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2026-08-19

Frisén scale(フリーゼン分類)

乳頭浮腫(papilledema)の重症度を眼底所見で0〜5度に段階評価する分類方法.スウェーデンの神経眼科医 Frisén が提唱した(J Neurol Neurosurg Psychiatry 1982;45:13-8)
  • Grade 0 ➜ 正常。鼻側・上下の境界がやや不鮮明なことはあるが、神経線維層の放射状配列は保たれる
  • Grade 1 ➜ ごく早期。灰白色のC字型ハローが乳頭周囲に出現(耳側にギャップが残るのが特徴)。神経線維層の配列が乱れる
  • Grade 2 ➜ 早期。ハローが耳側も含めて全周性になる。鼻側の隆起あり。血管の隠蔽はなし
  • Grade 3 ➜ 中等度。乳頭から出る主要血管の一部が隠蔽される。ハローの外縁が不整で指状に伸びる
  • Grade 4 ➜ 高度。乳頭上の主要血管が完全に隠蔽される。視神経乳頭陥凹(cup)が消失
  • Grade 5 ➜ 最重度。乳頭上および乳頭から出るすべての血管が隠蔽される

フリーゼン分類のシェーマ

フリーゼン分類の眼底写真

(投稿者 川崎)

2026-07-30

今週の一枚 🎯

嘔気でERを受診した症例
(糖尿病と緑内障あり/頭痛や下痢なし)


(投稿者 川崎)

2026-06-07

デニー・モルガン徴候(Dennie-Morgan徴候)

  • アトピー性眼瞼炎の慢性期に認める下眼瞼の皺で眼瞼を掻破している徴候
  • 米国の皮膚科医Dennie CCが記載し、同僚Morgan Dが1948年に報告(※)
  • 類似はヘルトーゲ(Hertoghe)徴候で掻破で眉毛が擦り切れ外側部が疎毛
  • 痒みで顔面を繰り返し叩打すると、網膜剥離や白内障などの眼合併症あり


(投稿者 川崎)

2026-05-17

ヘスチャート Hess chart

  • 眼球運動障害を定量評価するための自覚式の検査
  • 主な装置はHess赤緑試験で患者の自覚応答に依存
  • 患者が赤と緑色の点光源を重ね合わせる必要あり
  • ただし同時視ができない患者に検査の実施は困難
  • 近年 video-oculography(VOG)法が開発された
  • VOGの視線情報から他覚的にHess赤緑試験を判定


- さまざまな疾患のHess赤緑試験 -

😗 おまけの雑学
  • ヘススクリーンテストは、スイスの生理学者ヴァルター・ルドルフ・ヘス(Walter Rudolf Hess、1881-1973)によって考案された(その後修正)。彼は自律神経系の機能的組織に関する研究で1949年にノーベル賞を受賞。
  • ちなみにシャーロック・ホームズシリーズの作者であるアーサー・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle, 1859-1930)も眼科医。しかし(幸い?)開業後の経営難で作家業に専念するようになったらしい。

(投稿者 川崎)

2026-05-09

オルソケラトロジー Orthokeratology (OK)

  • 健診医 「大きな病気はないですか?」
  • 小学生 「眼が悪いので治療してます」
  • 健診医 「どんなことしてるのかな?」
  • 小学生 「オルソケラトロジーです!」
  • 健診医 「オルソ…ケラ…ト 何? 😢」

👀 オルソケラトロジー
  • 概要 特殊形状のハードコンタクトレンズ装用で角膜を変形させ屈折異常を矯正
  • 適応 本邦では近視矯正や近視進行抑制(海外では乱視,遠視,老視矯正など)
  • 効果 学童期の近視に対し(報告により差はあるが)32~55%の抑制効果がある
  • 実際 就寝時にコンタクトレンズを装着し、日中は裸眼で生活する視力矯正方法
  • 原理 近視ではOKレンズの角膜圧迫部は平坦化し周囲の非圧迫部は上皮厚が増加



オルソケラトロジーのレンズ構造

(投稿者 川崎)

2026-04-14

「白内障・硝子体・日帰り手術」

  • 新しくオープンした眼科クリニックの白壁に「白内障 硝子体 日帰り手術」と記載されていました。白内障はともかく、硝子体の手術はピンと来なかったので調べてみました。
  • 両者の違いを表や図で分かりやすく解説している論文を見つけることができませんでした。そこでAI(人工知能)に依頼して、「表と図で一枚のJPEGに出力」してもらいました。

