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2025-07-22

Hemosorba® ヘモソーバCHS

  • 優れた石油ピッチ系ビーズ状活性炭を用い高い吸着性能を実現
  • 生体適合性を考慮して吸着剤を親水性ポリマーでコーティング
  • よって微粒子の発生、血液凝固、血球成分の付着や損傷が軽減
  • 製造販売は旭化成メディカル株式会社(血漿交換1日4,200点)
  • 除去可能内因性物質は肝障害によるアミノ酸やクレアチニン他
  • 外因性は催眠・抗てんかん・精神薬、解熱鎮痛薬、抗生剤など

- 標準的な血液流路図 -

(投稿者 川崎)

2025-05-02

誤飲誤用:クエン酸と重曹

📞 先日,電話で
  • クエン酸30gを誤飲した症例の相談を受けました.ポットの洗浄液を誤って飲んでしまったようです.自覚症状なく,バイタルサインも安定していました.

クエン酸(citric acid)
  • かんきつ類や梅干などに含まれる成分であり毒性上ほとんど問題なし
  • 健康維持なら1日5~15g,洗浄では1Lあたり15gで沸騰後2時間放置
  • 無色無臭の酸性物質でレモンのような穏やかで爽快な酸味を有する

重曹(sodium bicarbonate)
  • 食品添加物としても許可されている成分で毒性上もほとんど問題なし
  • ふくらし粉やあく抜きなどに加えて洗浄(水1ℓ100gほど)にも有用
  • 弱アルカリ性で味は塩味に近く少ししょっぱくて苦みがあるのが特徴

🚨 おまけ
  • 誤飲時は吐かずにコップ1~2杯の水や牛乳
  • 眼に入った場合は流水で15分以上洗い流す
  • 処置後に様子がいつもと違う場合には受診

(投稿者 川崎)

2025-04-03

今週の一枚 🎯

数分間の意識消失を生じた超高齢者

😐 解説
  • 来院時の心電図は徐脈+心房細動+ST-T部分の変化
  • 意識清明で神経学的異常なく頭部CTも特記所見なし
  • 高Mg血症(16.3 mg/dl)が判明(基準値:1.8-2.4)
  • 他の電解質はPが軽度上昇(5.1 md/dl)以外は正常
  • 腎機能は軽度の低下(Cr 1.1 md/dl)で肝機能は正常
  • カルチコールの静脈内緩徐投与と緊急血液透析で対応
  • 最終的に高Mg血症+糞便イレウス+誤嚥性肺炎と診断
  • 意識障害の原因は過剰な緩下剤による高Mg血症の疑い

💁 高Mg血症と心電図
  • 軽度~中等度の高マグネシウム血症ではPR間隔やQT間隔の延長、QRS波の拡大
  • 高度では伝導障害から心停止(一部は顕著なST部分の上昇とT波の増加も観察)
  • その原因としてマグネシウムイオンによる Na+/K+-ATPase 活性の機能的阻害

💫 マグネシウムに関する過去の投稿 ➜ コチラ

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2025-03-14

🍻 アルコールウォッチ

  • 厚生労働省が公開した純アルコール量とアルコール分解時間を把握するためのウェブツール
  • 飲んだお酒の種類と量をドラッグ&ドロップで下の棚に並べ「計算する」ボタンを押すだけ
  • 算出された純アルコール量とアルコール分解時間をX(旧ツイッター)で簡単に共有できる

(実際の解析ページはこちら

👉 アルコールに関するの過去の投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2024-12-21

AUDIT オーディット

  • 概略 WHO推奨の問題飲酒者スクリーニングテスト
  • 単語 auditは名詞で監査あるいは会計報告書の意味
  • 略語 Alcohol Use Disorders Identification Testの略
  • 内容 10項目による設問の合計点で判定(最大40点)
  • 目安 0-7点 指導不要,8-14点 減酒指導,15点- 依存

AUDIT オーディット (アルコール使用障害同定テスト)

🍺 アルコール依存の他の評価法:CAGEテスト

(投稿者 川崎)

2024-04-23

下痢性貝毒 Diarrhetic Shellfish Poisoning

先日のカンファレンスで...
  • ムール貝を食べて1時間後に嘔吐・腹痛・下痢で来院された症例を議論しました.食中毒であるならば発症時間からはブドウ球菌ですが...(過去の投稿
  • 対症療法のみで帰宅され原因は追及されんせんでしした.でも初期研修医1年目の先生が下痢性貝毒ではないかと指摘してくれました(ナイスプレイ🎉) 

