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2025-07-01

心不全HFrEFの治療

Fantastic 4 が基本
  1. ARNI (angiotensin receptor/neprilysin inhibitor) アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ACE阻害薬ARBも考慮可)
  2. β遮断薬 (beta blocker) ベータ遮断薬
  3. MRA (mineralocorticoid receptor antagonist) ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬
  4. SGLT阻害薬 (sodium glucose co-transporter 2 inhibitor) ナトリウム/グルコース共輸送体2阻害薬

心不全ガイドライン2025の記載(表19)
ACE阻害薬
  • エナラプリル 2.5 mg/日より開始,維持量5~10 mg/日,1日1回投与
  • リシノプリル 5 mg/日より開始,維持量5~10 mg/日,1日1回投与
ARB
  • カンデサルタン 4 mg/日より開始(重症例・腎障害では2 mg/日),維持量4~8 mg/日(最大量12 mg/日),1日1回投与
  • ARNI サクビトリルバルサルタン 100 mg/日より開始,維持量100,200 または 400 mg/日,忍容性があれば目標用量まで徐々に増量1日2回 投与
β遮断薬
  • カルベジロール 2.5 mg/日(重症例では1.25 mg/日)より開始,維持量5~20 mg/日,1日2回投与
  • ビソプロロール 0.625 mg/日(重症例では0.3125 mg/日)より開始,維持量1.25~5mg/日,1日1回投与
MRA
  • スピロノラクトン 12.5~25 mg/日より開始,維持量25~50 mg/日,1日1回投与
  • エプレレノン 25 mg/日より開始,維持量50 mg/日,1日1回投与
SGLT2阻害薬
  • ダパグリフロジン 10㎎/日,1日1回
  • エンパグリフロジン 10㎎/日,1日1回

👹 独り言
  • ACE阻害薬・ARB・ARNI・β遮断薬は最大量を目指す
  • MRAは投与量にこだわらず,SGLT2阻害薬は固定量

(投稿者 川崎)

2025-06-30

夢叶う2 Dreams come true 2

  • 心不全臨床では負荷を併用した頚静脈の座位定性法がとても有用です
  • 5-ステップで学ぶ無料アプリ「シンプル頚静脈」を昨年公開しました
  • 日本語版は総説やSNS,講演などで宣伝する機会がある程度ありました
  • 実は海外展開を念頭に英語版も同時にリリースしていました(コチラ
  • 今回,国際誌にアプリが掲載されました(ESC Heart Fail 2025 May 27

😎 舞台裏
  • はじめに米国の雑誌に投稿しましたが,あっさりreject.でもこれは想定内でした.(内容はともかく)アプリの掲載はとてもリスクがあるからです(スパムを組み込むことも技術的に可能).今回の雑誌にも期待せずに投稿しました.3日後に返事があったので「やっぱりダメだな」と思っていたら,ともて高評価.実際にその1週間後(投稿10日後)に出版されました.
  • 本邦の心不全ガイドライン(2025.3更新)への収載が一つ目「夢叶う Dreams come true」で,今回の海外展開が二つ目の「夢叶う Dreams come true」です.そしていつか,海外のガイドライン収載へ…これは三つ目の「夢叶う Dreams come true」になるでしょうか😃

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2025-06-29

心不全治療:先日のランチョンセミナーから

演者は飯塚病院 循環器内科の松川龍一先生です.2024年10月にメディカ出版から刊行された「ねころんで読める心不全」の著者としてご存じの方も多いかを思います.なお下記の記載に関して投稿者の聞き違いがあればすいません.(資料提供のS氏にも感謝)

💕 2025心不全ガイドラインの改定ポイント
  • ベルイシグアト:EF<45%でクラスⅡa
  • フィネレノン:HFrEFでクラスⅠ,HFmrEFとHFpEFでクラスⅡa
  • サイアザイド系利尿薬:クラスⅠからⅡaにダウン(トルバプタンと同じクラス)