(Claude Sonnet 4.6の出力:図は滅茶苦茶滅 💀)

👻 独り言
  • AIとしてClaude Sonnet 4.6のほかに、ChatGTP(GPT-5.3ベース)やGeminiにも同じ質問をしましたが(すべて無料版)、他の二つはあまりまともなものが返ってきませんでした。
  • AIの解は質問の仕方に大きく依存するので(国語力)、一概に比較はできませんが、純粋にプログラムのコードを書くならClaude一択でしょうか(あくまで投稿者の肌感覚ですが…)

(投稿者 川崎)

2026-02-12

今週の一枚 🎯

息切れで来院(血液疾患で化学療法中)

😐 解説
  • 眼周囲の明瞭な浮腫(puffy eyes)
  • 浮腫は下眼瞼より上眼瞼で目立つ
  • 浮腫の部分は心持ち蒼白?(pale)
  • 座位で右側内頚静脈の拍動は陽性
  • 心音はギャロップ+全収縮期雑音
  • 最終診断は薬剤性心筋症(HFrEF)

👽 心不全 vs 眼
  • 眼瞼浮腫は必ずしも病的とは言えません(寝不足や号泣後).しかし本例のように上眼瞼が主体の浮腫なら心不全を想起させます(ただしエビデンスは見つからず)
  • 眼瞼浮腫で発赤がないことは炎症やアレルギーに伴う変化の除外に有用と思われます.(本例は血液疾患による貧血に加えて,心不全による血液の希釈も影響?)
  • 心不全の浮腫と言えば下腿浮腫ですが,眼瞼や陰嚢などにも出現することがあります.心不全での眼瞼浮腫の頻度を調べましたが見つけることができませんでした.
  • 心不全ガイドラインには「下腿(末梢あるいは四肢)の浮腫とそれ以外の浮腫」という分類がされています.「眼」という漢字は一つも記載されていませんでした.

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

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(投稿者 川崎)

2026-02-05

今週の一枚 🎯 エコー前に診断

発熱と嘔吐を訴える高齢者(大動脈弁位生体弁)


(投稿者 川崎)

2026-01-23

虹彩ルベオーシス(Rubeosis iridis)

  • 虹彩の表面に新生血管が形成された状態(赤い刷毛ブラシでなでたよう)
  • 虹彩実質内に存在している静脈や毛細血管から内皮細胞の増殖発芽による
  • 糖尿病に加えて網膜中心静脈閉塞症や慢性網膜剥離など様々な病態で発生
  • ごく早期の発見は難しく,経過が長くても不明瞭(結合組織に覆われる)
  • よって虹彩の血管新生(neovas-cularization of the iris)の方が適当(?)
  • 早期診断なら汎網膜光凝固術または抗VEGF薬の注入との併用により回復


å - 2型糖尿病がある49歳男性の虹彩ルベオーシス -

(投稿者 川崎)

2026-01-02

Vogt-Koyanagi-Harada (VKH) disease フォークト・小柳・原田病(or 原田病)

  • 概略 メラノサイトに対する自己免疫性(疑い)
  • 命名 スイスのA. Vogt,小柳美三,原田永之助
  • 症状 両眼性ぶどう膜炎による視力低下や羞明
  • 眼外 髄膜炎、耳鳴、難聴、皮膚白斑、白髪など
  • 鑑別 サルコイドーシスおよびベーチェット病
  • 疫学 20~50歳のアジア女性に多い(特に日本)
  • 治療 大量ステロイドの点滴療法 → 内服の漸減
  • 予後 多くは治療によく反応し視力が改善する


- 初期段階の漿液性網膜剥離(上図)と末期段階の夕焼け眼底(下図) -

(投稿者 川崎)

2025-12-31

🕗 毎朝のERラウンドの一コマ

  • 看護師長 「昨日のIOLの件ですが…最終的には大丈夫でした」
  • 内科部長 (小声で隣にいる外科部長に)「ねぇ,IOLって何?」
  • 外科部長 (聞いてきた内科部長に小声で)「IOL...俺も知らん」

