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ラベル アレルギー の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
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2025-07-30

ポジコン・ネガコン

科学研究において結果を検証するための比較対象を設定した対照実験(control experiment)で用いる2種類の対照(コントロール)のこと

👉 陽性対照(ポジティブコントロール、Positive Control: PC)
  • 明らかに陽性を示すと予想される対照.この陽性対照(ポジコン)に反応が認められない場合,実験系に問題がある可能性が高く結果の信頼性が損なわれる(偽陰性).例えばアレルゲンであることが分かっている症例に対するピーナッツや牛乳

👈 陰性対照(ネガティブコントロール、Negative Control: NC)
  • 明らかに陰性を示すと予想される対照.この陰性対照(ネガコン)が陰性となることで実験系が正しく機能していることを確認できる(偽陽性を排除).例えばアレルギー反応を引き起こさないことが確認されている生理食塩水や偽薬

(投稿者 川崎)

2025-05-16

🏆 論文

  • 当院初期研修医の角本先生が循環器内科で経験した症例が出版されました🎉
  • 狭心症に対するPCIでステント留置40分後に前胸部の皮疹と咽頭部の違和感
  • 本例の様々なものに対するアレルギー歴を考慮し速やかにアドレナリン筋注
  • アレルギー症状は改善したがその約50分後に留置したステント内が血栓閉塞
  • バルーンの拡張を繰り返して最終的には改善(その後の経過でHITは否定的)
  • 銀アレルギーの既往が判明 ➜ ステント金属に対する3型Kounis症候群の疑い

🙈 補足
  • Kounis症候群は,アレルギー反応に伴う急性冠動脈イベントを特徴とする稀な病態です.当初はヒスタミン誘発性冠動脈攣縮として報告されましたが,その後にプラーク破裂や血栓症を引き起こすことが分かりました.
  • コーニス症候群は現在では,プラークのびらんや破裂を伴わない冠攣縮タイプ(I型),プラークのびらんや破裂を伴う冠攣縮タイプ(II型),ステント血栓症を生じたタイプ(III型)の3つの型に分類されています.
  • 本例にはほこりや花粉,猫などさまざまなアレルギーがありましたが,金属アレルギーは共有されていませんでした.もっとも患者さん自身も我々の問診でようやく思い出した程度の軽いもの(銀アクセサリーで発赤)

👉「論文」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2025-01-21

👂 最近の耳学問

  • アレルゲンは皮膚から吸収されると感作されるが(経皮感作),口から吸収されると寛容になることが多い(経口免疫寛容
  • 茶のしずく石鹸:石鹸に含まれる加水分解小麦が皮膚から吸収され小麦アレルギーを発症(2005~2010年に重傷者>50名)
  • Electrical stormの定義は24時間以内に3回以上の心室細動(VF)あるいは血行動態的に不安定な心室頻拍(VT)の出現
  • 1 kmの歩行で1 kgあたり約1 kcalの消費.例:体重が60 kgなら脂肪1 kg減(7200 kcal)には120 kmも歩く必要がある
  • 心室中隔欠損(VSD)は重症なら雑音量は小さい(大欠損で肺血管抵抗が高くなると雑音は逆流性から駆出性で短くなる)
  • 接遇の基本はNHK:N=ニコニコ,H=ハキハキ,K=キビキビ(接客の基本動作でオフィスの常識になっているようです)
  • 大阪府医師会のイメージキャラクター「らっふぃー」誕生.関西弁を話すラッコで鼻は(大阪)イチョウで右手に石(医師)貝
  • AHCL(Advanced Hybrid Closed Loop)はインスリンポンプと連動した持続血糖モニターを用いて血糖管理するテクノロジー

💁 耳学問に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2025-01-18

アルファガル症候群 α-Gal syndrome

  • 概略 galactose-α-1,3-galactose(α-Gal)に対する特異的IgE抗体による反応
  • 感作 マダニ咬傷を介して糖鎖α-Galに経皮的な感作(α-Gal特異的IgEの産生)
  • 発症 α-Galを含む獣肉(哺乳類)で遅発性アレルギー(別名は肉アレルギー)
  • 追加 カレイの魚卵や抗がん剤のセツキシマブでも発症(鶏肉は問題ない)
  • 対策 マダニ回避(ペットや家畜を避ける)で経時的に改善することが多い


α-Gal症候群のイメージ

🍖 おまけ
  • α-Gal症候群は血液型がB型やAB型の人では少ないようです.同血液型ではガラクトース抗原が存在するため,α-Galに対するアレルギー反応が起きにくいようです.
  • 同様の理由で,表面にα-Galを持つマラリアや結核の発生率は流行地のB型頻度と正の相関関係があり,α-Galを持たない病原体のデング熱では無関係だそうです.