💓 クラスⅡaの薬剤をうまく使う
  • イバブラジン:EFが低く心拍数が早い場合に投与.血圧が上がることでARNIを導入しやすくなる.sCGを直接指摘することでcGMPを活性化
  • ベルイシグアト:血圧が低い場合ACE阻害薬と組み合わせて仮想ARNI.血圧も下げにくく,腎機能も関係なく使える.早期からPCWPを下げる報告もあり,症状改善にも寄与

💘 第5の矢をどう使っていくか
  • Fantastic Fourに加える:心不全入院の既往が一度でもあれば,安定していてもベルイシグアトの追加を検討
  • 血圧が低くてARNIが入れられない場合:少量のACE阻害薬+ベルイシグアトの作用機序でARNIに迫る
  • 心拍数が低い場合:β遮断薬やイバブラジンが入れられない場合にベルイシグアトの追加を考慮
  • 心拍数が高い場合:イバブラジンの追加を検討

💁 心不全治療に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2025-06-21

前心不全に対する心保護薬

腫瘍内科から「前心不全に対する心保護薬」について相談を受ける機会が増加してきました.癌治療の進歩にエビデンスが追い付いていない領域ですが,ガイドラインの関連記載をアップしておきます.

📗 日本臨床腫瘍学会 Oncocardiology ガイドライン - 総説

📙 日本循環器学会/日本心不全学会 心不全診療ガイドライン

💁 化学療法に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2025-06-18

歯科治療時のアモキシシリン 2g

感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017年改訂版)では,抜歯などの菌血症を誘発する歯科治療に対する感染性心内膜炎の予防にはアモキシシリン2gの術前1時間以内の経口単回投与が推奨されています.
  • 成人の高度リスク患者に対し,抜歯などの菌血症を誘発する歯科治療の術前には予防的抗菌薬投与を推奨する(推奨の強さ1:強く推奨する,エビデンス総体の強さB[中])
  • 成人の中等度リスク患者に対し,抜歯などの菌血症を誘発する歯科治療の術前には予防的抗菌薬投与を提案する(推奨の強さ2:弱く推奨する(提案する),エビデンス総体の強さ C[弱])

🐌 深堀
  • アモキシリンの量に関して添付文書には「ヘリコバクター・ピロリ感染を除く感染症ならば成人:アモキシシリン水和物として、通常1回250mg(力価)を1日3~4回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。」と記載されています.2gは通常量の2倍なので必要時にはおおむね許容されると思われます.ただし1日量であり1回量ではありませんが...
  • アモキシリンの投与に関して添付文書には予防投与の記載がないため,本来は保険請求できません.ただし投与しないことは患者さんの多大な不利益になり,これは公的保険制度の理念・趣旨に反します.社会保険診療報酬支払基金の回答を見つけることはできませんでしたが,必要時には投与すべきと思われます.査定されても250㎎ 8錠(2g)で約80円ですし...

💁 予防投与に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2025-05-20

心不全のステージE(Stage E)

  • 心原性ショック分類に関するSCAI臨床専門家の合意声明で採用されている5分類の一つ(米国心臓病学会 ACC、米国心臓協会 AHA、集中治療医学会 SCCM、および胸部外科学会 STSによって承認)。
  • ステージAは心原性ショックの「リスクあり」、ステージBは「初期」ショック、ステージCは「古典的」心原性ショック、ステージDは「悪化中」、そしてステージEは「極限状態」である。
  • BとCの違いは低灌流の存在である。Dは選択された初期介入を行っても30分間で適切な灌流が回復していない。Eは極限状態にあり、非常に不安定で、多くの場合、心血管虚脱を伴う。

- 心原性ショック分類のピラミッド -

  • 上記の心原性ショックに限定した分類(ステージA~Eの5分類)とは異なり、心不全の長い軌跡を一連の病態として捉えた病期分類もあります。
  • こちらの分類(ステージA~D)の方が圧倒的に有名で、心不全の適切な治療介入やケア、早期発見の目的のために日常臨床で活用されています。

- 心不全のステージ分類 -

💁 心不全分類 に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2025-04-06

夢叶う Dreams come true

  • 2025年3月28日に新しい心不全ガイドラインが公開されました.そして遂に頚静脈の座位定性法が記載されました(下の上図).おまけに吸気負荷の有用性も併記されています.その部位で引用されているのが2論文です(下の下図).
  • 最初の論文は頚静脈の座位定性法を(初めて?)報告したフィンランドのSinisaloらの報告です(Am J Cardiol 2007;100:1779-81).もう一つはなんと座位定性法に吸気負荷を加えた当院の報告です(Am J Cardiol 2022:170:71-5).


