万人に1人で男性優位に発症する
  • 症状 女児で14歳,男児で15歳まで二次性徴の欠落または不完全発現
  • 合併 無嗅症や低嗅症,腎形成異常,難聴、口唇口蓋裂など(下表)
  • 治療 性ホルモン補充(挙児に至る例あり),一部で自然に軽快例あり



(投稿者 川崎)

2025-04-17

今週の一枚 🎯

大動脈瘤を指摘された男性



(投稿者 川崎)

2025-03-29

レフェトフ症候群  Refetoff syndrome

  • 概要 甲状腺ホルモンに対する標的臓器の反応性が減弱した病態
  • 原因 主に甲状腺ホルモン受容体βの異常(常染色体顕性遺伝)
  • 命名 米国の小児科医 Samuel Refetoff らが1967年に報告(論文)
  • 疫学 日本では100名未満:大部分が家族性で散発例は10~15%
  • 症状 甲状腺腫と軽度の頻脈以外の症状を示さない症例が多い
  • 契機 FT4とFT3の上昇にもかかわらずTSHが上昇または正常内
  • 診断 TRH負荷試験では正常反応でT3抑制試験ではTSHの抑制
  • 治療 甲状腺ホルモンの高値で代償され治療不要な症例が多い
  • 予後 頻脈のある患者は注意(心房細動で若年脳梗塞の報告有)

参考)難病情報センター,他

- 甲状腺ホルモン不応症の31歳女性 -

👉 甲状腺に関するの過去の投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2025-03-22

知っ得クイズ

 問題  :難治性吃逆ときたら

👀 視神経脊髄炎関連疾患(neuromyelitis optica spectrum disorder; NMOSD)
  • 壊死性脱髄を呈する急性の視神経炎や脊髄炎を特徴とする炎症性の疾患
  • 頭部MRI画像で延髄背側に病変を認め、抗AQP4抗体が疾患特異的に発現
  • 特に持続する嘔気や吃逆はNMOSDを疑う所見である事が示唆されている
  • 延髄背側の最後野が特徴的な病変部位であり難治性吃逆や嘔吐の原因


吃逆・食欲不振で発症したNMO spectrum disorderの80代女性

💁 吃逆(しゃっくり)に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2025-03-10

心不全と長母音(声)

  • 急性の非代償性心不全では発声も注目すべき身体所見の一つになるようです.肺うっ血などによる息切れに加えて,声帯浮腫などの影響があるようです.心不全症例に「あ~」と言ってみてくださいという日が来るのかもしれません(すでに実施されている施設が少なくなかったりして…😅)

🚨 臨床研究(Appl Sci (Basel) 2023;13:1827)
  • 急性心不全で入院した患者52人の会話を毎日記録
  • 音声と会話の特徴を同定し治療中との関連を調査
  • 治療後は治療前より安定(明瞭で速くて長い発声)


😀 独り言
  • 息切れの判定方法としてはリハビリ中のトークテスト(Talk test)が有名です.運動強度を推定する簡便な方法の一つで,快適に会話しながら行える運動強度はおおむね安全に実施できることがガイドラインにも記載されています. 
  • 昨年の心不全学会での講演で,「長母音を18秒出せれば5メッツ以上の運動耐容能」ということを耳にしました(論文を探し出せず).循環器診療では身体所見が大切ですが,音声に関してはまだこれからの領域かもしれません.

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2025-02-19

スタージ・ウェーバー症候群 Sturge–Weber syndrome

  • 概要 頭蓋内の軟膜血管腫と顔面の毛細血管奇形,緑内障を特徴とする神経皮膚症候群の一つ
  • 命名 英国の医師 Sturge WA (1850–1919)と英国の皮膚科医 Weber FP (1863–1962)の報告(※)
  • 症状 顔面ポートワイン斑,難治性てんかん、精神運動発達遅滞,運動麻痺,視力障害など
  • 原因 9番染色体長腕上に存在するGNAQ遺伝子の単一ヌクレオチド、モザイク変異(非遺伝性)
  • 疫学 年間50,000~100,000出生に1人の発症率と推定(本邦では年間10~20人の発生となる)
  • 治療 対症療法(てんかんに対し薬や外科治療,顔面毛細血管奇形に対しレーザー治療など)
  • 予後 成人期まで観察した多数例の長期予後の報告はない(緑内障は緩序進行性で失明あり)


Sturge–Weber syndrome(SWS)の21歳女性

(投稿者 川崎)