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2026-09-20

ジアゼパム点鼻液 (スピジアⓇ)

  • 国内初のジアゼパムの鼻腔内投与製剤(2025年12月24日に発売)
  • 効果はてんかん重積状態(2歳以上で重積状態へ移行する恐れ含)
  • 医療機関外で医療者や介護者による投与可なレスキュー薬(下記)

📘 医政医発0415第1号(令和8年4月15日)より

学校、保育所、認定こども園、家庭的保育事業等、放課後児童健全育成事業、子育て短期支援事業、児童育成支援拠点事業、放課後子供教室、認可外保育施設、児童自立生活援助事業、児童発達支援、放課後等デイサービス等(以下「学校等」という。)に在籍又は利用する幼児、児童、生徒、学生(以下「児童等」という。)がてんかん発作を起こし、生命が危険な状態等である場合に、現場に居合わせた教職員を含む職員又はスタッフ(以下「教職員等」という。)が、ジアゼパム点鼻液(「スピジア®」)を自ら投与できない本人に代わって投与する場合が想定されるが、当該行為は緊急やむを得ない措置として行われるものであり、次の4つの条件を満たす場合には、医師法(昭和23年法律第201号)第17条違反とはならないと解してよい。
  1. 当該児童等及びその保護者が、事前に医師から、次の点に関して書面で指示を受けていること。学校等においてやむを得ずジアゼパム点鼻液を使用する必要性が認められる児童等であること、ジアゼパム点鼻液を使用する際の留意事項
  2. 当該児童等及びその保護者が、学校等に対して、やむを得ない場合には当該児童等にジアゼパム点鼻液を使用することについて、具体的に依頼(医師から受けたジアゼパム点鼻液を使用する際の留意事項に関する書面を渡して説明しておくこと等を含む。)していること。
  3. 当該児童等を担当する教職員等が、次の点に留意してジアゼパム点鼻液を使用すること。当該児童等がやむを得ずジアゼパム点鼻液を使用することが認められる児童等本人であることを改めて確認すること、ジアゼパム点鼻液を使用する際の留意事項に関する書面の記載事項を遵守すること
  4. 当該児童等の保護者又は教職員等は、ジアゼパム点鼻液を使用した後、当該児童等を必ず医療機関で受診させること。

(投稿者 川崎)

2026-09-06

脳底動脈先端症候群(Top of the Basilar Syndrome, TOBS)

  • 脳底動脈先端部の閉塞に起因した脳梗塞に伴ってみられる症候群の総称
  • 部位は中脳, 視床,小脳上部,側頭葉内側,後頭葉で片側性 or 両側性
  • 塞栓が多く症状は多彩(眼球運動・瞳孔異常,意識障害, 記憶障害など)
  • 提唱はアメリカの神経内科医 Louis R. Caplan(Neurology 1980;30:72-9)

- 意識障害を伴う脳底動脈上部症候群の73歳男性 -

図A:頭蓋磁気共鳴画像法の拡散強調画像で視床に左右対称の高信号域(赤矢印)
図B:頭蓋磁気共鳴血管造影画像で右視床穿通動脈に閉塞あり(赤矢印)


(投稿者 川崎)

2026-09-03

今週の一枚 🎯

突然の頭痛と嘔吐,左上肢の痺れでER搬入された高齢女性

🚑 解説
  • 頭部単純CTで右小脳に出血を認める
  • くも膜下腔へ血腫の穿破が疑われる
  • その後,急速に意識低下と呼吸停止

🔍 追加コメント
  • 本例のCTをよく見ると,水平断層像(上図の左)で脳幹部のCT値が他の非出血部よりも低下していることに気づく.この所見は,脳出血による圧迫などで脳幹部の血流が低下していることを示唆する.本例の急激な状態の悪化(呼吸停止など)は,この脳幹障害で説明可能と思われた.