🕔 特別な朝
  • この日は(いつも通り)5時前に起きて,真っ先に日循ホームページを覗いてみました.そして更新された心不全ガイドラインの図と文言を見てとても驚きました.予想を大幅に上回る改定で,おまけに引用論文も最高です.この変更は前もって何も知らされていませんでした(僕レベルでは当然😅)
  • 早速(おそらく今回の改定に尽力していただいた)先生にお礼のメールをしました.すると5分後に「いままで使われていなかったことが問題...これから広めていきましょう」とお返事をいただきました.時計はまだ6時にはなっていません.とても素晴らしい朝になりました.本当に夢が叶いました.

(投稿者 川崎)

2025-03-12

急性胆囊炎の重症度判定基準

重症急性胆囊炎(Grade Ⅲ)
 急性胆囊炎のうち,以下のいずれかを伴う場合 
  • 循環障害(ドーパミン≧5 μg/kg/min,もしくはノルアドレナリンの使用)
  • 中枢神経障害(意識障害) ・呼吸機能障害(PaO2/FiO2<300)
  • 腎機能障害(乏尿,もしくは Cr>2.0 mg/dL)
  • 肝機能障害(PT-INR>1.5)
  • 血液凝固異常(血小板<10万/mm3

中等症急性胆囊炎(Grade Ⅱ)
 急性胆囊炎のうち,以下のいずれかを伴う場合
  • 白血球数>18,000/mm3
  • 右季肋部の有痛性腫瘤触知
  • 症状出現後72時間以上の症状の持続
  • 顕著な局所炎症所見(壊疽性胆囊炎,胆囊周囲膿瘍,肝膿瘍,胆汁性腹膜炎,気腫性 胆囊炎などを示唆する所見)

軽症急性胆囊炎(Grade Ⅰ)
 急性胆囊炎のうち,「中等症」,「重症」の基準を満たさないもの


👉「胆嚢」に関する過去の投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2024-06-16

心臓限局性サルコイドーシスの診断

  • サルコイドーシスの診断は確定できる組織像が得られない症例では容易ではありません.心臓限局性サルコイドーシスが疑われ心筋生検陰性または未施行例は言うに及びません.
  • 心臓限局性サルコイドーシスの頻度は,本邦の心臓サルコイドーシス症例(疑い例を含む)の5~15%と報告されています.一方で組織診断の陽性率はわずか10~17%にすぎません.
  • ただし以下の5項目(心臓所見の主徴候)のうち,(d)を含む4項目以上が陽性の場合は心臓限局性サルコイドーシス(臨床診断群)と診断できるとガイドラインに記載されています.

(a)高度房室ブロック(完全房室ブロックを含む)または致死性心室性不整脈(持続性心室頻拍,心室細動など)
(b)心室中隔基部の菲薄化または心室壁の形態異常(心室瘤,心室中隔基部以外の菲薄化,心室壁の局所的肥厚)
(c)左室収縮不全(左室駆出率 50% 未満)または局所的心室壁運動異常
(d)67Ga citrate シンチグラフィまたは 18F-FDG PET での心臓への異常集積
(e)ガドリニウム造影 MRI における心筋の遅延造影所見


    💁 サルコイドーシスに関する過去の投稿 ➜ コチラ

    (投稿者 川崎)

    2024-06-12

    STRONG-HF試験:GDMT急速増量戦略

    • 心不全に対する標準治療薬(例:Fantastic four)の早期導入の有効性と安全性を検証した前向きのランダム化比較試験
    • AHA2022で発表され同時に論文も掲載(Lancet 2022;400(10367):1938-52).STRONG-HF試験の視覚的資料は  ココ です

