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ラベル 歯科 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
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2025-09-07

Wickham's Striae ウィッカム線条

  • 扁平苔癬の病変の表面に認める白い線条あるいはドット
  • 典型的には口腔粘膜に出現し,顕微鏡的では過顆粒症
  • 仏の医師 Louis Frédéric Wickham (1861–1913) が初報(

- Wickham線条を伴う口唇炎 -
(a)網状線条,(b)放射状線条,(c)年輪状線条,(d)複数の青灰色の点(矢印)
(投稿者 川崎)

2025-08-22

口腔扁平苔癬 OLP:Oral Lichen Planus

  • 概略 口腔粘膜に網状や斑状の白色病変と軽度角化異常を伴う慢性炎症性病変
  • 症状 びらんや潰瘍を伴う紅斑性病変を生じると不快症状や接触痛などが起こる
  • 鑑別 口腔粘膜の病変(特に白板症や初期口腔癌、他のびらん性疾患は必須)
  • 疫学 一般人口の 1.27%(男0.96%、女1.57%) で人種差や地域差はない
  • 治療 通常は難治性で長期間を要する(ステロイド剤の局所療法など:下図)
  • 病因 不明:発症誘因や増悪因子が想定できる症例では取り除くと改善あり


- 口腔扁平苔癬(OLP)の臨床像 -

(投稿者 川崎)

2025-07-16

呑気症 Aerophagia

  • 概略 過剰な空気の嚥下で消化管内に多量の空気が貯留
  • 分類 器質的な異常がない機能的疾患で消化器系心身症
  • 症状 頻回のげっぷや腹部の膨満感,排ガスの異常など
  • 別名 呑気症候群,空気嚥下症,噛みしめ呑気症候群他
  • 動体 胃や大腸に存在するガスの65~70%は嚥下による
  • 原因 早食,炭酸,クレンチング(噛みしめ),ストレス
  • 治療 関連因子除去,抗うつ薬,消泡薬,歯科調整など


- 呑気症の年齢性別と自覚症状 -

(投稿者 川崎)

2024-12-27

Ehlers–Danlos syndrome エーラス・ダンロス症候群

エーラスダンロス症候群に関する論文が先日,出版されました(Med Genet 2024 Dec 3;36:225-234).図鑑のような体裁で臨床医にはとても分かりやすいと感じました.本ページでも取り上げておきます(全文がネットで読めます)

💚 抄録訳
  • 単一遺伝子性エーラスダンロス症候群(EDS)は、関節過可動性、皮膚過伸展性および/または脆弱性、および全身組織脆弱性を臨床的に特徴とする遺伝性結合組織疾患のグループです。現在、単一遺伝子性EDSタイプの診断を確定するためのゴールドスタンダードは、大規模並列シーケンシングによる遺伝子パネル検査です。遺伝子検査の可能性は大きく進歩しているものの、病歴、家族歴、身体検査を含む徹底した臨床評価が診断プロセスにおいて依然として重要であるため、私たちは、単一遺伝子性EDSタイプの臨床的特徴(の組み合わせ)をテキストと写真で報告し、臨床診断に役立てることを目指しています。さらに、分子診断が不可能な場合でも、臨床診断によって管理と監視を導くことができます。



- 骨格筋の特徴 -



- 皮膚の特徴 -



- その他の臨床的特徴 -

💙 命名までの遍歴
  • エーラス・ダンロス症候群という名称は,オランダの皮膚科医 Edvard Laurits Ehlers (1863-1937) とフランスの皮膚科医 Henri-Alexandre Danlos (1844-1912) に由来しています.しかしヒポクラテスは紀元前400年にこの疾患の特徴に言及し,van Meek'ren が1682年に医学的記述を残しています.1892年には Tschernogubow が発表していますが,ロシア語だったためか西ヨーロッパではほとんど見過ごされたようです.そして1901年と1908年にそれぞれ影響を受けた患者を記述した Ehlers と Danlos にちなんで,1936年に Weber がこの疾患を Ehlers–Danlos syndrome(EDS)と命名したようです.


心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

👉 エーラス・ダンロス症候群に関するの過去の投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2024-08-11

低ホスファターゼ症 Hypophosphatasia (HPP)

  • 概要 血清アルカリホスファターゼ(ALP)値の低下を特徴とする骨系統疾患
  • 原因 組織非特異型アルカリホスファターゼ(TNSALP)の欠損または活性低下
  • 症状 くる病様変化,骨変形,四肢短縮,高Ca血症、乳歯の早期喪失(下図)他
  • 診断 主症状1つ以上と血清ALP値低値があれば遺伝子検査で病原性変異を確認
  • 疫学 本邦では100人未満?(ただし成人型など軽症型での未診断例が多い?)
  • 治療 重症例に対してアルカリホスファターゼ酵素補充薬やビタミンB6の投与
  • 予後 成人型などの軽症型は良好,酵素補充療法なければ重症型は不良(下表)



5歳4か月保隙装置および口腔内写真

(投稿者 川崎)

2023-07-08

Geographic tongue 地図状舌

  • 概略 原因不明の口腔内の良性慢性再発性炎症性疾患
  • 初報 1831年に Rayer が移動する舌の発赤として報告
  • 経過 病変が数日~週間持続し消失,別の場所に出現
  • 部位 通常舌側面と背面(唇や頬粘膜,口腔底もあり)
  • 疫学 小児期に発症(約1%~2.5%)で最多は20歳代
  • 電顕 紅斑部下の状乳頭の消失+舌白部下の壊死細胞
  • 症状 無症状~灼熱感,味覚障害,熱や酸の過敏など
  • 治療 無症状なら通常不要(口腔衛生かつ刺激物回避)
  • 鑑別 紅板症,扁平苔癬,カンジダ症,口内炎,白板 


