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2021-11-27

アミラーゼ陰性膵炎

  • 先日経験した急性膵炎の症例では血中アミラーゼ値が正常範囲内でした(急性膵炎は腹痛・膵酵素上昇・画像所見の3項中2項目以上を満たせば診断可能)
  • 本例の腎機能は正常で,かつ尿中アミラーゼ値も正常範囲内(通常,膵型高アミラーゼ血症では尿中アミラーゼのほうが血中アミラーゼより著明に上昇)
  • さらに本例にはアミラーゼが低値になる基礎疾患もありませんでした.なお当院ではリパーゼは外注検査のため救急現場では評価することができません.

👻 少数例(52例)の検討ですが...(Clin Biochem 2017;50:1275-80
  • 計57回の急性膵炎発作で血清アミラーゼ値が正常範囲内であった頻度は12回(21%)⇠ 意外に多い😮
  • アミラーゼ値上昇の急性診断に対する診断能:感度79%,特異度97%,陽性的中率96%,陰性的中率82%
  • 血清リパーゼ上昇の診断感度は95%と血清アミラーゼ上昇より良好で,アミラーゼ上昇よりも長く持続

💁 膵炎に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2021-11-22

術後のアミラーゼ上昇

  • 対象は胸部手術74例(体外循環55例),腹部手術56例,他162例
  • 合計292例中56例 (19.2%) に術後の高アミラーゼ血症が出現した
  • 膵型高アミラーゼ血症は6例で直接膵侵襲を加えた症例に限られた
  • 唾液腺型高アミラーゼ血症は50例で体外循環による開心術で最多
  • 唾液腺型の6例では術後3日目に5例,7日目には全例が正常化した

👾 呟き
  • 挿管などの口腔内操作が唾液線を刺激するため,術後に唾液アミラーゼが上昇するのかな〜と思っていました.しかしそれでは術式によるアミラーゼ上昇度の差を説明することはできません.
  • どうやら体への侵襲度と関連するようです.唾液腺型アミラーゼはストレス環境で上昇しリラックス環境で低下します().血漿ノルエピネフリン濃度とも相関が良いため,様々な状況でストレス指標として活用されているようです().

💁 アミラーゼに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2024-11-04

唾液腺型高アミラーゼ血症 Salivary hyperamylasemia

  • 血液検査で予想外に血清アミラーゼが高値であったが,P型(膵臓型)ではなくてS型(唾液型)で一安心した経験は誰もがあると思います.
  • P型アイソザイムの上昇は膵疾患と考えられますが,S型アイソザイムの上昇には様々な原因があるようです(ガム噛みや強いストレスなど).
  • 下表以外にも摂食障害(特に神経性過食症)などが知られています.中には酸味嗜好(ココ)や特発性(ココ)という報告も見つけました. 

 高アミラーゼ血症診断のフローチャート

👉 アミラーゼに関するの過去の投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2019-01-02

アミラーゼ低値

アミラーゼは膵臓の外分泌腺で生成される消化酵素のひとつで主に炭水化物を分解する

  • 腹痛症例でアミラーゼ上昇ならもちろん急性膵炎を考慮(ただし重症度判定の項目にAMY値はなく,稀にAMY正常の膵炎あり)
  • 一方,アミラーゼ値が減少する疾患・病態として膵摘出後や慢性膵炎の末期,肝硬変,唾液腺摘出後,重症の糖尿病などがある

関連投稿

(投稿者 川崎)

2022-01-20

🎯 今週の一枚

1週間前より増悪する息切れで来院した壮年の大酒家

🎤 現場中継
  • 胸部X線では両側に大量の胸水貯留を認めた.左心不全が疑われ循環器内科医がコンサルトされたが,身体所見に心不全を示唆する所見(座位での頸静脈拍動やギャロップ音,下腿浮腫など)はなく,ベットサイド心エコー図にも特記すべき異常所見はなかった.
  • 採血ではP型アミラーゼが上昇していた.CTで膵臓に著明な腫大はなかったが,主膵管が不整に拡張していた.膵体部の不整形な嚢胞性病変が食道方向に進展しているように観察され、周囲の脂肪織濃度は上昇していた(下図).この時点で膵炎と仮性嚢胞が疑われた.
  • 穿刺では血清胸水でP型アミラーゼの高値が確認され,食道周囲の仮性嚢胞が破裂し胸腔に穿破した可能性が考えられた.ドレナージと膵炎治療で胸水は経時的に減少した.最終的にアルコール性慢性膵炎の急性増悪,膵仮性嚢胞の胸腔内穿破(膵性胸水)と診断した.