    💕 STRONG-HF試験
    • 対象 標準的な薬物治療(GDMT)が充分には行われていない急性心不全入院例
    • 介入 退院2日前までに標準薬の至適用量の1/2以上導入+退院2週後までに全量
    • 結果 180日目までの心不全再入院と全死亡は介入群で低率(リスク比=0.66)
    • 解釈 急性心不全で入院後はGDMTの急速増量戦略が標準的な治療法よりも有用

    😶 つぶやき
    • 心不全入院を経験した症例の5年生存率はおよそ50%(日本医事新報)で,全がん症例の62%(国立がん研究センター)より不良です.
    • 当院の心不全入院311例(2019.4~2021.3)の解析でも,院内死亡率5.7%,退院1年内に死亡5.3%,退院1年内に再入院31.7%と不良
    • 予後改善には心臓リハビリの外来継続や多職種介入,ハートノート導入に加え,GDMT急速増量戦略がとても重要と感じるこの頃です.

    (投稿者 川崎)

    2024-04-20

    ABC pathway ABC経路

    ABCはAtrial fibrillation Better Careの略で,心房細動患者に総合的なケアを提供するために 2020 ESC Guidelines で提案されたシンプルな意思決定戦略.ABCは以下の接頭語でもある.
    • Avoid strokes with Anticoagulation(抗凝固療法による脳卒中回避)
    • Better symptom management with patient-centered and symptom-directed decisions on rate or rhythm control(レートまたはリズム制御に関する患者・症状中心の決定によるより良い症状管理)
    • Comorbidity and Cardiovascular risk factor management, including lifestyle changes(ライフスタイルの変更を含む併存疾患および心血管リスク因子の管理)


    - ABC pathwayの遵守患者と非遵守患者の複合転帰のリスク -
    💁 心房細動に関する過去の投稿 ➜ コチラ

    (投稿者 川崎)

    2024-03-27

    WIfIワイファイ分類

    • 包括的高度慢性下肢虚血(chronic limb-threatening ischemia: CLTI)で使う重症度分類
    • 創(wound),虚血(ischemia),感染(foot infection)の3項目から判定する(下表)
    • Vascular Surgery Lower Extremity学会が提唱した分類法(J Vasc Surg 2014;59:220-34
    • SPP値との関連:0は≧50 mmHg/1は40~49 mmHg/2は30~39 mmHg/3は<30 mmHg
    • 1年後までの大切断率はWIfI ステージが上がるにつれ上昇して特にStage 4では38%と高率



    💫 おまけ
    • 無線LANのWi-Fiはブランド コンサルティング会社 Interbrand による造語で,業界団体 Wi-Fi Alliance の商標登録.Wireless Fidelity(忠実度)の短縮形ではなく,WiFiやWifi,wifiとも記載されますがWi-Fi Allianceの承認はないそうです().
    • 1997年当時のWi-Fi(当時は別名)から無線周波数は2.4 GHzですが,その速度はたったの1-2 Mbit/秒でした.2024年時点(名称はWi-Fi7)では周波数2.4 GHz,5 GHz,6 GHzが利用可能で,速度は1,376–46,120 Mbit/秒にまでアップしています.

    (投稿者 川崎)

    2024-01-16

    心不全とSGLT2阻害薬

    • (今更ですが)日本循環器学会・日本心不全学会の心不全治療におけるSGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendationを転記しておきます(2023年6月16日) 
    • 概略:すべての心不全で積極的使用+腎機能や電解質,尿路・性器感染に注意+食事制限手術なら糖尿例で3日前~,非糖尿例で前日~中止(再開は食事の開始時)