💁 に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2024-12-14

アレルギーマーチ The allergy march

  • アレルギーの行進という意味で,親から遺伝によってアレルギーになりやすい体質を受け継いだ子どもが,乳幼児期にまずアトピー性皮膚炎や湿疹を起こし,年齢と共に気管支喘息やアレルギー性鼻炎にもなるなど,次から次へとアレルギーが症状を変えて進展していく様子を行進にたとえて呼んだもの. 


アレルギーマーチ
アレルギー 2017;66:190-203/Allegy & Clinical Immunology News 1989;1:71-31)

👉 アレルギーに関するの過去の投稿は コチラ(PC版なら右下欄から選択可能)

(投稿者 川崎)

2024-09-15

Type 2 inflammation 2型炎症

  • 免疫応答の一つでIL-4,IL-5,IL-13などのサイトカインが中心的役割を示す
  • アトピーなどアレルギー性疾患の症例では2型炎症が病態形成の主たる反応
  • 2型炎症性疾患を1つ患っている人は他の2型炎症性疾患の可能性が上昇する

🐣 深掘り
  • IFNγなどの細胞性免疫に関わるサイトカインを産生するサブセットは1型ヘルパー (Th1) 細胞
  • IL-4 などの液性免疫に関与するサイトカインを産生するサブセットは2型ヘルパーT (Th2) 細胞
  • 慢性炎症性疾患はしばしばTh1/Th2バランス破綻に基づいて理解され2型炎症はTh2に偏倚する
  • (Th1中心の反応はType 1 inflammation [1型炎症] になると思われるがこのような表現は稀?)

💁 炎症に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2024-03-05

アスピリン喘息:AIA→AERD→N-ERD

  • 従来はAIA(aspirin-induced asthma)であったが近年はAERD(aspirin-exacerbated respiratory disease)と呼ばれるようになってきた.その本体はプロスタグランディン(PG) 合成酵素であるシクロオキシゲナーゼ(COX)-1阻害作用をもつNSAIDsにより,気道狭窄症状(鼻閉,喘息など)を呈する非アレルギー性の過敏症(不耐症)である.よって最近ではN-ERD(NSAIDs-exacerbated respiratory disease)という用語が提唱されている.これはNSAIDs不耐症の気道型で,他のNSAIDs不耐症は皮膚型(急性および慢性蕁麻疹や血管浮腫)や混合型(気道型+皮膚型)である.
  • AERDの誘発閾値は常用量の1/5以下のため,少量でも十分な注意を要する.過敏症状は,NSAIDsの注射薬,坐薬,内服薬の順に出現が早く重篤である.貼付薬,塗布薬,点眼薬も禁忌と考える(下の表2を参照).また添加物(とくにパラベンや亜硫酸塩)を含有した医薬品(吸入薬や液体薬)の急速投与やミント摂取練り歯磨きにより,とくに重症不安定例では過敏反応が生じる場合がある.正確な機序は不明であるが,添加物やミントが,NSAIDsと構造式上類似しており,弱いCOX-1作用を有していると推定する専門家も多い.





💁 アスピリンに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2023-11-14

好酸球増加症の原因:CHINA

  1. Connective tissue disorders ➜ 結合組織病
  2. Helminth infections ➜ 蠕虫感染症
  3. Idiopathic ➜ 特発性
  4. Neoplasms(CML, Hodgkins) ➜ 新生物(慢性骨髄性白血病、ホジキン病)
  5. Allergies ➜ アレルギー

NAACP(エヌ・エー・エー・シー・ピー or エヌ・ダブルエー・シー・ピー)という語呂合わせもあり(ただしNational Association for the Advancement of Colored People/全米有色人種地位向上協議会の方が有名)
  1. Neoplasia (CML, Hodgkins lymphoma) 
  2. Allergy, Atopy
  3. Athma, Addison's (Hypoadrenalism) 
  4. Churg-Strauss / Connective tissue disorders
  5. Parasite infections

💁 語呂合わせ(mnemonics)に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2023-10-27

Multiple Drug Intolerance Syndrome(邦名は多剤不耐症候群?)