🐚下痢性貝毒
  • 原因 有毒プランクトンを摂取して生物濃縮した結果有毒化
  • 貝類 ムラサキガイ(ムール貝など),ホタテ貝,アサリ他
  • 鑑別 麻痺性貝毒(30分後)とノロウイルス(12時間~2日)
  • 発症 摂取後30分~4時間程度で下痢・吐気・嘔吐・腹痛など
  • 経過 通常は3日以内に回復する(死亡例はなく予後は良好)
  • 治療 特異的な治療なし(脱水に対する輸液などの対症療法)
  • 対策 調理加熱では毒素は分解しない(定期的に毒性値測定)

参考)厚生労働省HP,他

🍴 おまけ
  • わが国では定期的に重要貝類の毒性値を測定し,可食部1kg 当たり0.16mgオカダ酸当量を超えたものは出荷規制されているので,市販の貝類による食中毒は発生していないようです(厚生労働省).
  • 本例の急性胃腸障害の原因は確定できていませんが,下痢性貝毒は臨床現場では確定診断はおろか鑑別診断に加えられることも稀と予想します.臨床現場では意外にちらほら発症しているのかも?

💁 食中毒に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 何/川崎)

2024-02-18

👶 vs 🍯

  • 乳児ボツリヌス症を防ぐため生後1歳未満の乳児にハチミツを与えることは禁止
  • ボツリヌス菌は土壌などに広く存在している細菌で通常は腸内細菌には勝てない
  • しかし生後1歳未満の腸内環境ではボツリヌス菌が増加し毒素を出すことがある
  • ハチミツは加熱処理を行わないため菌混入あり(ハチミツ入り飲料や菓子を含)
  • 症状は便秘,全身の筋力低下,脱力状態,哺乳力低下,泣き声が小さくなるなど


💁 ボツリヌス菌に関する投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2024-02-03

Roving eye movement 眼球 彷徨ほうこう

  • 両眼の数秒周期の規則的な左右への共同運動で,ping-pong gazeとほぼ同義
  • 米の脳神経医Fisherが報告(J Neurol Neurosurg Psychiatry 1967;30:383-92
  • 大脳皮質全体の障害かつ脳幹機能(眼球運動支配)が維持されていると出現
  • 両側大脳皮質卒中,代謝性障害,中毒などで出現(障害部位の特異性なし)

アルコール性肝障害から肝性脳症を生じた男性

💁 眼振に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2024-01-26

リドカイン注射液

  • 効能 心室・上室の期外収縮と発作性頻拍,AMI及び手術に伴う心室性不整脈の予防
  • 濃度 安全域は~3 μg/ml(5 μg/ml~で中枢神経症状,10μg/ml~で重篤な状態に)
  • 用量 1分間に4 mg(0.4 mL)から重篤な副作用(4 mg/分 or 5.76 g/日までにする)
  • 代謝 血中濃度は肝血流量に依存(心不全等で心拍出量減少時は中毒を生じやすい
  • 中毒 せん妄,眠気,嘔吐,意識障害,振戦、痙攣,刺激伝導系抑制、ショックなど
  • 対応 投与中止,痙攣にベンゾジアゼピン,バイタル不安定なら脂肪乳剤+体外循環


局所麻酔薬中毒発生時の脂肪乳剤の投与法 (例:イントラリポス

👿「リドカイン」の過去の投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2024-01-03

🍺 アルコール疾患と臓器移植

🍶 肝臓移植
  • 非ウイルス性肝硬変に対する肝移植は有用と考えられる.アルコールの場合,肝移植後の再飲酒が問題となる.本邦におけるアルコール性肝硬変に対する肝移植後の解析では22.9%に再飲酒を認め,移植前禁酒期間が18ヶ月未満であることが再飲酒のリスク因子であった.そのため,アルコール性肝硬変の脳死登録には申請時に18ヶ月以上の禁酒を医療機関が確認していることが必要である(『肝硬変診療ガイドライン』2020年11月追補内容).日本のほとんどの施設では、生体肝移植の場合6か月が条件(慶應義塾大学病院KOMPAS). 