    📖 Recommendation勧告
    • 心血管疾患のハイリスク2型糖尿病患者において、SGLT2阻害薬は入院を要する心不全イベントの抑制が報告されており、リスクとベネフィットを十分に勘案して積極的にその使用を検討する。
    • 心不全患者において、SGLT2阻害薬(ダパグリフロジンとエンパグリフロジン)は2型糖尿病の合併・非合併および左室駆出率にかかわらず、心不全イベントの抑制が報告されており、リスクとベネフィットを十分に勘案して積極的にその使用を検討する。
    • 心不全患者では利尿薬を使用する頻度が高く、SGLT2阻害薬の併用により過度の体液量減少をきたすリスクがあるため、腎機能や電解質等のモニタリングを適宜行い、必要に応じて利尿薬や降圧薬の用量を調節する。
    • 2型糖尿病を合併した SGLT2阻害薬を使用中の心不全患者が、食事摂取制限を伴う手術を受ける場合には、手術3日前から休薬し、術後は食事摂取が可能になってから再開する。一方、2型糖尿病を合併しない心不全患者では、術前の終日絶食日に SGLT2阻害薬を休薬し、術後は食事摂取が可能になってから再開する。なお、2型糖尿病の合併・非合併にかかわらず、SGLT2阻害薬を服用中の心不全患者が緊急手術を受ける場合には、同薬の休薬についてリスクとベネフィットを十分に勘案して現場での判断を許容する。いずれの場合においても、心不全患者において SGLT2阻害薬を休薬する場合には、休薬に伴う心不全増悪時も含め必要に応じて循環器専門医への紹介を考慮する。
    • SGLT2阻害薬は、2型糖尿病の合併の有無にかかわらず心不全患者においても尿路・性器感染症の発生・増悪が懸念されるため、リスクとベネフィットを十分に勘案して適応を検討し、投与後は注意を払う必要がある。
    • 心不全患者において SGLT2阻害薬を使用する場合、各薬剤の添付文書および本Recommendationを踏まえて適正に使用する。糖尿病や慢性腎臓病の併存する病態に応じて日本糖尿病学会および日本腎臓学会の SGLT2 阻害薬の適正使用に関するRecommendationも参考にする。

    (投稿者 川崎)

    2024-01-08

    循環器 Best Teacher Series

    • 「5分でわかる循環器Best Teacher Series」は日本循環器学会が主導する学習動画です.医学部生を主な対象とする無料のe-ラーニングコンテンツで,会員登録なしにすべて視聴することができます.
    • 今回,本ページの管理人が『心不全の身体所見~すぐに役立つ頸静脈と心音~』を担当しました.よろしければ一度ご覧ください.収録時にちょっと風邪気味だったので,鼻声が気になりますが 😅


     😎 追加コメント
    • 同シリーズでは動画作成前に予定内容を学会に提出し審査を受ける必要があります.今回は出だしで日循ガイドラインが推奨する方法の問題点を指摘し,未記載の別方法を勧めました.訂正を指示されると思いきや,逆にお褒めの言葉で驚きました.
    • この循環器Best Teacher Seriesは全国の医学部生を対象にしているとうたっています.しかし今回担当した心不全の身体所見コンテンツは,むしろ臨床現場で日々,心不全診療を担われている先生方に見ていただければいいな〜と思っております.

    心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

    (投稿者 川崎)

    2023-08-15

    大動脈解離診断リスク スコア Aortic Dissection Detection Risk Score: ADD-RS

    • ADD-RSのオリジナルはAHA/ACCガイドラインCirculation 2010;121:e266-369)➜ 以下の各項目で一つでも該当すれば1点として3項目の合計点を算出(0~3点)

    1. 背景:マルファン症候群など結合組織病・大動脈弁疾患・胸部大動脈瘤・大動脈の手術歴
    2. 症状:突然発症・激痛・引き裂くような痛み 
    3. 所見:脈拍欠損あるいは血圧左右差(>20 mmHg)・局所的な神経学的異常・拡張期逆流性雑音・低血圧やショック

    • その後にDダイマーとの組合せに進化(Circulation 2018;137:250-8)➜ 上記スコア(ADD-RS)が0~1点かつDダイマーが500 ng/mL未満なら急性大動脈解離の除外(CT省略可),ADD-RSが2~3点ならCT検査(Dダイマー測定不要)



    💘 大動脈解離に関する過去の投稿 ➜ コチラ

    (投稿者 積木/川崎)

    2023-04-07

    CGA分類

    • CKD(chronic kidney disease:慢性腎臓病)の重症度を原因(cause:C), 腎機能(GFR:G),蛋白尿(アルブミン尿:A) で分類する方法.このCGA分類を元に作成されたのが以下の有名なヒートマップ.

