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2025-08-07

今週の一枚 🎯

労作時の息切れで来院した症例(座位)


🐝 解説
  • 右頚部腫瘍(30年著変なし)
  • 安静座位で頚静脈は視認せず
  • 深吸気負荷後も頚静脈は陰性
  • 心音は明瞭なギャロップあり
  • BNPは著増(>1000 pg/ml)
  • 心エコー図で左室駆出率18%

🐙 頚静脈の座位定性の弱点

身体所見は診断特異度は高いのですが,感度が少し劣るという共通した問題点があります(評価者のばらつきもですが😑).一方,頚静脈の座位定性(シンプル頚静脈)は感度も特異度も臨床的には十分すぎるくらい高いと思われます.ただし特定の病態では役立たないと感じることもあるので,以下に列記してみます.

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2025-08-06

マイオカイン Myokines

  • 骨格筋から分泌される生理活性物質の総称のこと
  • ギリシャ語 myo(筋)とkine(作動物質)の造語
  • 例えばサイトカインの1つ interleukin-6(IL-6)
  • IL-6は筋収縮で分泌され骨格筋の糖取り込み促進
  • 他のマイオカインは生理作用が不明なものが多い
  • 脂肪燃焼や動脈硬化抑制,代謝改善,免疫向上?
  • 創薬の新たなターゲット候補でも期待されている

- マイオカインの概念 -
バソプレッシン
💁 生理活性物質に関する過去の投稿 ➜ コチラ
 
(投稿者 川崎)

2025-08-05

👂 最近の耳学問

  • P2Y12受容体拮抗薬(阻害薬)➜ ADP(アデノシン二リン酸)の受容体であるP2Y12受容体を阻害することで抗血小板作用を示す薬剤(チエノピリジン系:第1世代,チクロピジン;第2世代,クロピドグレル;第3世代:プラスグレル/非チエノピリジン系,チカグレロル)
  • 対側性変化(reciprocal changes)➜ 急性心筋梗塞例の心電図でST上昇を示す誘導と鏡像関係にある誘導のST低下に対する用語として統一された(ミラーイメージは使用しない).同様に心臓周囲の用語も心膜に統一(心膜液貯留や心膜ドレナージなど/今後は心嚢は使用しない)
  • rVCSS ➜ Revised Venous Clinical Severity Scoreの略で,邦名は改訂静脈臨床重症度スコア.静脈不全を反映し,例えばrVCSS≧3点では日常生活が著しく妨げられると判断でき静脈ステントを考慮(適正使用指針).具体的な評価方法はココ
  • three noes IE ➜ 右心系単独の感染性心内膜炎(IE: infective endocarditis)のうち①静注薬物使用者,②心臓デバイス関連,③先天性心疾患(心室中隔欠損症,ファロー四徴症,僧帽弁弁膜症,大動脈弁弁膜症など)のいずれも認めない症例で,右心系IEの約16%を占めるという報告あり

💁 耳学問に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2025-08-04

フィジカルクイズ(No. 15 & 16)

  • 循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.
  • 2025年4月から毎週金曜日に循環器に関するフィジカルクイズを2題ずつX(旧Twitter)で発信しているので,よろしければフォローしてみてください(@PhysicalExamin1).こちらにも2週分ずつまとめてアップします.



👻「フィジカルクイズ」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2025-08-03

PCAS ピーキャス

  • post cardiac arrest syndromeの略で邦名は心停止後症候群

- 脳障害の病態生理 -

😐 おまけ
  • PCASといえば体温管理療法(targeted temperature management;TTM)(旧名はtherapeutic hypothermia,低体温療法)
  •  PCASのもう一つの話題は人工心肺を用いたECPR(Extracorporeal Cardiopulmonary Resuscitation,体外循環式心肺蘇生)

🚑 蘇生に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2025-08-02

着用型心臓除細動器(WCD: wearable cardioverter-defibrillator)

  • 着用型ベスト内に接触型心電図電極と除細動パッドを有し有線で致死的不整脈に対して除細動を行う医療機器
  • 体表面から行うがICD(植え込み型除細動器)に劣らぬ診断感度,特異度でわが国でも2014年1月から保険適用
  • 使用例は急性虚血ならびに急性心不全のICD の一次予防の適応が確定するまでの期間,突然死予防を目的など
  • 非虚血性心筋症の報告は限定的:心筋炎後心筋症,たこつぼ心筋症,産褥後心筋症,拡張型心筋症の急性期など
  • 心移植待機例,ICD適応であるが感染でデバイス抜去後や他疾患の治療を優先すべき症例などにおいても要考慮
  • わが国ではWCDの使用は短期(3ヵ月間)が原則としているが,長期使用については,今後も検討が必要である



📍 WCDの使用を考慮する病態
  • 左室駆出率35%以下で、NYHAクラス II もしくはクラス III の心不全症状を有する急性心筋梗塞発症後40日以内の症例
  • 左室駆出率35%以下で、NYHA クラス II もしくはクラス III の心不全症状を有する冠動脈バイパス後または経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後 90 日以内の症例
  • 左室駆出率35%以下で、非虚血性急性心不全発症後90日以内の症例
  • 心移植待機条件を満たす非可逆性重症心不全症例
  • ICDの適応があるが、他の身体的状況により直ちに手術を行えない症例
  • ICDによる心臓突然死二次予防を考慮するが、臨床経過観察や予防治療の効果判定が優先される症例
  • 感染等の理由で一時的にICDを抜去する症例


🔦 おまけ
  • WCDの保険償還には植込み型除細動器(ICD)施設基準を満たす必要あり
  • つまり年に電気生理学的検査≧50例,開心術など≧30例,PM移植術≧10例
  • 関連医療従事者(医師およびメディカルスタッフ)がメーカー研修を受講
 
(投稿者 川崎)

2025-08-01

The efficacy and effectiveness of...

  • 英語論文で多用されているフレーズで,基本的には共に有効性を意味
  • しかし医学など科学の特定の分野では,そのニュアンスは少し異なる

efficacy
  • 理想的な条件下で得られる効果の高さ(例:計画された臨床試験

effectiveness
  • 現実的な条件下で得られる効果の程度(例:実際の日常臨床現場)

💁 おまけ

(投稿者 川崎)