  • 先日,抗生剤など様々な薬剤に新たなアレルギーを示すようになった方を経験しました.決してアレルギー体質の患者さんではなくて,それまでに同じ抗菌薬などの複数回投与も問題ありませんでした.主治医の先生にMultiple drug intolerance syndromeという病態があることを教えてもらいました.

💣 MDIS: Multiple Drug Intolerance Syndrome
  • 概略:化学的,薬理学的,免疫原的に無関係な少なくとも3つの薬物に対する副作用を示す状態
  • 類似:multiple drug hypersensitive syndromeやmultiple drug allergic syndromeは通常2剤以上
  • 疫学:米国の統合医療システム患者の6.4%で,女性に多く(特に白人),年齢の中央値は57歳
  • 症状:発疹や皮膚炎,蕁麻疹,掻痒感,血管浮腫,息切れ,アナフィラキシー,鼻炎(頻度順)
  • 併存:慢性蕁麻疹/血管浮腫(OR 2.61),自己免疫疾患(OR 1.66),悪性腫瘍,不安/うつ病他
  • 薬剤:抗生剤(ペニシリン他),アヘン,スルホンアミド,NSAID,造影剤,ACEi,スタチンなど


💁 アレルギーに関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら右欄からも選択可能)

(投稿者 川崎)

2023-10-22

ラテックス・フルーツ症候群 Latex-fruit syndrome

  • 背景:天然ゴムであるラテックス(latex)に対するIgE依存性即時型アレルギー反応のこと
  • 製品:医療(手袋,歯科用ラバー,カテーテル他)や日用品(風船,家庭用手袋,玩具など)
  • 経路:手袋から溶出して皮膚から侵入や手袋パウダー(ラテックス吸着)の飛散を吸入など
  • 検査:抗原特異的IgE検査(特にHev b 6.02特異的IgE),皮膚テスト,負荷(装着)試験など
  • 合併:ラテックスアレルギーの30~50%がバナナ,アボガド,クリ,キウイなどにもアレルギー
  • 初報:ラテックス―フルーツ症候群はスペインのBlancoらが報告(Ann Allergy 1994;73:309-14
  • 原因:天然ゴム ラテックスのアレルゲン蛋白質とフルーツのアレルゲンが交差反応するため
  • 症状:フルーツを摂取した直後からの口腔咽頭粘膜の違和感や痒み(口腔アレルギー症候群)
  • 注意:ハイリスクは医療従事者,二分脊椎症(頻回の手術と医療用具使用),アトピー素因


💣 アレルギー に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PCなら右欄から選択可)

(投稿者 川崎)

2023-09-30

薬剤性腎障害 Drug-induced renal injury

📗 分類
  1. 直接型 ➜ 用量依存性に発症頻度が増加
  2. 過敏型 ➜ 用量非依存性でアレルギー機序が関与
  3. その他 ➜ 免疫学的機序を介した糸球体障害(微小変化型、膜性腎症)、腎血流低下、血管障害、閉塞性腎症など

📘 機序
  • 尿細管障害(急性尿細管壊死)➜ アミノグリコシド系、セファロスポリンなど
  • アレルギー機序(急性間質性腎炎)➜ メチシリン、NSAIDs、ST合剤など
  • 腎血流障害 ➜ NSAIDs、ACE阻害薬、造影剤、シクロスポリンなど
  • 血管障害 ➜ シクロスポリン、溶血性尿毒症症候群など
  • 尿細管閉塞 ➜ メトトレキセート、サルファ剤、化学療法時の高尿酸血症など
  • 尿細管機能異常 ➜ Fanconi症候群、尿細管性アシドーシス、リチウムなど
  • 免疫機序 ➜ 微少変化型ネフローゼ症候群、膜性腎症、血管炎など


🐾 豆知識
  • アレルギー機序が関与した薬剤性腎障害(急性間質性腎炎)では尿中の好酸球が増加

👤 実例Sysmex Journal Web 2020;21:46-52
  • 54才女性が1週間前から続く39度の発熱を主訴に入院した.前医で解熱鎮痛薬アセトアミ ノフェンと抗菌薬クラリスロマイシンとガレノキサシンが投与されていた. 
  • 尿細胞診は入院日の検査で好酸球増多はなかったが第2病日に14%に増加した.腹部エコーとCT検査で両腎に腫大を認めガリウムシンチグラフィで両側腎に集積を示した.
  • 腎生検所見では糸球体には異常なく,間質全体に高度の細胞浸潤があり好酸球も散在していた.薬剤性間質性腎炎と診断した.
  • Crは2.44 mg/dL まで上昇したが,上記薬物の中止とプレドニソロン30 mgの内服で,2月後に正常化した.ちなみに3剤のLST(リンパ球刺激試験)はいずれも陰性.

