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ラベル 聞く技術 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
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2021-02-13

COPEの疝痛パターン

  • 由来は英国の医師かつ歴史家,詩人コープ卿(Sir Vincent Zachary Cope, 1881–1974)
  • Copeは古典的名著「Cope's early diagnosis of the acute abdomen」で疝痛を分類した
  • 疝痛とは平滑筋による管腔臓器で通過障害時に蠕動的に生じる激しい収縮による痛み 
  • よって消化管に由来する痛みの多くは疝痛に分類される(間欠的に痛みが変化する)
  • 疝痛はその強度と周期の組み合わせからある程度,原因の臓器を予想できる(下図)
  • トライツ靭帯から閉塞部位までの腸管距離と痛みの周期(間隔)も正相関するらしい

 上から順に尿管疝痛・胆石疝痛・小腸疝痛・大腸疝痛

(投稿者 川崎)

2020-03-19

👵 おばば=学術名”タナカゲンゲ”

🐟 昨日の検討症例:魚骨によるS状結腸穿孔で2つの意味で印象的
  1. その軽微な症状と病歴から当直医が認知バイアス(アベイラビリティ・アンカーリング・コンファメーション・ハッスル・ルールの5つ!)の罠にはまり込み,危うく便秘として帰宅させるところであった
  2. 一方,引き継いだ専門医は迅速な診断と適切な治療(緊急手術)のみならず詳細な問診から穿孔した骨の魚種を推測してその学術名”タナカゲンゲ”まできっちりカルテ記載(本当に頭が下がります 😱)

👽 タナカゲンゲ(田中玄華)
  • 北半球の寒冷な海の水深300〜500mに生息する深海魚(全長1m程度)
  • 別名はオババやババアで英名はLycodes tanakae, Tanaka eelpoutなど
  • タナカは近代魚類分類学の父と呼ばれる田中茂穂(1878〜1974)に由来
  • ゲンゲ(漢字で玄華/学名Zoarcidae)はスズキ目に所属する魚類の一群
  • 見た目はグロテスクだが鍋物や唐揚げ,刺身,煮付けが美味(らしい)


😎 一見,医療とは無関係なことにもトコトンこだわる姿勢を応援アンミツ好奇心!

(投稿者 川崎)

2020-01-04

MAPSO(マプソ)問診

プライマリ・ケアにおける精神的疾患のアプローチ法の一つ
プライマリケア医が遭遇しやすい5大疾患群の頭文字で構成
  1. Mood 気分障害 ➜ うつ状態希死念慮など
  2. Anxiety 不安障害 ➜ 全般性不安障害やパニック障害など
  3. Psychoses 精神病群
  4. Substance induced 物質関連障害 ➜ アルコールや薬物などの問題,他
  5. Organic/Others 器質性・その他 ➜ 認知障害や成人注意欠陥障害など


🙋 聞く技術に関連する投稿コチラ(画面右の分類からも選択可能です)

(投稿者 川崎)

2019-07-27

院内発熱8D(エイト・ディー)

  1. Drugs=薬剤熱
  2. Devices=デバイス(カテーテルやペースメーカ関連など)
  3. CPPD偽痛風痛風
  4. DVT=深部静脈血栓
  5. Debris=胆泥/胆嚢/胆管炎
  6. Difficile=クロストリジウム腸炎
  7. Decubitus=褥瘡
  8. Deep abscess=深部膿瘍

一読をお薦め 👴 ➜ 入院患者の発熱に対してどのようにアプローチするか(日本化学療法学会雑 2015;63:203-6

🉐 関連投稿

(投稿者 川崎)

2019-07-25

典型的狭心症とは…

  • 胸痛に対する狭心症(AP: angina pectoris)らしさの判定はなんとなくで行われていることが多い(と思う)
  • しかし定義は四半世紀以上も前に提唱(J Am Coll Cardiol 1983;1:574-5)されガイドラインにも記載(下表)


💟 つまり以下の3項目の適合数で判定
  • 胸骨下の胸部不快感
  • 運動やストレスで悪化
  • 安静やニトロで改善

🐧 3個 ➜ 典型的狭心症,2個 ➜ 非典型的狭心症,1個または0個 ➜ 非心原性胸痛

(投稿者 川崎)

2019-01-05

断綴性言語 

  • 読み方は「だんてつせい」,英名はscanning speech
  • 言葉が不自然に途切れて意味が不明瞭な発語状態
  • 小脳機能の障害によって生じた失調性の構音障害
  • 「不明瞭言語」や「爆発性言語」などとも表記される

関連投稿 👺

(投稿者 川崎)

2018-10-25

アンミツ

  • 呼吸困難感でERを受診した症例が,最終的には喘息の中等度発作と診断され同日入院した
  • 研修医の病歴聴取が詳細でペット(ネコ)の飼育に加えてその名前(アンミツ)も確認(ナイス!)