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2026-08-24

薬剤性無菌性髄膜炎 Drug-induced aseptic meningitis(DIAM)

📚 薬剤性髄膜炎(総論)

  • 概要 特定の薬剤投与により生じる無菌性(非感染性)の髄膜炎
  • 実際 頭痛・発熱・項部硬直を呈するが髄液糖は正常,培養陰性
  • 原因 IVIGとNSAIDsが二大原因薬剤,他は抗菌薬・ワクチン他
  • 頻度 329症例でIVIG 29.8%,NSAIDs 13.8%,抗菌薬 11.0%
  • 経過 被疑薬中止で96%が完全回復ないし軽微な後遺症にとどまる



💊 NSAIDs誘発性髄膜炎

  • 概要 NSAIDs内服後に生じる無菌性髄膜炎,イブプロフェンが最多
  • 実際 発熱・頭痛・項部硬直を呈し細菌性に類似するが糖は正常
  • 背景 SLEなどの自己免疫性結合組織疾患を背景に生じやすい
  • 特徴 36例中61%が自己免疫疾患合併,61%が再発の既往あり
  • 関連 構造の異なる他のNSAIDsでも再燃しうる交差反応性あり
  • 治療 中止のみで数日以内に回復,以後はNSAIDs全般を避ける



💉 免疫グロブリン(IVIG)誘発性髄膜炎

  • 概要 IVIGを投与した24〜72時間以内に生じる無菌性の髄膜炎
  • 実際 激しい頭痛・項部硬直・羞明・発熱を呈し多くは自然軽快
  • 背景 最大の危険因子は片頭痛の既往(免疫複合体性過敏反応)
  • 頻度 既往ありで発症率50%,既往なしで4%と大きな差がある
  • 因子 高用量投与・急速輸注・自己免疫疾患合併などが危険因子
  • 対策 緩徐輸注・十分な補液・前投薬で予防,反復例は皮下製剤



(投稿者 川崎)

2026-08-21

📌 項部こうぶ硬直(または 頸部けいぶ硬直) Neck stiffness

  • 概要 髄膜が刺激された状態で出現する身体所見の一つ
  • 実際 頚部の屈曲で抵抗があれば陽性(主観的な判定)
  • 原因 脊髄くも膜下腔に存在する炎症や出血,腫瘍など

👿 追加コメント
  • 項部硬直の客観的な判定方法として,項部硬直では「頚部を自動的な屈曲時に顎を胸に付けることができない」あるいは「仰臥位で頭部を8 cm以上,挙上できない」
  • 他所見も参考:Kernig徴候(仰臥位で股・膝関節を屈曲から膝を伸展させると抵抗)やBrudzinski徴候(仰臥位+下腿伸展から頚部屈曲で両側の股・膝関節が屈曲)
  • 髄膜炎例では,仰臥位から座位になる時,髄膜の牽引による疼痛誘発を回避するため,両手を体の後方につくことがある(Amoss徴候≒tripod徴候,Hoyne徴候)
  • 小児で膝を完全に伸ばした座位(長座位)で頚部前屈の角度を測定すると髄膜炎群は平均 31度±11度 vs 非髄膜炎群は45度超(Arch Dis Child 1993 Feb;68(2):215-8)
  • 髄膜刺激では,特に前屈が制限される.一方、筋骨格系疾患(頚椎症やクラウンドデンス症候群など)では、前屈だけでなく回旋・伸展など複数方向で抵抗が出る.


(投稿者 川崎)

2026-08-14

VSRAD® ブイエスラド

  • 頭部MRIでアルツハイマー型認知症(AD)の原因である脳萎縮の評価法
  • Voxel based specific regional analysis system for Alzheimer's diseaseの略
  • 認知症で最多のアルツハイマー型では海馬傍回(側頭葉)付近が委縮
  • 対象は50歳以上で,脳ドック(MRI)のオプション(追加撮影,約6分)
  • 委縮判定の目安:0~1=なし,1~2=軽度,2~3=中等度,3~=高度

- 60歳男性例 -
(MRIのVSRADで左側頭葉前部の萎縮が強い/SPECTもほぼ同様)

(投稿者 川崎)

2026-08-09

第55回(2020年)理学療法士国家試験


腱反射が亢進する疾患はどれか.







判定


😐 解説
  • 腱反射が亢進するのは上位運動ニューロン(錐体路)障害で、選択肢の中では多発性硬化症のみが該当する。多発性硬化症は中枢神経の脱髄疾患で錐体路が障害されるため腱反射亢進・病的反射陽性を呈する。
  • 多発性筋炎は筋自体の炎症性疾患、Guillain-Barré症候群は末梢神経の脱髄性疾患、尿毒症性ニューロパチーは末梢神経障害、Duchenne型筋ジストロフィーは筋線維の変性疾患で、いずれも腱反射は減弱

(投稿者 川崎)

2026-08-06

今週の一枚 🎯

以前から続く起立時のふらつきで来院した高齢男性


(投稿者 川崎)