💁 尿検査に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2023-08-08

アナフィラキシー:検査所見

  • アナフィラキシーは迅速治療を行うために発症時診断は臨床診断基準に基づいて行う
  • ただし確定診断の補助として血漿トリプターゼあるいはヒスタミン増加の確認は有用
  • トリプターゼは肥満細胞内に存在しアレルゲンとIgE受容体の架橋形成で細胞外放出
  • いずれも発症直後と基準となる発症前あるいは回復後の2時点での測定が必要である

👺 実際の解釈
  • トリプターゼは発症後15分から3時間の採取血液で,基準値から141%以上,あるいは絶対値として15—25μg/ml 以上の増加であれば免疫グロブリンIgE介在性アナフィラキシーの可能性が高い。基準値は発症前か発症後2時間以降の値とする。ただし,トリプターゼは心筋梗塞,外傷,窒息状態でも増加する。また,小児や低血圧がない場合はトリプターゼが正常値であることが多い。
  • 血漿ヒスタミンは,発症後15—30分で基準値に戻るので,血液検査で増加をとらえるには発症から5—10分以内の採血が必要である。しかし,ヒスタミンの代謝産物であるN-メチルヒスタミンは,発症後30—60分で尿中に排出され,数時間は検出が可能である


💁 アナフィラキシーに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2023-06-11

Melkersson-Rosenthal syndrome メルカーソン・ローゼンタール症候群

  • 若者に好発する反復性の口唇腫脹,皺襞舌,顔面神経麻痺が3徴の病態
  • 1928年にスウェーデ ンの神経内科医 Melkerssonl が症例を報告(
  • 1931年 に ドイツの神経内科医 Rosentha が皺壁舌の合併を報告(
  • 原因不明(歯科金属のアレルギー,感染,免疫不全,遺伝的要因?)
  • 治療は対症療法(抗ヒスタミン薬,ステロイド内服や局所注射など)


メルカーソン・ローゼンタール症候群の19歳患者

 5年間に4回繰り返したMelkersson-Rosenthal症候群の8歳児

👅 舌に関する投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2023-01-10

Yao syndrome ヤオ症候群

  • 反復性の発熱・発疹,関節炎,四肢遠位部の腫脹,胃腸症状,乾燥様症状を生じる
  • 一見,家族性地中海熱(FMF)に類似した病態で,旧名はNOD2関連自己炎症性疾患
  • 米国のリウマチ科医であるQingping Yaoらが提唱(Arthritis Res Ther 2011;13:R148
  • 原因は自然免疫応答に重要なパターン認識受容体をコードしているNOD2遺伝子変異
  • 20〜50歳に多く(平均40.7歳),女性と男性の比率は2:1(白人での報告例が多い)
  • 治療はグルココルチコイド,ダプソン,コルヒチン,スルファサラジン,カナキヌマブ


 実際の症例  27歳の白人男性が、発熱と特に体幹に顕著な圧痛を伴う紅斑性皮疹を繰り返し発症し皮膚科を受診した。発疹は心理的ストレスが引き金となり、インフルエンザ様症状、微熱、咽頭痛、関節痛が前駆症状であったと報告されている。これらのエピソードの間、彼は断続的な下痢と激しい頭痛を経験した。時間の経過とともに再燃は重症化し、患者はエピソードの間、寝たきりになった。症状は3〜7日間持続した後、自然に治り、3週間ごとに再発した。

(投稿者 川崎)

2021-11-16

🍛 カレーアレルギー

カンファレンスの一コマ 💨
  • 研修医 「本例の主訴は ”カレーを食べると必ず吐く” です」
  • 指導医 「カレー?そのカレーが古くなってたんじゃないの」
  • 研修医 「外食や自炊,ルーにかかわらず常に吐くそうです」
  • 指導医 「カレーアレルギー?そんなん聞いたことないけど」

カレー粉の成分
  1. 辛味 ➜ カイエンペッパー,コショウ,チリーペッパー,ニンニクほか
  2. 芳香 ➜ クミン,コリアンダー,シナモン,ナツメグ,カルダモンなど
  3. 色調 ➜ ターメリック(鬱金またはウコン),サフラン,パプリカほか

😎 松下なんでも調査隊
  • カレーに含まれる食材(甲殻類やピーナッツなど)アレルギーは散見されます.スパイス自体に対するアレルギーの報告もあるようですが,スパイスの塊であるカレー粉(curry powder)に対するアレルギーは不思議と目にしません(でした).
  • しかしカレー粉はヨモギ花粉(mugwort pollens)と交差反応性を示すため,実は隠れたアレルゲンだそうです().実際に "Allergy to curry: case report" というタイトルの論文も見つけました(Allergol Immunopathol 2011;39:383-5).