🍷 心臓移植  絶対的除外条件(2016年版心臓移植に関する提言
  • 肝臓,腎臓の不可逆的機能障害
  • 活動性感染症(サイトメガロウイルス感染症を含む)
  • 肺高血圧症(肺血管抵抗が血管拡張薬を使用しても6 Wood単位以上)
  • 薬物依存症(アルコール性心筋疾患を含む
  • 悪性腫瘍
  • ヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗体陽性

💁 移植に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2023-12-23

1D-LSD

  • 1-(1,2-ジメチルシクロブタン-1-カルボニル)-リセルグ酸ジエチルアミド
  • リセルグ酸ジエチルアミドはドイツ語「Lysergsäurediethylamid」でLSD
  • LSDは非常に強烈な作用を有する合成麻薬・幻覚剤でもちろん違法薬物
  • 1D-LSDは潜在的な幻覚効果を持つ化学物質で,現時点では脱法ドラッグ
  • 主に経口摂取して3〜4時間でピークに達し,12時間ほど効果が持続する
  • LSD類似体の他の合法ドラッグは1V-LSD,1cP-LSD,1T-LSD,1P-LSDほか
  • 普及度は不明であるが,当院にも1D-LSDによる急性中毒例のER搬入あり

💁 麻薬に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2023-11-23

周期性嘔吐症 Cyclic vomiting syndrome: CVS

  • 概要 数日の嘔吐発作を周期的にくり返す小児に多くみられる病態
  • 疫学 発症年齢の中央値は4.8歳で,僅かに男性に多く白人では2%
  • 別名 アセトン血性嘔吐症やケトン血性嘔吐症など(昔は自家中毒
  • 誘因 心理的・身体的なストレス,感染症,疲労,食事,月経など
  • 機序 体脂肪の分解時に血中アセトン(ケトン体)が異常増加する
  • 原因 ミトコンドリア異常や内分泌異常,自立神経障害など多因子?
  • 診断 臨床経過と嘔吐発作の特徴,器質的な疾患の否定などによる
  • 治療 予防には誘引の回避+発症時には輸液や制吐剤など対症療法
  • 予後 発症後2~5年程度で自然軽快が多い(28%は片頭痛に移行)


(投稿者 川崎)

2022-05-18

リチウム中毒 Lithium Intoxication

  • 炭酸リチウムは躁病および双極性障害の躁状態に対して広く使用されている薬剤
  • 主に小腸から吸収され生体利用率100%(肝で代謝や排出なし)で95%が腎排泄
  • 治療域(0.6~1.2 mmol/L),中毒域(1.5~),致死域(3.0~)と濃度が近接
  • 過量服薬,脱水,感染,他薬との相互作用(利尿剤,降圧剤,NSAIDsなど)で上昇
  • 症状は中枢神経(意識障害や振戦,構音障害)と消化器(悪心,嘔吐,下痢)他
  • 重症例では昏睡,痙攣,循環器所見(洞不全やQT延長症候群,致死性不整脈など)
  • 急性リチウム中毒の治療は輸液療法,胃洗浄,HDやCHDFなど積極的な血液浄化療法
  • 透析の適応:腎機能障害,重度の中枢神経障害,リチウム濃度が致死域・上昇傾向


 リチウム中毒の一例の経過

💁 中毒に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2021-10-15

賦活症候群 Activation syndrome

  • 中枢神経が刺激症状に陥った病態で,抗うつ薬による副作用の一つとして生じる
  • 特にうつ病の第一選択であるSSRI/SNRIの投与初期あるいは増量期に生じやすい
  • bipolarity(双極性の病理)を有する症例にSSRIを投与した時に惹起されやすい
  • 症状は不安,焦燥,パニック,不眠,易刺激性,敵意,衝動性,アカシジア,躁


👿 当院で経験した症例はアカシジアを伴っていました

(投稿者 川崎)

2021-10-10

黄色ブドウ菌と毒素

【問題】素手で握った2日前のおにぎりがある.食べられる?






判定

 🍙 解説
  • 細菌性食中毒は頻度が多い順にカンピロバクター,ブドウ球菌,サルモネラ,ウェルシュ菌,腸管出血性大腸菌
  • カンピロバクター、サルモネラ,腸管出血性大腸菌は(少量でも)菌自体が食中毒を起こすため加熱調理が重要
  • 一方、ブドウ球菌やウェルシュ菌,セレウス菌は細菌が作った毒素で食中毒が生じ,100℃20分の加熱でも防げない
  • おにぎりといえばブドウ球菌食中毒で,耐熱性毒素エンテロトキシンにより3~4時間後に嘔吐,腹痛,下痢をきたす
(投稿者 川崎)