膵性胸水 💦
  • 膵液が直接漏出することに起因する胸腔内の液体貯留(炎症による反応性を除く)
  • 30~60代男性の左側に多く,82~95%はアルコ ール性の慢性膵炎に関連している
  • 発生頻度は膵仮性囊胞の1%以下で,胸水中アミラーゼ・リパーゼの上昇が特徴的
  • 膵管-胸腔瘻孔の診断はERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影)により確診される
  • 重症例では外科療法が推奨されてきたが,近年は経皮的ドレナージで保存的加療


👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2020-09-26

膵炎の重症度分類:今週のモーニングレクチャーより

💣 予後因子
  1. Base Excess≦-3 mEq/L,またはショック(収縮期血圧≦80 mmHg)
  2. PaO2≦60 mmHg(room air),または呼吸不全(人工呼吸管理が必要)
  3. BUN≧40 mg/dL(or Cr≧2 mg/dL),または乏尿(輸液後も1日尿量が400 mL 以下)
  4. LDH≧基準値上限の2倍
  5. 血小板数≦10万/mm3
  6. 総 Ca≦7.5 mg/dL
  7. CRP≧15 mg/dL
  8. SIRS 診断基準における陽性項目数≧3
  9. 年齢≧70歳

  • 上記の3項目(点)以上で重症と判断(ただし予後因子が3点未満でも造影CT Grade 2以上の場合は重症と判断する)
  • SIRS診断基準項目:(1)体温>38℃または<36℃,(2)脈拍>90 回/分,(3)呼吸数>20回/分または PaCO2<32 torr, (4)白血球数>12,000/mm3 か<4,000 mm3または10%幼若球出現


👀 ポイント
  • アミラーゼやリパーゼの値は重症度に含まれない
  • 膵炎なら静脈血でなくて動脈血でガス分析を行う
  • 胆石性ならERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)
  • 死亡率は2.1%(重症なら10%/2週間以内に多い)
  • 膵炎による主な死因は循環不全に伴った臓器不全

(投稿者 川崎)

2018-02-26

リパクレオンについて

【製品名】
リパクレオンカプセル150mg
【一般名】
パンクレリパーゼ
【効能・効果】
膵外分泌機能不全における膵消化酵素の補充
【用法・用量】
通常、パンクレリパーゼとして1回600mgを1日3回、食直後に経口投与する。
なお、患者の状態に応じて、適宜増減する。
【治療学的・製剤学的特性】
(1)健康なブタ膵臓から得られた膵消化酵素製剤で、特にリパーゼ活性を高めたものであり、本邦で初めて膵外分泌機能不全に対する有効性及び安全性が検証された薬剤である。
(2)膵外分泌機能不全患者が食物を効率よく消化できるように工夫された製剤である。
・日局パンクレアチンと比較した単位重量当たりの力価として、製剤ではリパーゼで約8.4倍、プロテアーゼで約7.0倍及びアミラーゼで約6.5倍の力価を有する。
・胃内での失活を防ぐために腸溶性剤皮が施されており、さらに、胃内で食物と良く混和し、食物と共に速やかに十二指腸に排出されるのに最適な粒径(MMS製剤)を有している。
(3)膵外分泌機能不全患者に対し、栄養状態の代替指標のひとつである脂肪吸収率を著明に改善する。
(4)栄養素の消化吸収を改善することにより、患者の栄養状態を改善する。

(投稿者 小森)

2019-06-07

膵性脳症 Pancreatic encephalopathy

  • 定義 膵炎に随伴して生じて精神神経症状を呈した病態
  • 初報 Rothermichらが提唱(J Clin Endocrinol 1941;1:872)
  • 症状 失見当,意識障害,錯乱,病的反射,運動失調など
  • 機序 膵障害によるニコチン酸低下?膵酵素による脳障害?
  • 治療 対症療法+サイアミン?(Semin Neurol 2009;29:136-53
  • 予後 不良(ショック,ケトアシドーシス,多臓器不全など


膵臓の関連投稿 💨

(投稿者 川崎)

2019-10-24

サルモネラ腸炎の診断

  • 症状と患者背景により臨床診断をし、並行して確定診断を行う。
  • 38℃以上の発熱、1日10回以上の水様性下痢、血便、腹痛などを呈する重症例では、まず本症が疑われることが多い。
  • 検査所見では、炎症の程度に応じて白血球数、CRP等の炎症反応の増加が見られる。
  • 菌血症や胃腸炎でもトランスアミラーゼが上昇することがある。
  • 確定診断は糞便、血液、穿刺液、リンパ液等より菌の検出を行う。
  • サルモネラの特異的な迅速診断法はない。

(投稿者 渡邉)

2023-06-27

糖尿病性ケトアシドーシス症例の腹痛

👥 先日のERカンファ
  • 先日,1型糖尿病患者が腹痛を訴え来院し,糖尿病性ケトアシドーシス (DKA) と診断され入院しました.アミラーゼも少し上昇していました.
  • DKA症例では多飲多尿や脱力感,嘔気嘔吐に加えて,腹部症状をしばしば訴えます.しかし「どうして腹痛?」と思ったので調べてみました.