💁 アレルギーに関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら右欄からも選択可能です)

(投稿者 川崎)

2021-05-18

🌱 ケンシュウイの種 #1

※当院の初期研修医が経験した症例の振り返りです(隔週更新)


💁 過去のケンシュウイの種は コチラ(PC版なら右欄からも選択可能です)

(投稿者 当院初期研修医チーム)

2020-12-28

🏆 論文

  • 当院の初期研修医の渡邊先生と宮本先生の2論文が出版されました
  • 掲載誌はいずれも米国救急医学アカデミーの公式ジャーナルです
  • 救急現場でドタバタ慌てた症例ですがうまくまとめて頂けました
  • 多忙な臨床ですがこれからも一例一例を大切にしていって下さい



コーニス 症候群 Kounis
👿「論文」の過去の投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2020-12-11

好塩基球 Basophil 🌚 地味ながら頑張っています!

  • 末梢血白血球の0.5%と少なく寿命も1~3日と極端に短いため,あまり研究されてこなかった
  • マスト細胞との共通点が多く,そのバックアップ的存在と考えられていた(現在は概ね否定)
  • 実は慢性・即時性アレルギーや寄生虫感染に重要な役割を担うTh2型反応の中心細胞であった
  • Th2細胞はヘルパーT細胞の亜群で,サイトカインの放出により液性免疫応答の活性化を行う


😈 アナフィラキシー ➜ マスト細胞+IgE(古典的経路)or 好塩基球+IgG(新規経路

(投稿者 川崎)

2020-07-01

レッドマン症候群(Red man/neck syndrome)

👹 要約
  • バンコマイシンの投与時に生じる2つの過敏反応のひとつ(もう一つの形態はアナフィラキシー)
  • 掻痒感や灼熱感を伴う紅斑が顔〜頚〜体幹に出現する(稀に低血圧や血管浮腫を伴うこともある)
  • バンコマイシンの初回投与で点滴開始後4-10分後に多い(90-120分後でも生じ得る/最長は7日〜)
  • 機序はバンコマイシンが肥満細胞を刺激し多量のヒスタミンが放出されるためと推察されている
  • 1時間以内の静脈投与で5-13%に発生/経口投与でも発症例あり(Am J Med Case Rep 2019;7:16-7
  • 発症時はバンコマイシンの中止と抗ヒスタミン薬(H1+H2受容体拮抗薬)の投与で概ね改善する


👻 バンコマイシン添付文書(点滴静注用0.5g「トーワ」より抜粋)

【用法・用量に関連する使用上の注意】
急速なワンショット静注又は短時間での点滴静注を行うとヒスタミンが遊離されてred neck(red man)症候群(顔、頸、躯幹の紅斑性充血、そう痒等)、血圧低下等の副作用が発現することがあるので、60分以上かけて点滴静注すること。

🉐 関連投稿(バンコマイシン編)

(投稿者 川崎)

2020-05-16

トロサ・ハント症候群 Tolosa–Hunt syndrome

  • 外眼筋麻痺を伴う眼窩部痛(数週間続く反復性)を特徴とする病態で,本体は海綿静脈洞の非特異的炎症性肉芽腫(肉芽腫の原因は不明/アレルギー?)
  • 病名の由来はスペインの脳外科医 Tolosa(J Neurol Neurosurg Psychiatry 1954;17:300-2)と米国の脳外科医 Hunt(Neurology 1961;11:56-62 )による
  • 麻痺が痛みの出現と同時あるいは2週間以内に出現し,痛みと麻痺はステロイド治療後72時間以内に改善(ただし自然寛解および改善後の再発あり)
  • 鑑別疾患には腫瘍(髄膜腫やリンパ腫など),サルコイドーシス,糖尿病眼筋麻痺(画像が鑑別に有用),梅毒,内頸動脈瘤,膠原病などがある
参考)糖尿病 2010;53:402-5 ほか
(投稿者 川崎)