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ラベル 尿 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
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2025-08-17

デコイ細胞 Decoy cell

  • decoy(猟に使う)おとり,(人を罠に掛けるための)サクラ,(軍事用の)放出おとり/発音《動》dikɔ́i 《名》díːkɔi
  • 大きく均一な好塩基性の封入体の核を持つ尿中脱落細胞で, 悪性細胞と紛らわしい良性細胞という意味でおとり細胞と命名
  • 1970年代にポリオーマウイルスとの関連が明らかになり,特にBKウイルスの再活性化の鋭敏な指標として利用されている 
  • ただしdecoy cellはアデノウイルスやCMVなど他のウイルス感染によっても,尿中(尿沈渣中)に出現する可能性がある


 
(投稿者 川崎)

2023-09-21

今週の一枚 🎯

変動する左側腹部痛(NRS 6-10)を訴える若い男性

🔍 左尿管結石による疝痛発作
  • COPEの疝痛パターンNRSで5~10)は尿路結石を示唆
  • 本例は身体所見で左側の肋骨脊椎角(CVA)叩打痛も陽性
  • 随時尿検査では尿潜血および尿沈渣赤血球はいずれも陽性
  • 無晶リン酸も "3+" で検出(ただし検出=異常ではない)
  • 本例は左腎盂の拡大があり膀胱尿管移行部に5 mmの結石

👿 無晶性リン酸塩 
  • アルカリ性あるいは中性で認める無色かつ無晶性(結晶のように原子や分子が規則正しい配列をとらない)、無粒状の個体
  • 鏡検では無晶性尿酸塩と区別することはできないが、無晶性リン酸塩は無晶性尿酸塩と異なり60度に加熱しても溶解しない
  • 健常者にも出現し単独での病的意義はないが(単に尿アルカリ化を示唆)、頻回な燐酸塩尿例では尿路結石が多い(引用
  • 一般に尿沈渣の結晶は尿路結石の成分の推定に役立つことあり(ただし結石成分と尿沈渣が一致しないことも稀ではない)

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 積木/川崎)

2023-06-28

尿酸の簡易病型分類法:排泄低下 or 産生過剰 ?

  • 尿酸の産生量は尿中尿酸排泄量から,排泄は尿酸クリアランスから推定可能であるが,通常は24時間の蓄尿を要し簡便ではない
  • クレアチニンは健常人では1日に約1gが尿中に排泄され,尿中尿酸/尿中クレアチニンは1日当たりの尿中尿酸排泄量と近似する
  • よって随時尿中の尿中尿酸(UUA,mg/dL)と尿中クレアチニ ン(UCR,mg/dL)の比を大まかな目安として代用することができる

随時尿簡易法(UUA/UCR)
  • 0.5以上を産生過剰型
  • 0.5未満を排泄低下型

(尿酸治療薬は1週間中止・痛風発作時は避ける)


💁 尿酸に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2023-05-17

低カリウム血症:随時尿>20

😙 低カリウム血症の診断
  1. 低K血症の原因は偽性低カリウム血症,細胞内へのK移動,K欠乏(摂取不足や消化管・腎臓から喪失)に大別:鑑別には要蓄尿(下図)
  2. 蓄尿が難しい時は随時尿からカリウム排泄率を計算[(尿中カリウム➗血清カリウム)✖️(血清Cre➗尿中Cre)✖️100,正常値は10~20%]
  3. より簡便には随時尿K濃度を活用:<10~20mEq/lなら欠乏.上昇なら原発性アルドステロン・各種利尿剤・過剰K・異化亢進(参考

- 低カリウム血症の原因と鑑別 -

💁 随時尿に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2023-04-25

忘備録

🚑「救急対応ドリル 外来から在宅までの60問」から(総合診療 2023年4月号
  • 甲状腺クリーゼではNSAIDsは遊離ホルモンを上昇させることがあるため避ける(必要ならアセトアミノフェン)
  • 感染性心内膜炎の抗菌薬投与は血培陰転化から日数を数える(例:MSSAなら陰性日を1日目として6週間)
  • 正常ABIでも末梢動脈疾患を強く疑ったら運動負荷後ABI測定を考慮(20%あるいは20mmHg以上の低下で陽性)
  • 急性脊髄障害で考える病態はFACET(Fracture, Aorta, Compression:馬尾症候群, Epidural abscess, Tumor)
  • 全尿路結石の1-2%はシスチン尿症:常染色体潜性(劣性)遺伝で若年者あるいは珊瑚状結石では要考慮)
  • 奇脈(吸気時の収縮期血圧低下>10mmHg)は心タンポナーデで有名であるが重症喘息や緊張性気胸でも有

💁 忘備録に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2023-04-18

変形赤血球 dysmorphic RBC

1.血尿:尿沈渣中に赤血球>5個/HPF(High Power Field=400 倍鏡検)
  • 顕微鏡的血尿 ➜ 顕微鏡で鏡検して初めて血尿と確認可能
  • 肉眼的血尿 ➜ 肉眼で血尿と確認可能(尿中赤血球>0.1%)

2.血尿時の尿沈渣で尿中赤血球形態
  • 均一赤血球(isomorphic RBC)➜ 非糸球体性の疑い(感染や腫瘍など下部尿路疾患)
  • 変形赤血球(dysmorphic RBC)➜ 糸球体性の疑い(内科疾患の上部尿路疾患など)


3.変形赤血球の成因
  • 赤血球が糸球体基底膜を通過する際に機械的損傷を受ける
  • 赤血球が尿細管を通過する際に急激な浸透圧変化を受ける


👉「尿沈渣」の過去の投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2021-12-01

妊婦とケトン体

産婦人科診療ガイドライン―産科編 2020」でケトン体に関する記載は一箇所のみ(108ページ)です.以下に抜粋してみます(引用論文は削除).