👼 DKAの腹痛
  • 腹痛はDKA症例の40~75%に存在(反跳痛は12%)して,動脈pHと血清重炭酸塩レベルが低下するにつれて増加
  • 原因は急性高血糖による食道・胃・胆嚢の運動障害,肝被膜の急速な拡張,脱水に伴う血管内容量減少による腸間膜虚血など
  • 最大35%の患者では腹痛疾患 (膵炎・肝炎・腎盂腎炎・骨盤炎症性疾患・胃炎など) がDKAの誘因になっている
  • フルニエ壊死性筋膜炎や急性胆嚢炎,虫垂炎,会陰膿瘍,急性膵炎などで約6%のDKA症例で腹部手術が必要


👤 おまけ
  • 糖尿病性ケトアシドーシスで腹痛を伴った場合,単なる一症状と軽く考えるのではなくて,エコーやCTなどで原因検索が必要の様です(Acta Endocrinol 2017;13:509–11

(投稿者 川崎)

2016-11-28

特発性細菌性腹膜炎(SBP)

spontaneous bacterial peritonitis

SBPは感染源が不明の腹水のことで,肝硬変(特にアルコール性)による腹水貯溜に多い
原因菌はグラム陰性では大腸菌やクレブシエラ,グラム陽性では肺炎球菌が多い(通常は1種)
予後は不良で,死亡率はおおよそ30~80%(進行性腎機能障害があれば100%近い)

  ※腸管穿孔による腹膜炎では腹水アミラーゼが上昇するためSBPとの鑑別に有用(らしい)

詳細はデータは Hospitalist ~病院総合診療医~ にまとめられています

(投稿者 川崎)

2019-12-12

IPMN≠良性

  • IPMN=Intraductal Papillary Mucinous Neoplasm=膵管内乳頭粘液性腫瘍
  • 拡張した膵管内面に生じる乳頭状構造および異型を呈する腫瘍性上皮の増生で豊富な粘液を分泌
  • 悪性度は低いが膵癌が発生することがあるため画像フォローが必要(頻度は約1%/年の報告あり)
  • 例:主膵管型で1cm未満なら半年後にCTかMRIでその後は2年毎/2-3cmなら3-6カ月後にEUS
  • 分類 ➜ 腺腫,腺癌 非浸潤性,腺癌 浸潤性(混在することがあり最も異型度の高い箇所で診断)


浸潤癌を伴った混合型IPMNの1例(Eur J Radiol Open 2014;1:49-59


関連投稿 🉐

(投稿者 川崎)

2018-07-15

膵臓の働き

🐣 今更ですが・・・

消化酵素(外分泌腺=膵臓の約95%)
  • 炭水化物を分解 ➜ アミラーゼ(他にマルターゼやラクターゼなど)
  • 脂肪を分解 ➜ リパーゼ(他にホスホリパーゼなど)
  • 蛋白質を分解 ➜ トリプシン(他にエラスターゼ1など)

ホルモン(内分泌腺=ランゲルハンス島=膵臓の約5%)
  • α細胞 ➜ グルカゴン(貯蔵燃料を動員する異化ホルモン)
  • β細胞 ➜ インスリン(唯一の血糖低下ホルモン)
  • δ細胞 ➜ ソマトスタチン(多様な作用を有する抑制ホルモン)

(投稿者 川崎)

2021-02-19

レンメル症候群 Lemmel症候群

  • 十二指腸傍乳頭憩室が総胆管や膵管に機械的影響を及ぼすことで肝胆膵の疾患を生じた病態
  • 傍乳頭憩室自体は内視鏡的胆管膵管造影の~20%に認められる(多くが無症状で治療は不要)
  • ドイツの放射線科医(?)であるLemmel Gが初報(Arch Verdauungskrankheiten 1934;56:59-70
  • 97例の検討では高齢者でやや女性に多く,血清アミラーゼの上昇は45例・胆囊炎の併発は22例
  • 外科治療を要したのは69例(71.1%)/保存的治療症例も平均29.1カ月で10例が手術を要した



(投稿者 川崎)

2019-07-05

クイズ Who's Who?

(Public Domain, Wiki)



(投稿者 川崎)