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2024-05-17

心音クイズ(Q1・Q2)

  • 持田製薬さんと心音クイズを作成しました(GROUP T inc.さんにも感謝 🙏).初回は重要心雑音の2症例で,6領域の実際の心音+ポイントとなる2領域の心音図です.基本的な解説に加えて,一歩踏み込んだコメントを心がけました.
  • 今後も3ヵ月毎に2症例ずつアップする予定です(次回は2024年7月).無料なのでよろしければ是非ご覧ください(次回以降は簡単な登録が必要になるようですがコストは掛かりません).予定は1年ですが好評なら延長されるかな...😁


心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2024-05-16

今週の一枚 🎯

3週前より下腿浮腫と体重増加(直近10日で10㎏)を訴える高齢男性
2週前のかかりつけ医で施行した採血や胸部X線に特記すべき異常なし

👽 解説
  • 頚部や鼠径部のリンパ節が腫脹していた
  • CTでは大腿静脈をリンパ節が圧迫(*)
  • LDHは513 U/Lと増加,CRPは0.42 mg/dL
  • 頚部LNの生検でリンパ腫(DLBCL)診断
  • 本例にB症状(発熱・盗汗・体重↓)なし

💀 独り言
  • 下腿浮腫の鑑別診断は日常臨床で頻出です.両側なら心不全・腎不全・肝硬変・ネフローゼ・低栄養状態など,片側なら深部静脈血栓症・蜂窩織炎・骨盤内腫瘍などでしょうか.本例は意外なところに答えがありました.今後は両側鼠径にリンパ節の累々とした腫脹がないかも見るようにします.

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2024-05-15

思春期ブロッカー Puberty blockers (PBs)

  • 性別違和(gender dysphoria)に対し処方される二次性徴抑制剤(一時停止ボタン?)
  • 実際にはリュープリン(リュープロレリン酢酸塩)を使用(例えば4週毎に皮下注射)
  • 効能・効果は子宮筋腫,子宮内膜症,中枢性思春期早発症,閉経前乳癌,前立腺癌
  • 性ホルモン治療(gender-affirming hormones: GAHs)移行前の苦痛緩和と時間的猶予
  • トランスジェンダーやノンバイナリーでうつ病および自殺傾向の低い確率と関連する
  • ただし骨量減少に加えて,成長障害や知能への悪影響など未解決の問題も少なくない


💁 性別に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2024-05-14

ハプログループ Haplogroup

PubMed検索:1993年頃から使われ4,000編以上の論文がヒット

👥 ハプログループ(Haplogroup)
  • haploid=(名)単数体・半数性(形)単数体の・1倍体の・半数性の
  • ハプログループは単一の一塩基多型 (SNP) 変異を持つ類似集団のこと
  • ミトコンドリアDNAは母系由来なので祖先のルーツを辿ることも可能

(投稿者 川崎)

2024-05-13

第21回 循環器Physical Examination講習会より


循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です。「生きた physical examination」を体感・習得して、「感動できる」ものにしていきたいと思っています。毎週情報発信をしているので,よければSNSでフォローしてみてください.


👻「フィジカル講習会」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

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(投稿者 川崎)

2024-05-12

冠動脈:生理の整理

冠微小循環障害CMD: coronary microvascular dysfunction)
  • 心外膜血管より多くの血流を担う微小循環の障害で様々な病態に関与(下図)

冠血流予備能CFR: coronary flow reserve)
  • 最大冠血流量(薬剤投与時など)を安静時冠血流量で除した値で2.0以上が正常

冠微小血管抵抗指標IMR: index of microvascular resistance)
  • 最大充血時(薬剤投与時など)の冠内圧を冠血流量で除した値で25以下が正常

- さまざまな心血管疾患における CMD の役割 -

(投稿者 川崎)

2024-05-11

分化症候群 Differentiation syndrome (DS)

  • 急性前骨髄球性白血病(APML)へのオールトランスレチノイン酸 (ATRA) 療法の合併症
  • レチノイン酸症候群(Retinoic acid syndrome: RAS)とも呼ばれる(近年はDSが優勢)
  • 頻度はATRAやヒ素で治療されている患者の2~27%(治療開始から数週間以内に発生)
  • 発熱や5 kg以上の体重増加,末梢浮腫,低血圧,急性腎不全,間質性肺浸潤などで発現
  • 原因不明(APML細胞におけるサイトカイン分泌の変化とATRAによる接着分子の分化?)
  • 治療は(早期に認識し)ATRAまたはヒ素の中止+コルチコステロイド投与の組み合わせ

2024-05-10

💊 スタチンの選択

Drぷー(@Dr_ppooohh)先生のコメント(2024年3月26日午後8:02
  • 下がるからロスバスタチン一択で開始
  • 副作用で継続できなかったらアトルバスタチンへ変更
  • それも副作用で継続できなかったら泣きながらピタバスタチンにしてます()


💁 スタチンに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2024-05-09

今週の一枚 🎯 有名も役立たず?

息切れ症例の心尖拍動

😐 偽ブロードベント徴候(Pseudo Broadbent's sign)
  • 臥床(20度ヘッドアップ)で心尖部拍動を視認(矢印)
  • 拍動は陥凹で時相は収縮期(背後のモニター音に注目)
  • 最終的に本例は心房中隔欠損による心不全と診断した

😕 独り言
  • 心尖拍動の収縮期陥凹は,収縮性心膜炎で出現する所見(ブロードベント徴候/Broadbent sign)として有名です.しかし本例ではクスマウル徴候や心膜ノック音はありませんでした(フリードライヒ徴候は微妙に陽性?)
  • ベットサイド心エコー図では右心系の拡大が少し目立ちましたが,明らかなシャント疾患を検出できませんでした.その後にハイエンド機で再検して,心房間のシャントを認めたため心房中隔欠損による心不全と診断しました.
  • この収縮期陥凹(systolic retraction)は,様々な病態で認めます(自験例1自験例2).収縮性心膜炎で欠くことも多く,個人的には臨床現場であまり役立たない所見(感度も特異度もともに低い)と思っています.

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(投稿者 川崎)

2024-05-08

ENT,ESS

  • 先日のERでのタイムトライアル(申し送り)で「ENT, ESS」って記載がありました.略語は便利ですが,ERではあまり通じない略語でした.TPOを考えて使いたい 😁 TPOって死語?(Time・Place・Occasion)

  • ENTはEar+Nose+Throatで耳鼻科医はENT doctor(耳鼻咽喉科医師,otorhinolaryngologist)
  • ESSはEndoscopic Sinus Surgery(内視鏡下鼻副鼻腔手術)で,副鼻腔炎(蓄膿)などで行う
  • 概略は外鼻孔経由に篩骨洞および副鼻腔の自然口を開大して,洞の通気と排泄の改善を図る
  • ESSが慢性副鼻腔炎に導入されてから約30年以上で,現在は世界的なゴールドスタンダード
  • 経鼻経由で下垂体腫瘍,眼窩疾患や頭蓋底疾患などbeyond the sinusに適応が広がっている
  • ただしENT科の医療事故は鼻領域が2割程度でESS関連がその半数以上(複視や視力障害など)


👃 鼻に関連する過去の投稿 ➜ コチラ
(投稿者 川崎)