2026-07-17

日本内科学会 第252回近畿地方会より

😀 個人的に気になった報告

演題12 失神精査で発作時心静止と診断した閉塞性肥大型心筋症の1例
  • 心疾患併存例の失神では心原性が疑われやすいが、てんかん発作に伴う発作時心静止(Ictal Asystole:IA)の可能性も念頭に置く必要がある。今回、閉塞性肥大型心筋症(HOCM)を背景とする失神に対し、脳波検査でIAを同定し、ペースメーカー(PM)留置を回避できた1例を報告する。今回の精査中、モニター心電図で心静止が記録され循環器内科でPM留置が予定された。しかし、脳波検査で右側頭部に進展を伴う律動性徐波と一致して心静止を認め、IAと診断した。協議の結果、PM留置は中止とし抗発作薬(ASM)を開始し、以降発作はなく経過している。

演題114 電子処方箋導入に苦慮した診療所の1例
  • オンライン資格確認の準備段階で光回線を電話通信用とは別に引く必要性を後になり知らされ工期が延び開院は1ヶ月遅れた。業者が用意したオンライン資格確認用のパソコンには診療報酬振込額明細ダウンロードに必要なExcelが入っていなかった。クライアント証明書とHPKIセカンド電子証明書の違いも当初は理解できなかった。クライアント証明書はパスワードとともにベンダーに渡すように指示されたが受取対応を拒否され混乱した。厚労省マニュアルにあるICカードリーダー購入は電子処方箋導入には不要であった。概算費用は顔認証リーダー16万円、オンライン資格確認導入40万円、電子カルテへのオンライン資格確認連携20万円および電子処方箋導入30万円などを要した。電子処方箋導入は補助金を申請したが2回取消となり断念した。

演題115 長期経過の神経性やせ症患者の死後画像
  • 【症例】72歳、女性【主訴】意識障害【経過】やせ願望があった。意識障害で救急搬送されてきた際の身体計測でBMIは11であった。各種問診から神経性やせ症と診断された。低血糖や電解質異常、たこつぼ型心筋症などの対処を要した。各科の協力のもとrefeeding症候群を予防しながら経腸栄養を続けたが、第19病日に死亡された。死後CTを最終生存確認から約2時間後に行い、脳溝、大動脈、左心房、右心房、肝門脈、両腎に散在するガス像を認めた。本症例は著明な代謝性アルカローシスに対する代償性の高PaCO2血症をきたしており、死亡前の採血ではCO2分圧が100torr以上ありそれが循環停止により気化して広範なガス像を形成した原因の可能性もあると考えられた。

💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2026-07-09

今週の一枚 🎯

立ち上がり時のめまいで来院した症例

🔒 解説
  • 右眼の睫毛徴候陽性かつ右鼻唇溝は明らかに浅い
  • 起立は不安定で右へ容易に転倒(lateropulsion) 
  • MRIで右延髄外側にDWI高信号 (A) +ADC低下 (B)
  • 最終診断は右延髄外側梗塞(ワレンベルグ症候群)

🔓 臨床裏話
  • 本例のめまい感は頭位変換後30秒ほど持続し、安静により軽減しました。来院時には明らかな神経学的な異常所見がなく、頭部CTやMRIにも特記すべき異常所見はありませんでした。
  • BPPV(良性発作性頭位めまい症)と診断して耳鼻咽喉科に入院してもらいました。しかし、その後に右側顔面の異常が顕性化し、MRI再検(上記画像)で最終診断に辿り着きました。

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(投稿者 川崎)

2026-07-02

今週の一枚 🎯

床で寝ていたアルコール性肝硬変の男性

💥 解説
  • 意識JCS 1/GCS E4V4M6で血糖値は120 mg/dl
  • 構音障害あるも他に明らかな神経脱落所見なし
  • CTで迂回槽~左側脳室、第四脳室他に高吸収
  • 最終的にくも膜下出血を疑って他院に搬送した

💢 独り言
  • 本例には、家族も把握できない程の頻回・多量の飲酒歴がありました。酔うといつも呂律が回らなくなり、しばしば床の上で寝ていたそうです。
  • 今回も酔っていましたが、どうやら転んで頭を打ったようです。教訓:酔っ払いというアンカリングバイアスに惑わされないこと(失敗例)。

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(投稿者 川崎)