 37歳女性の地理的舌(灼熱感は6ヵ月後に消失)

👅 に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2023-06-11

Melkersson-Rosenthal syndrome メルカーソン・ローゼンタール症候群

  • 若者に好発する反復性の口唇腫脹,皺襞舌,顔面神経麻痺が3徴の病態
  • 1928年にスウェーデ ンの神経内科医 Melkerssonl が症例を報告(
  • 1931年 に ドイツの神経内科医 Rosentha が皺壁舌の合併を報告(
  • 原因不明(歯科金属のアレルギー,感染,免疫不全,遺伝的要因?)
  • 治療は対症療法(抗ヒスタミン薬,ステロイド内服や局所注射など)


メルカーソン・ローゼンタール症候群の19歳患者

 5年間に4回繰り返したMelkersson-Rosenthal症候群の8歳児

👅 舌に関する投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2022-01-08

バートンの線 Burton’s Line

  • 鉛中毒(lead poisoning)で出現することがある歯根〜歯茎の青紫線
  • 機序は口腔内細菌が放出する硫黄イオンと鉛が反応して生じる硫化鉛
  • 由来は英国の医師 Burton による初報(Med Chir Trans 1840;23:63–79)



👾 なんでも調査隊
  • バートンの線(Burton's Line)の報告は今から180年以上前で,日本は江戸時代後期(天保11年)で徳川家慶の頃です.しかしこの身体所見は画像診断が発達した現代でも,臨床的に有用です.鉛中毒の症状が非特異的(3大症状:胃腸症状・筋骨格症状・神経症状)であるためです.
  • 鉛中毒自体の歴史は古く,紀元前2世紀のギリシャの生物学者・医師である Nicander の報告まで遡るようです.彼は鉛中毒が腹痛や麻痺の原因になることをすでに報告しています(引用).ベートベンの聴力障害はワインに関連した鉛中毒説もあります(Laryngoscope 2013;123:2854-8

💁 に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2020-11-05

🎯 今週の一枚

発熱のため当院を受診した症例



(投稿者 川崎)

2020-09-09

三叉神経痛 Trigeminal neuralgia

💢 要約
  • 概略 三叉神経支配領域の神経障害性疼痛(初診は主に歯科・口腔外科)
  • 性状 発作的な激痛+持続なし(せいぜい数十秒)+片側の領域に限局
  • 誘因 洗顔や食事,会話,歯磨,化粧,ひげそり,鼻をかむ,冷水ほか
  • 鑑別 帯状疱疹後神経痛,歯髄炎,脳腫瘍,舌咽神経痛,群発頭痛など
  • 疫学 48例の後ろ向きの検討では平均年齢68歳(29-90歳)で女性が77%
  • 原因 頭蓋内三叉神経の脱髄で触覚と疼痛を伝達する神経線維が短絡?
  • 治療 薬物(テグレトール他),神経ブロック, ガンマナイフ,手術他


手術の有効性:短期90%,長期70~80%,再発10~20%

👤 おまけ
  • 頭痛は一次性頭痛(片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛)と二次性頭痛(外傷性・くも膜下出血・脳腫瘍・薬剤性・髄膜炎・高血圧性・顎関節症・身体化障害など)に分類されるが,国際頭痛分類には,三つ目の「有痛性脳神経ニューロパチー、他の顔面痛およびその他の頭痛」があり,三叉神経痛はココに分類されている.

(投稿者 川崎)

2018-11-08

鵞口瘡(がこうそう)

真菌(主にカンジダ・アルビカンス)による口腔カンジダ症(oral candidiasis)


  • 原因 唾液分泌低下,糖尿病,抗生物質・ステロイド吸入,免疫低下,口腔内不衛生,義歯装着など
  • 症状 無症状(口腔内の色調変化),口腔粘膜の違和感~灼熱感,味覚障害,嚥下障害など
  • 治療 原因の除去・治療+口腔内清掃・抗真菌薬を含むうがい薬・抗真菌薬の内服など

👶 おまけ ほとんどの新生児(出生から出生後28日未満)でも生理反応として生じるよ

(投稿者 川崎)

2018-10-31

画像クイズ(転倒後)





(投稿者 川崎)

2018-05-06

国試の表紙にある例題4

【問題4】平成26年医師・歯科医師・薬剤師調査で人口10万人当たりの医師数が最も少ないのはどれか。











判定

(投稿者 川崎)

2017-06-13

Poor oral hygiene 口腔内不衛生

口腔ケアが誤嚥性肺炎の発症を減らし予後を改善することは系統的レビューで示されている
Oral health care and aspiration pneumonia in frail older people: a systematic literature review. Gerodontology. 2013;30:3-9

口腔ケアはセルフケアが基本であるが状況に応じて介護者や専門家による介入も必要

(投稿者 川崎)

2017-04-28

健診 vs 検診

健診 (健康診断あるいは健康診査の略)
危険因子の存在を早期に把握するため = 対象は健常者 ⇒ 一次予防
(例:学校健診,職場健診,乳児健診,基本健診)

検診
特定の疾患を早期発見するため = 対象は危険因子の保有者 ⇒ 二次予防
(例:乳癌検診,大腸癌検診,肺癌検診,歯科検診)

おまけ メタボは健診が正解,ドックはどちらも可(内容により異なる)

(投稿者 川崎)