「つわり」,すなわち,妊娠初期の悪心・嘔吐は半数以上にみられ,体重減少,脱水,電解質異常などを呈する「妊娠悪阻」は全妊婦の 0.5~2% に発症する.妊娠16週以降の発症例や妊娠後半まで症状が継続する場合は他疾患の可能性を考慮する.
  1. 「妊娠悪阻」の原因は分かっていないが,心身の安静と休養で症状を和らげ,食事や水分摂取を少量頻回にする.
  2. 皮膚や口腔内乾燥など脱水の理学的所見が認められる場合,5%以上の体重減少があり経口水分摂取ができない場合,尿中ケトン体強陽性が続く場合,などには輸液する.さらに体重減少が続く場合には脂肪製剤などで熱量付加も考慮する.

💁 ケトン体に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2020-05-24

グラム染色クイズ

随時尿のグラム染色(左は弱拡大/右は強拡大) 




(投稿者 川崎)

2019-10-26

UACR 尿中アルブミン/クレアチニン比

  • UACR=Urine Albumin-to-Creatinine Ratio
  • 随時尿Alb(mg/dL)を尿Cr(mg/dL)で除した値(正常は通常30未満)
  • 糖尿病における糸球体病変の早期検出のため測定されることが多い

🔬 検体の採取と評価法 
  • 随時尿における定量試験では,同時に尿中Crを測定してアルブミン・蛋白/Cr比を求めて評価する(1gのCr当たりの量).アルブミン/Cr比が30~299mg/gCrであれば微量アルブミン尿と診断する.起立性蛋白尿を除外するために随時尿では一度は早朝第一尿を用いて検査をする.

👻 おまけ
  • 随時尿蛋白/クレアチニン比(俗称グラム・クレアチニン)と混同しないように.こちらは1日の尿蛋白量を推定するための指標で,正常値は0.15g/gCr未満です.

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(投稿者 川崎)

2019-09-14

ビリルビン 尿 vs 血

🐟 基本事項
  • 直接ビリルビン=抱合型=水溶性/間接ビリルビン=非抱合型=脂溶性
  • ウロビリノゲンは腸内細菌による直接ビリルビンの分解産物(正常は尿中±)
  • 一般的に尿に出現するビリルビンは水溶性である直接ビリルビンのみである

🐠 臨床応用
  • 溶血性黄疸 ➜ 直接ビリルビンには変化がないため尿ビリルビンは陰性+尿ウロビリノゲンは上昇
  • 肝細胞性黄疸 ➜ 直接ビリルビンが増加するため尿中ビリルビンが出現+尿ウロビリノゲンも増加
  • 閉塞性黄疸 ➜ 直接ビリルビンが胆汁中から血液中に逆流するために尿中ウロビリノゲンが出現+直接ビリルビンが排泄されないため尿中ウロビリノゲンは陰性

🐡 おまけ
  • 血中の総ビリルビン濃度が約2~3mg/dL以上になると黄疸が出現する
  • 尿ビリルビンは直接ビリルビンがかなり上昇したら出現(5〜10mg/dL)

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(投稿者 川崎)

2019-09-08

NGAL エヌギャル

  • Neutrophil Gelatinase-Associated Lipocalin(好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン)
  • 尿細管に急激なストレスがかかると数時間で血中と尿中に検出される(半減期は約1日)
  • 急性腎障害(AKI)の早期診断や重症度判定だけでなく病態のモニタリングにも有用

  • 2017年2月から尿中NGALの測定が保険収載(210点:診断時1回と一連の治療で3回)
  • 当院では外注(数日後に結果)でオーダー可能(現時点では中央検査室に直接連絡要)

💧 尿検査アラカルト

(投稿者 川崎)

2019-03-27

尿のpH

  • 健常者では尿のpHは平均6.0と弱酸性(基準値:5.0~7.5)
  • ただし食事内容に応じて一過性に大きく変動する(4.5~8.0)
  • 過剰な動物性食品 ➜ 酸性尿,過剰な植物性食品 ➜ アルカリ尿
  • 酸性尿あるいはアルカリ尿が長期間に渡って持続すると問題

酸性尿の原因
  1. 代謝性アシドーシス
  2. 呼吸性アシドーシス
  3. 肉類・蛋白質の過剰摂取(有機酸などの増加による)
  4. 絶食・飢餓,激しい運動,発熱,脱水
  5. 薬剤性(治療目的や多量のビタミンC摂取など)
  6. カリウム欠乏時(下痢など)
  7. 先天性代謝異常(アルカプトン尿症、フェニルケトン尿症)
  8. アルドステロン症
  9. その他(痛風や糖尿病,腎炎など)

アルカリ尿の原因
  1. 代謝性アルカローシス
  2. 呼吸性アルカローシス
  3. 野菜・果物類の過剰摂取
  4. 薬剤性(治療目的を含む)
  5. 放置尿・尿路感染症(尿素が分解されアンモニアが産生されるため)
  6. ファンコニー症候群
  7. その他(末期腎不全など)

🐷 一読をおすすめ ➜ 臨床検査値から腎機能を解読する 尿pHにも注目を!

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(投稿者 川崎)