2026-06-29

頭の整理:アミロイド

  • TTR ➜ トランスサイレチン(transthyretin)で、Transport of Thyroxine and Retinol-binding proteinに基づく。旧名はプレアルブミン
  • ATTR ➜ Amyloid TTRで、主に肝臓で合成される正常タンパク質であるトランスサイレチンが変性・凝集してできたアミロイド沈着物
  • ATTRアミロイドーシス ➜ トランスサイレチン (TTR)を前駆タンパク質(precursor protein)とする全身性アミロイドーシス
  • プレアルブミン ➜ 名前の由来は電気泳動でアルブミンより陽極側(前)に泳動されためで、アルブミンとは構造的・機能的な関連性はない

(投稿者 川崎)

2026-06-12

QT延長

  • 先日、一過性にQT延長を指摘された症例を経験しました。どうやら片頭痛時に使用していたトリプタン系(5-HT1B/1D 受容体作動薬)が原因と思われます。
  • QT延長には様々な原因が知られています。頭を整理する意味で、生成AIに「QT延長の原因を一枚のスライドにまとめてください」と依頼してみました(以下)

(ChatGPTによる生成で重要情報は要確認)

(投稿者 川崎)

2026-06-09

復習🚨急性期脳梗塞治療

  • 発症から4.5時間以内である脳梗塞患者にはt-PA静注療法を考慮
  • 発症時間が不明例も少なくない(脳梗塞の約1/4は睡眠中に発症)
  • この場合,発症時間は最終健常確認時間(健常が目撃された最終)
  • ただしDWI高-FLAIR正常(ミスマッチ)は発症4.5時間以内を示唆
  • 脳主幹動脈閉塞で発症6時間以内ならt-PA静注に加え血栓回収療法


t-PA静注4.5時間と血栓回収6時間の根拠

(投稿者 川崎)

2026-06-03

WISC-V(ウィスク・ファイブ)

  • ウェクスラー式知能検査の一つでWISCは児童向け(5歳~16歳)
  • WISCとはWechsler Intelligence Scale for Childrenの頭文字の略
  • WISCの検査ではIQ(知能指数)に加え全般的な認知能力も確認
  • WISCは10種の基本検査と5種の補助検査の計15種検査から構成
  • 医療機関で保険適用で検査を受ける場合の費用は1,500円程度
  • 結果:パーセンタイルが30なら同年齢100人の集団で下から30番
  • 当日コンディションなどに左右されるため一度の受検で確定難


WISC-V 主要指標

略称 指標名 測定する能力
VCI 言語理解 語彙力・文法理解・情報処理
VSI 視空間 視覚情報の解釈・空間認識
FRI 流動性推理 抽象的思考・問題解決
WMI ワーキングメモリー 情報の一時保持・活用
PSI 処理速度 情報処理の速さ

(投稿者 川崎)

2026-05-30

フェリチン vs むずむず脚症候群

🔍 レストレスレッグス症候群(RLS)
  • 下肢の不快感で不眠をきたす睡眠関連運動障害
  • その有病率は欧米で7–10%,アジアでは1–4%程度
  • 病態には遺伝的・環境因子の相互作用が関与する
  • 末梢神経障害や片頭痛、Parkinson 病にも合併
  • 血清フェリチン値が50ug/L未満なら鉄剤の追加
  • 脳内鉄欠乏はドパミンやオピオイドなどの異常
  • 血清鉄やフェリチンはRLS 群と健常群に差なし
  • 髄液中は鉄とフェリチンはRLS 群で有意に低い
  • 髄液と血清のフェリチン値はRLSでは相関なし


- RLSの病態生理学的モデル案 -


(投稿者 川崎)

2026-05-14

今週の一枚 🎯

頭痛と嘔気で来院した高齢者の頭部MRI/MRV(T1強調/造影/脂肪抑制)

💀 解説
  • 上矢状静脈洞の背側部分から右横静脈洞にかけての血栓形成の疑い.上矢状静脈洞血栓症(Superior Sagittal Sinus (SSS) Thrombosis)と診断して抗凝固療法を開始(ヘパリン→ワルファリン).経時的に症状は改善した.なおプロテインSやプロテインC,抗リン脂質抗体など,明らかな血栓性素因はなかった.

👀 臨床現場
  • 当初,髄膜炎の可能性を考慮したため,CTで脳室拡大がないことを確認後に髄液検査を実施.性状は水様透明で,細胞数増多や蛋白上昇はありませんでしたが,初圧は著明に上昇(>35 cmH2O,圧棒の上端に到達).
  • 髄液を16 mlほど排液すると,終圧は11 cmH2Oまで低下しました.それに伴い頭痛も改善しました.特発性頭蓋内圧亢進などを念頭に入院で精査をすすめ,最終的な診断(上矢状静脈洞血栓症)に辿り着きました.