たかがペットの名前ですが,患者さんとの信頼関係の構築に有用であるケースが少なくないと思います.最近のNEJMに偶然,同様のPerspectiveが掲載されています(もっともコチラは犬ですが・・・下記リンクからの一読をお薦め)


(投稿者 川崎)

2018-03-03

松下金曜会 「病歴:アートとサイエンス」

最初の段落より
  • ベテランの臨床医は,既往歴は患者ケア技術の核心であるともっともらしく口にする.彼らは,症例の85%は病歴から診断が導かれることを主張する文献を引用し続けている.
  • しばしば引用される85%という数字は疑わしい.なぜなら,患者から医師に提供される病歴情報とは,実際は以前に外来を受診したり入院したときの一連の臨床検査・画像診断データの要約に他ならないからである.

最後の段落より
  • T・S・エリオットはこう言ったことがある.「叡智のあるところでは知識は失われ,知識のあるところでは情報が失われる
  • 検査結果は疑いもなく,重要であり情報を与えてくれる.それは,病歴として語られる患者の話と,身体所見の情報と結合されたときにのみ知識となる.そして,医師がこの真実を認識したとき叡智を獲得する

参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2018-02-24

松下金曜会 「症例提示」

最初の段落より
  • 口頭での症例提示は,病歴と身体所見の要約である.
  • 簡潔さは最も重要であり,単にカルテを読み上げることは症例提示の目的にそぐわない.
  • 必須の要素は,主訴・現病歴,既往歴,家族歴,社会歴,全身の観察結果,そして身体診察所見である.

最後の段落より
  • 優れた口頭での症例提示は物語に似ており,経時的に,日常会話に近い言葉で述べられる.
  • 簡潔で明快な症例提示を行う能力を身に付けるには,訓練と技能が必要である.これは失われた技術であるが,取り戻せないものではない.

参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2018-02-17

松下金曜会 「側腹部痛」

側腹部痛のレッドフラッグと重篤な原因
  1. 錯乱と発熱 ⇒ 尿路性敗血症,胆嚢炎,肺炎
  2. 起立性のめまい ⇒ 腹部大動脈瘤破裂または出血によるショック
  3. 抗凝固薬の同時使用 ⇒ 後腹膜出血
  4. 緩徐な発症と消散不能 ⇒ 悪性腫瘍,膿瘍
  5. 長引く発熱と突然の側腹部痛 ⇒ 敗血症性塞栓を伴う心内膜炎
  6. 摂食に伴う痛み ⇒ 胆嚢炎,腸閉塞,膵炎
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2018-02-10

松下金曜会 「聴力障害」

聴力障害のレッドフラッグと重篤な原因
  1. 突然または急速な発症 ⇒ 突発性感音難聴,血栓症,塞栓症,血流不全,自己免疫性,外傷(気圧障害,鼓膜穿孔,外リンパ瘻,蝸牛振盪),髄膜炎,梅毒
  2. 耳鳴 ⇒ メニエール病,聴神経腫,外傷(外リンパ瘻,気圧障害),突発性感音難聴
  3. 一側性または非対称性 ⇒ 血栓症,塞栓症,血流不全,聴神経腫,メニエール病,特発性感音難聴,自己免疫性
  4. 回転性めまい ⇒ メニエール病,自己免疫疾患,聴神経腫,外傷(気圧障害,外リンパ瘻),多発性硬化症,梅毒,髄膜炎,特発性感音難聴
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

メニエル (投稿者 川崎)

2018-02-03

松下金曜会 「殿部,股関節および大腿部の疼痛」

殿部,股関節および大腿部の疼痛のレッドフラッグと重篤な原因
  1. 腸や膀胱の制御低下または持続性の感覚障害 ⇒ 腰の神経根障害または脊髄障害(特に急性腰椎椎間板ヘルニア)
  2. 体重を支えられない ⇒ 股関節骨折または大腿骨頭無菌壊死
  3. 大腿部に疼痛を伴う発赤と腫脹(特に総大腿静脈上) ⇒ 大腿の深部静脈血栓(肺梗塞や心肺合併症のリスクが高い)
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2018-01-27

松下金曜会 「嚥下障害」

嚥下障害のレッドフラッグと重篤な原因
  1. 体重減少,血便 ⇒ 悪性疾患
  2. 進行性の症状 ⇒ 悪性疾患,神経変性障害
  3. 嚥下障害を伴う耳痛 ⇒ 下咽頭病変(扁平上皮癌または甲状腺癌など)
  4. 発音および嚥下障害に伴った嗄声または疼痛 ⇒ 筋ジストロフィー
  5. 構語障害 ⇒ 脳卒中
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2018-01-20