IOL (intraocular lens) 
  • 水晶体の代わりになる人工の眼内レンズのこと
  • 眼屈折力のおよそ3分の1は水晶体が担っている
  • 厚さ約4mm,直径約9mm,無色透明の凸形状
  • 毛様体と呼ばれる筋肉が繋がりZinn小帯が支持
  • 毛様筋が収縮・弛緩して遠方~近方まで明視可
  • 透明度や調節力が低下すると視機能に影響する
  • 白内障手術では水晶体を吸引しIOLを挿入する


- 眼内レンズ IOL の実例 -

(投稿者 川崎)

2025-12-12

綿花様白斑 Cotton wool spots (CWS)

  • 糖尿病網膜症ステージのDavis分類は単純網膜症,増殖前網膜症,増殖網膜症
  • 増殖前網膜症の特徴的な眼底所見は軟性白斑(網膜神経節細胞の虚血性浮腫)
  • 軟性白斑は刷毛で掃いたような白斑(下図)であり綿花様白斑とも呼ばれる
  • 糖尿病以外でも高血圧や網膜静脈閉塞症,白血病,うっ血乳頭,SLEで出現
  • 境界が明瞭な白斑は硬性白斑と呼ばれ,網膜への蛋白質や脂質の沈着が原因
  • 硬性白斑は単純網膜症の所見であり軟性白斑(綿花様白斑)よりも初期病変


- 両側の綿花様白斑を呈した巨細胞性動脈炎の81歳女性 -

(投稿者 川崎)

2025-10-28

飛蚊症ひぶんしょう  Floaters or Flying dots

  • 概略 硝子体の混濁で視界に虫などが飛んでいるように見える病態
  • 症状 水玉やハエ、黒いスス、糸くず、輪などが眼球と一緒に動く
  • 原因 先天的あるいは生理的(加齢による離水や後部硝子体剥離)
  • 病的 硝子体出血、ぶとう膜炎、網膜硝子体ジストロフィ、その他
  • 治療 生理的飛蚊症(高齢者や強い近視症例に多い)では治療不要
  • 検査 散瞳が必要(30分程の検査であるが瞳孔が戻るのに数時間)
  • 正式 医学用語としては硝子体混濁(muscae volitantes)を使用


- 飛蚊症のイメージ画像 -

👀 独り言
  • 飛蚊症は「ひふんしょう」と長年思っていました.「ひぶんしょう」だったとは 😅
  • 気にしだすと常に見えるが、そのうちに忘れる(水晶体の濁りは変わらないのに)

(投稿者 川崎)

2025-09-21

サルコイドーシスの眼病変:首飾り状硝子体混濁

👤 サルコイドーシス vs 眼
  • 眼は肺に次いで2番目に病変の発生率が高い臓器
  • 最多はぶどう膜炎でサルコイドーシスの30-60%
  • 逆にぶどう膜炎例の10.6%がサルコイドーシス
  • 眼病変の好発は20-30歳台と50-60歳台の二峰性

👥 ぶどう膜炎
  • 前眼部:豚脂様角膜後面沈着物や虹彩結節など
  • 隅角:隅角結節やテント状周辺虹彩前癒着など
  • 硝子体:雪玉状や数珠状,首飾り状硝子体混濁
  • 眼底:網膜血管周囲炎や蠟様網脈絡膜滲出斑他


※上記6項目で2項目以上ならぶどう膜炎の原因としてサルコイドーシスを強く疑う


🚑 サルコイドーシスに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2025-08-30

論文 🏆

  • 近隣クリニックから当院へ紹介例が論文になりました
  • 労作時の動悸がありマスター負荷で2:1伝導ブロック
  • 心エコー図や運動負荷タリウム、ホルターに問題なし
  • その後に目薬(β遮断薬含む)の使用(片眼)が判明
  • 目薬の中止後は安定するも1年後に完全房室ブロック
  • なんと今度は両眼に点眼 → 中止後にブロックは消失
  • その後に眼科で閉塞 隅角ぐうかく緑内障に対して手術を実施

- 3度房室ブロックが出現時の心電図 -

😀 知識の整理
  • ベータ遮断薬を含む点眼薬の全身的な影響は,正常な心血管機能を有する個人では極めて軽微で無視できる.
  • しかし房室ブロックを呈した243症例の検討では,その内12症例でβ遮断薬を含む点眼薬を処方されていた.
  • 点眼薬の中止後この12例中7例では洞調律が回復したが,5例では最終的にペースメーカ植込み術を要した.
💁 論文の過去投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2025-08-18

フィジカルクイズ(No. 17 & 18)

  • 循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.
  • 2025年4月から毎週金曜日に循環器に関するフィジカルクイズを2題ずつX(旧Twitter)で発信しているので,よろしければフォローしてみてください(@PhysicalExamin1).こちらにも2週分ずつまとめてアップします.