2021-08-25

🍺 ヘテロ

🍷 ある動画中の会話
  • YouTuber A「よし,この酒も飲んでやる」
  • YouTuber B「大丈夫か? あのヘテロ…」

🍶 アルコール代謝
  • 摂取アルコールの20%が胃から,80%が上部小腸から吸収 ➜ 小腸からの吸収が最速なので胃内に食物があると吸収が遅れる(酔いにくい)
  • その後に門脈から肝臓へ移動 ➜ アルコール脱水素酵素(ADH)とミクロゾームエタノール酸化系(MEOS)の2酵素でアセトアルデヒドに代謝
  • さらにアルデヒド脱水素酵素(ALDH)により無害な酢酸に代謝 ➜ 最終的に筋肉や脂肪組織などで炭酸ガスと水になり呼気や尿として排出
  • このアセトアルデヒドは中枢神経に対する抑制作用を有し,血液濃度0.1%位で爽快期からほろ酔い,0.1〜0.3%位で強い酩酊状態(悪酔い)
  • ALDH2型の働きが正常な遺伝子ALDH21が二つあれば酒に強く,活性が無い遺伝子ALDH22が一方にあれば酒に弱くなる(いわゆるヘテロ
  • そして両方が欠損している遺伝子(つまりALDH22を2つ所有)なら酒を全く受け付けない体質(いわゆる下戸)で,練習しても強くはならない


オリエントフラッシュと言われているようです

本邦では北と九州が強く,近畿や中国地方は弱い
(いずれも醸協 2014;109:2-10

🍸 お酒に関する過去の投稿は コチラ からどうぞ

(投稿者 川崎)

2021-07-22

セロトニン症候群 Serotonin syndrome: SS

  • 概要 セロトニン作動性薬の投与が発症の原因で脳内セロトニン機能の異常亢進によって自律神経系症状を呈した病態
  • 薬剤 モノアミン酸化阻害薬や選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI),三環系抗うつ薬の併用による報告が多い
  • 命名 米国のInselら(Am J Psychiatry 1982;139:954-5)(以前は5-HT behavioral syndromeと呼ばれていた)
  • 症状 神経筋(腱反射亢進・ミオクローヌス),自律神経(発熱・頻脈・発汗・下痢・皮膚紅潮),精神変化(不安・焦燥・錯乱)
  • 経過 約75%の症例で原因薬剤の投与開始または用量変更後24時間以内に発症して,約60%で断薬後24時間以内に改善する
  • 頻度 セルトラリンやパロキセチンなどの5種類のSSRIを単剤のみ過量服用した469例中67例(14%)と決して稀ではない
  • 鑑別 悪性症候群甲状腺クリーゼ,脳炎,中枢性抗コリン薬中毒,抗うつ薬の離脱症候群(安易にうつ病の悪化としない)
  • 治療 原因薬剤の中止+補液や体温冷却などの保存的な治療が中心になる(セロトニン症候群の予後は一般的に良好)


分かりやすいイメージ

日内会誌 2007;96:1627-33より引用/上記の文献5はコチラ

(投稿者 川崎)

2021-05-06

One-pill killers 💀 致死的一錠

  • 小さい子供(例:8歳未満)だったら1錠でも死に至る可能性のある薬のこと
  • 頻度順に抗精神病薬・鎮痛薬・心血管薬・外用薬・抗菌薬・感冒薬/喘息薬
  • 幼児などがキャンディーと間違わないよう薬剤は高所で別保管が大切です


米国中毒情報センター協会による One-pill killers 犠牲者数

💁 中毒に関する過去の投稿 ➜ コチラ(ウェブ版なら右欄からも選択可能)

(投稿者 川崎)

2021-04-25

😽 キャット・ミール CAT MEAL 

  • 薬物中毒時の透析適応は体内分布,半減期,淡白結合率,分子量などで決定されます
  • 大まかな透析適応は ”血液吸着法=CAT+血液透析法=MEAL” と覚えておけば楽です

  1. Carbamazepine ➜ カルバマゼピン(+カフェイン?)
  2. Anticonvulsants ➜ 抗けいれん薬(フェノバルビタールやフェニトリン他)
  3. Theophylline ➜ テオフィリン

  1. Methanol ➜ メタノール
  2. Ethylene glycol ➜ エチレングリコール
  3. Aspirin ➜ アスピリン
  4. Lithium ➜ リチウム

🍖 独り言
  • ライオンやトラ,チーター,ヒョウなどネコ科の動物は肉食性が強いことが知られています.よって基本的に猫も肉食です(犬は雑食).猫の食事であるCAT MEALはドロドロなのですぐに透析と考えるとこの語呂合わせは覚えやすいかも...

💁 中毒に関する過去の投稿 ➜ コチラ
(投稿者 川崎)

2020-07-16

🎯 今週の一枚

呼吸困難感で来院した症例




(投稿者 川崎)