松下金曜会 「咳」

咳のレッドフラッグと重篤な原因
  1. 喀血を伴う咳 ⇒ 肺癌,結核,肺塞栓症,肺炎
  2. 喘鳴および息切れを伴う咳 ⇒ 喘息,慢性閉塞性肺疾患の増悪,うっ血性心不全
  3. 胸痛を伴う咳 ⇒ 肺塞栓症,急性冠症候群(狭心症)
  4. 過剰な慢性痰産生を伴う咳 ⇒ 気管支拡張症,肺膿瘍,肺癌
  5. 呼吸困難および下腿浮腫を伴う咳 ⇒ うっ血性心不全,肺梗塞
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2018-01-13

松下金曜会 「体重減少」

体重減少のレッドフラッグと重篤な原因
  1. 嚥下障害,早期満腹感,タール便 ⇒ 消化器系疾患
  2. 新規発症の背部痛または神経欠損 ⇒ 前立腺癌,肺癌,乳癌,腎癌,多発性骨髄腫
  3. 過度の渇きまたは神経質 ⇒ 内分泌障害
  4. 身体イメージ障害 ⇒ 神経性食欲不振または過食症
  5. 涙もろい,疲労,快感消失歴 ⇒ うつ病
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2017-12-23

松下金曜会 「喀血」

喀血はそれ自体がレッドフラッグと考えられる
今回は喀血に関して「焦点を絞った質問」と「考えられること」を記載
  1. 嗄声がありますか? ⇒ 癌
  2. 大量の膿性の痰が慢性的に出ますか? ⇒ 気管支拡張症
  3. 血尿,副鼻腔炎,耳炎,皮膚病変がありますか? ⇒ 多発血管炎性肉芽腫症(ウェゲナー肉芽腫症)
  4. 呼吸困難を伴う急性胸痛がありますか? ⇒ 肺塞栓または梗塞
  5. 血管手術または気管切開の既往 ⇒ 大動脈腸瘻
  6. 慢性閉塞性肺疾患 ⇒ 肺癌
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2017-12-16

松下金曜会 「便秘」

便秘のレッドフラッグと重篤な原因
  1. 意図しない体重減少 ⇒ 結腸癌,うつ病
  2. 最近の発症 ⇒ 結腸癌,代謝性または内分泌障害
  3. 便の太さの変化 ⇒ 結腸癌,狭窄,肛門裂傷
  4. 悪心,嘔吐 ⇒ 腸閉塞(例:腫瘍,狭窄)
  5. 発熱 ⇒ 憩室炎,癌
  6. 背部痛,サドルブロック麻酔,下肢痺れ ⇒ 脊髄に起因するもの(例:馬尾症候群)
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2017-12-09

松下金曜会 「頸部痛」

頸部痛のレッドフラッグと重篤な原因
  1. 咽頭部の異物感,呼吸困難,会話不能 ⇒ 気道閉塞,異物吸引
  2. 四肢の筋力低下・刺痒感,レルミット徴候(頸部屈伸で手足刺痛感) ⇒ ミエロパシー(ヘルニア・炎症・狭窄・多発性硬化症)
  3. 肩,腕または手の脱力・感覚消失 ⇒ 頸部神経根のインピンジメントまたは絞扼
  4. 外傷後の激痛 ⇒ 頸椎骨折
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2017-12-02

松下金曜会 「異常な腟出血」

異常な腟出血のレッドフラッグと重篤な原因
  1. めまい,ふらつき,失神,動悸・頻脈 ⇒ 出血
  2. 腹痛および確認された妊娠 ⇒ 異所性妊娠(子宮外妊娠) 👻 両者の使い分けは コチラ
  3. 体重減少 ⇒ 子宮内膜癌
  4. 鼓腸,腹位の増加 ⇒ 卵巣癌
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2017-11-18

松下金曜会 「浮腫」

浮腫のレッドフラッグと重篤な原因
  1. 新しい薬剤,ラテックスまたは化学薬品への暴露 ⇒ アナフィラキシー
  2. 胸部不快感,息切れ,起坐呼吸 ⇒ 弁膜症
  3. 意識消失(失神・失神寸前) ⇒ 大動脈弁狭窄,肥大型心筋症,肺高血圧,心房粘液腫
  4. アルコール乱用,腹部の腫脹,違法薬 ⇒ 肝不全
  5. 長期臥床,長旅,喫煙,血餅の既往,経口避妊薬 ⇒ 肺梗塞
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)