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(投稿者 林/川崎)

2026-05-06

ミトコンドリア・カクテル療法

  • ミトコ ンドリア異常に対するビタミンやCoQ、カルニチンのカクテル投与
  • エビデンスは確立されていないが、一部の症例では有用(副作用が少ない)
  • 例:けいれん重積型(二相性)急性脳症(AESD)に対し24時間以内の投与
  • ただしタウリン以外はミトコンドリア病や急性脳症としての保険適用なし
  • おまけ:MELASの発音は英語圏ではメラスよりもミーラスが主流(ココ)

- カクテル療法の実際 -

(投稿者 川崎)

2026-04-15

第123回日本内科学会講演会 医学生・研修医・選考委の内科学 ことはじめ2026より

😀 個人的に気になった演題

演題 19 機械学習モデルを用いたガットフレイル関連因子の解析
  • ガットフレイル(Gut Frailty)とは、胃腸(Gut)の機能が長期にわたって低下し、弱った(Frailty)状態を示す新たな概念です。便秘や下痢、胃もたれといった不調が慢性的に続くことで、将来的な老化の進行や、がん、糖尿病、認知症(アルツハイマー病)などの全身疾患のリスクを高める要因として注意が喚起されています。

演題 74 飛行機移動を契機に出現した左側大量難治性肝性胸水に対し、腹腔内色素注入による横隔膜交通症を証明し外科的閉鎖を行った一例
  • 横隔膜交通症とは腹腔と胸腔の間の横隔膜に小さな穴(瘻孔)ができ、腹腔内の液体(主に腹膜透析液)が胸腔へ漏れ出る病態。飛行機の離着陸時や急激な天候変化(低気圧)などによる急激な気圧変動を受けた際に、顕性化することがある。

演題 317 MAGIC症候群が疑われる気道病変に対する気道ステント留置症例
  • 再発性多発軟骨炎は、全身の軟骨組織に炎症が生じる疾患です。耳や鼻、目、関節など、軟骨やコラーゲンを豊富に含む組織に多彩な症状を引き起こします。本疾患がベーチェット病を合併した場合は、MAGIC症候群(Mouth And Genital ulcers with Inflamed Cartilage syndrome:炎症性軟骨を伴う口腔および陰部潰瘍)と呼ばれます。

演題 519 HBOC患者の多重癌にみられるBRCA2の2nd hitの多様性
  • HBOC(遺伝性乳がん卵巣がん症候群:Hereditary Breast and Ovarian Cancer syndrome)は、主にBRCA1またはBRCA2遺伝子に生まれつき存在する変異(病的バリアント)によって、乳がんや卵巣がん、前立腺がん、膵がんなどを発症しやすくなる体質を指します。遺伝性腫瘍の代表的な例であり、親から子へは約2分の1の確率で受け継がれる可能性があります。

😎 当院からの発表演題
  • 演題 157 感染を契機に重症の甲状腺機能低下症に至った一例(糖尿病・内分泌内科 太田羽奏先生)
  • 演題 388 Guillain-Barre症候群様の急激な末梢神経障害を呈しベンラリズマブが奏功した好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の1例(総合診療科 松村実穂先生)

😃 二人ともとてもいい発表でした(松村先生は優秀演題賞ゲット!)

💁 “学会”に関連する過去の投稿 ➜ コチラ(ウェブ版なら右欄からも選択可能)
(投稿者 川崎)

2026-03-31

可塑かそ性 Plasticity

可塑性は医学でもしばしば遭遇する用語です。以下に論文タイトルの例を挙げます。
  • 大林茂. 脳科学とリハビリテーション医学をつなぐ 「脳可塑性」 の探究. The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine 2025;62:589-95.
  • 林卓杜, 工藤崇, 高橋智. 宇宙環境がもたらす骨格筋可塑性への影響. Journal of Japanese Biochemical Society 2022;94:910-5.
  • 南敏明, 伊藤誠二. 痛みの可塑性. 生物物理 2001;41:15-9.
でも可塑性の意味を問われるとうまく説明できない気がしたので調べてみました。

  • 可塑性とは物体に強い外力を加えた際、元に戻らずに変形を維持する性質のこと(対義語は弾性、elasticity)
  • 医学では脳や神経の可塑性(損傷後に起こるネットワークの構造的,機能的な変化)で用いられることが多い
  • 神経学的な代償とは,脳の可塑的性質を利用して,発症以前とは異なる状態で機能を改善することを意味(下図)

(投稿者 川崎)