👻「フィジカルクイズ」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

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(投稿者 川崎)

2025-07-25

眼類天疱瘡がんるいてんぽうそう Ocular Pemphigoid

👀 角膜の復習
  • 角膜は上皮・実質・内皮の3層によって構成されている
  • それらの層はいずれも血管を必要としない特殊な構造
  • 角膜上皮は角膜周辺の輪部に存在する幹細胞から供給
  • 徐々に中心へ向かって進行し最終的には表面から脱落
  • 幹細胞から分裂して脱落するまでかかる時間は数週間
  • 角膜移植後半年で上皮はホスト由来上皮に入れ替わる


🔎 眼類天疱瘡
  • 概要 抗結膜基底膜抗体によって結膜に障害を生じる慢性疾患
  • 分類 類天疱瘡の1種(天疱瘡は別で抗デスモグレイン自己抗体)
  • 所見 癒着,睫毛乱生,角結膜炎,血管新生,混濁,角化など
  • 疫学 頻度は1~5万人に1人で60歳以上に多く女性優位(2:1)
  • 治療 人工涙,局所抗炎症薬,内反睫毛抜去,免疫抑制薬など
  • 予後 皮膚の類天疱瘡より不良(最終的には角膜移植:下図)

参考)In: StatPearls,他

- 眼類天疱瘡の角膜移植 -

💁 天疱瘡に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2025-04-21

感染性心内膜炎:末梢サインの頻度

  • 感染性心内膜炎の身体所見では心雑音と末梢サインに注目します.心雑音や音質変化は感染性心内膜炎を示唆しますが,初診の症例でその判定は困難です.心雑音を認めない症例も3~4割あります(Eur Heart J 2023;44:3948-4042).
  • 一方,末梢サインの感度は低めですが,とても高い特異度を有しています.月間心エコーで原稿依頼を受けたときに,その出現頻度を調べたのでここに記載しておきます(調査した論文は心エコー 2025;26:22-6を参照してください).

末梢サイン 出現頻度
点状出血 0.6~30%
オスラー結節 1.9~10%
ジェインウェイ病変 1.6~10%
スプリンター出血 10~26%

😊 おまけ
  • 感染性心内膜炎のDuke診断基準が2023年に更新(Duke ISCVID基準:Clin Infect Dis 2023;77:518-26)され,末梢サインは臨床診断の小基準として今回も明記されています.心雑音に関しては新規の逆流性雑音に限ると記載
  • 末梢サインは,出現や消退が病期や病勢に影響され,塞栓に由来する所見は左心系の病態に限られますが,高い特異性を有しています.鑑別診断に感染性心内膜炎が含まれる病態ではエコー前に是非,確認したい所見です


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(投稿者 川崎)

2025-04-12

視束管骨折(視神経管骨折)

  • 眼球と脳を連絡している視神経を包み込む視神経管に骨折が生じた状態
  • 外傷性視神経症は頭部外傷の約0.5~5%,顔面中央部骨折の2.5%に合併
  • 視神経管骨折は外傷性視神経症の原因の一つでその約20%を占めている
  • さまざまな程度で視機能に障害を及ぼし,時に永久的な視力障害の原因
  • 治療は視神経管開放術(経鼻内視鏡下視)やステロイドパルス療法など
  • CTなどの画像検査で骨折部位が描出されないため診断が困難な症例あり
  • 手術適応や時期の明確な指針はないため個々の症例に応じた対応が必要


- 分かりやすい資料 -

💁 視力に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2025-03-17

第21回 循環器Physical Examination講習会より


循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.毎週情報発信をしているので,よければSNSでフォローしてみてください.


👻「フィジカル講習会」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

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(投稿者 川崎)