    - CGA分類によるCKDの重症度分類 -

    👍 CGA分類に準じたカルテ記載を心がけたい
    • #CKD 糖尿病 G2A3
    • #CKD 慢性腎炎 G3bA1
    • #CKD 腎硬化症疑い G4A1
    • #CKD 多発性囊胞腎 G3aA1
    • #CKD 原因不明 G4A2


    (投稿者 川崎)

    2023-03-05

    Mixed Aortic Valve Disease: MAVD 混合大動脈弁疾患

    👍 ポイント
    • 中等度AS中等度ARが共存した病態(MAVD)では,単独の中等症ASや中等症ARと比較して,有害事象の発生が有意に高い.
    • MAVD患者は重症AS患者と同等の転帰であるが,(一見)駆出率は保たれているため症状について注意深く観察する必要がある.

    👌 ガイドラインの文言:大動脈弁狭窄症兼閉鎖不全症(ASR)
    • 単独のASまたはARにおいては,重症度分類に基づいた手術適応基準が各ガイドラインにおいて提唱されているのに対して,ASRに関する研究は少なく治療ガイドラインは明らかにされていない.このため,より重症な弁膜症の治療ガイドラインに基づいた管理および治療方針の決定が行われていると想定される.しかし,ASRは単独ASまたは単独ARとは異なる臨床経過をたどる可能性がある.過去の研究によれば,ASとARがともに中等症のASRであっても,その予後は重症ASと変わらないと報告されている680-682).ASRの特徴であるASによる圧負荷とARによる容量負荷が,中等度であっても複合的に予後へ影響する病態を生じるためと考えられる.ASRではASの圧負荷によって求心性肥大が生じ,ARの容量負荷によって遠心性肥大を生じるため,単独ASおよび単独ARに比較して心筋重量が増大する680-682).従来から心筋重量の増加は心疾患の予後と関連することが知られており,心筋重量の増大がASRの複合的な病態の重症度を反映している683,684).高度心肥大は左室拡張機能を低下させるが,ARによる容量負荷によって左室拡張期圧を急激に増加させ,心不全症状を顕性化させる685).ASRでは弁膜症の進行がなくても症状が認められるようになることがあり,弁疾患よりも拡張機能障害の進行が原因であると考えられる680-682).このように,従来のASもしくはARのガイドラインではASR患者の管理には不十分である.ASRでは弁膜症の重症度評価に加えて心筋重量や拡張機能評価を行い,中等症弁膜症ではなく重症ASに相当するより厳密な経過観察が推奨される.


    👻 ガイドラインに関する過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

    (投稿者 川崎)

    2022-11-03

    心不全:大切な10事項

    👾 ガイドラインの超抜粋

    1. 4 Medication classes are now recommended as guideline-directed medical therapy for HFrEF: ARNI, ACEi or ARB, beta blockers, MRAs and the new group SGLT2i. ➜ HFrEFのガイドラインに沿った医学療法として、ARNI、ACEi または ARB、ベータ遮断薬、MRAおよび新しいグループSGLT2iの4つの投薬クラスが現在推奨されています。
    2. There are new medication recommendations for HFmrEF, including use of SGLT2i (class of recommendations 2a). ➜ SGLT2iの使用を含む、HFmrEFの新しい投薬の推奨事項があります (推奨クラス 2a)。
    3. There are new medication recommendations for HFpEF, including use of SGLT2i (class of recommendations 2a), MRAs (class of recommendations 2b) and ARNI (2b). ➜ SGLT2i (推奨クラス 2a)、MRA (推奨クラス 2b)、ARNI (2b) の使用を含むHFpEFの新しい投薬推奨事項があります。
    4. Patients with previous HFrEF who now have an LVEF >40% are referred to as having improved LVEF. They should continue their HFrEF treatment. ➜ 以前にHFrEFを患い、現在LVEFが40%を超えている患者は、LVEFが改善したと見なされます。 HFrEF治療を継続する必要があります。
    5. For many treatments, value statements have been created. High-value therapies include ARNI, ACEi, ARB, beta blocker, MRA, implantable cardioverter-defibrillator, and cardiac resynchronization therapy. Intermediate-value therapies include SLGT2i and cardiac transplantation. ➜ 多くの治療法について、価値声明が作成されています。価値の高い治療には、ARNI、ACEi、ARB、ベータ遮断薬、MRA、植込み型除細動器、心臓再同期療法などがあります。中間値の治療には、SLGT2iおよび心臓移植が含まれます。
    6. There are new recommendations for treatment of amyloid heart disease. ➜ アミロイド心疾患の治療に関する新しい推奨事項があります。
    7. If LVEF >40% evidence of spontaneous or provokable increased LV filling pressures is needed to confirm diagnosis of HF. ➜ LVEFが40%を超える場合、HFの診断を確認するには、自発的または誘発性の左室充満圧の増加の証拠が必要です。
    8. Patients with advanced HF and a wish for prolonged survival should be referred to a HF specialty team. ➜ 心不全が進行し、生存期間の延長を希望する患者は、心不全専門チームに紹介する必要があります。
    9. For those at risk for HF (stage A) or pre-HF (stage B), primary prevention is important. There was a revision of stages of HF to highlight the new terminology of “at risk for HF” (stage A) and “pre-HF” (stage B). ➜ 心不全 (ステージ A) または前心不全 (ステージ B) のリスクがある人にとっては、一次予防が重要です。 「HFのリスクがある」(ステージA)および「HF前」(ステージB)という新しい用語を強調するために、HFのステージの改訂がありました。
    10. Specific-treatment recommendations are provided for select patients with HF and iron deficiency, anemia, hypertension, sleep disorders, type 2 diabetes, AF, coronary artery disease and malignancy. ➜ HFおよび鉄欠乏症、貧血、高血圧、睡眠障害、2 型糖尿病、心房細動、冠動脈疾患、および悪性腫瘍の選択された患者に対して、特定の治療に関する推奨事項が提供されます。

    👽 おまけ
    • 充実したガイドラインは重宝しますが,更新毎にボリュームが増しフォローすることが大変です.作成メンバーもそれを理解してか,今回の10項目の抜粋はとても助かります.
    • 今回の日本語訳(➜ 以降の部分)はGoogle翻訳をそのまま掲載してみました.きになる部分がないこともないのですが,着実に進歩するその技術には本当に驚かされます.

    (投稿者 川崎)

    2022-09-21

    😀 大切な姿勢

    日本循環器学会 / 日本血管外科学会合同ガイドライン 2022年改訂版 末梢動脈疾患ガイドラインで気になる記載がありました(11ページ).診断や治療に関する提言ではありませんが,とても大切なことだと思うので転記しておきます.

    監督下運動療法
    • 従来,監視下運動療法という用語が一般に使用されてきたが,患者が受ける印象として,「監視」よりも「監督」が適切であると考えられることから,班会議にて,新たに「監督下運動療法」という用語を本ガイドラインから提案することとした.

    💁 ガイドラインに関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら右欄からも選択可能です)

    (投稿者 川崎)

    2022-07-27

    GDMT vs OMT

    • GDMT ➜ guideline-directed medical therapy(診療ガイドラインに基づく標準的治療)
    • OMT ➜ optical medical treatment(至適薬物療法)

    👶 独り言

    ちなにみ循環器領域の3大ガイドラインでは
    1. ACC/AHA(米国心臓病学会/米国心臓協会):GDMTを採用
    2. ESC(欧州心臓病学会):OMTを採用
    3. JCS(日本循環器学会):OMTとGDMTが混在

    言語としてより正確な表現はGDMTと思われるため,今後はOMTという表記は減っていくのかな〜と思います.本邦のガイドラインはその移行期かもしれません(2021年フォーカスアップデート版急性・慢性心不全診療ではGDMT/2022年改訂版末梢動脈疾患ガイドラインではOMT).個人的には至適薬物療法(OMT)という語感(日本語と英語ともに)が気に入っていたのですが...

    💁 ガイドラインに関する過去の投稿 ➜ コチラ

    (投稿者 川崎)