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2025-05-20

心不全のステージE(Stage E)

  • 心原性ショック分類に関するSCAI臨床専門家の合意声明で採用されている5分類の一つ(米国心臓病学会 ACC、米国心臓協会 AHA、集中治療医学会 SCCM、および胸部外科学会 STSによって承認)。
  • ステージAは心原性ショックの「リスクあり」、ステージBは「初期」ショック、ステージCは「古典的」心原性ショック、ステージDは「悪化中」、そしてステージEは「極限状態」である。
  • BとCの違いは低灌流の存在である。Dは選択された初期介入を行っても30分間で適切な灌流が回復していない。Eは極限状態にあり、非常に不安定で、多くの場合、心血管虚脱を伴う。

- 心原性ショック分類のピラミッド -

  • 上記の心原性ショックに限定した分類(ステージA~Eの5分類)とは異なり、心不全の長い軌跡を一連の病態として捉えた病期分類もあります。
  • こちらの分類(ステージA~D)の方が圧倒的に有名で、心不全の適切な治療介入やケア、早期発見の目的のために日常臨床で活用されています。

- 心不全のステージ分類 -

💁 心不全分類 に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2021-12-27

心不全治療薬


😄 近年,新たな3種類の治療薬が加わりました
推奨クラス 薬剤 病態
I SGLT2阻害薬 最適な薬物治療(最大量あるいは最大忍容量のβ遮断薬, ACE阻害薬 [またはARB] およびMRA)が導入されている にも関わらず症候性で,収縮能の低下した(LVEF≦40%) 慢性心不全患者に対し,心不全悪化および心血管死のリス ク低減を考慮してダパグリフロジンまたはエンパグリフロジンを投与する.
I ARNI ACE 阻害薬(またはARB),β遮断薬,MRAがすでに投 与されているHFrEFにおいて,症状を有する(または効果が不十分)場合,ACE阻害薬(またはARB)からの切替えを行う.
IIa ARNI ACE阻害薬(またはARB)未使用の入院中のHFrEFへの投与を考慮する.
or
利尿薬が投与されているNYHA心機能分類 II 度以上のHFmrEFにおいて,ACE阻害薬(またはARB)からの切替えを考慮する.
IIa イバブラジン 最適な薬物治療(最大量あるいは最大忍容量のβ遮断薬, ACE阻害薬[またはARB]およびMRA)にもかかわらず症候性で,洞調律かつ心拍数≧75拍/分のHFrEF(LVEF≦35%)患者において,心不全入院および心血管死のリスク低減に考慮する.
or
ACE阻害薬(またはARB)およびMRAを投与されているものの,洞調律で安静時心拍数≧75拍/分の症候性HFrEF(LVEF≦35%)患者であるがβ遮断薬に不耐容あるいは禁忌である患者において,心不全入院および心血管死のリスクを低減するために考慮する.
IIb ARNI HFpEFに対する投与を考慮してもよい.

😈 現在の基本薬は4剤に集約 (いわゆるFantastic four
  1. ARNI (アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬)
  2. BB(ベータ遮断薬)
  3. MRA(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬)
  4. SGLT2 inhibitor(ナトリウム/グルコース共輸送体2阻害薬)

これらの4薬剤はすべて長期予後を改善することが証明されています.しかし心不全治療では,急性期の自覚症状を改善することも重要です(急性の心不全に使用する薬剤の推奨).

上記の素晴らしい4つ薬剤のなかでSGLT2阻害薬は急性心不全の治療にも有用であることが示されつつあります(例:Circ Heart Fail 2021;14:e007048.).これは注目すべきすごいこと!

(投稿者 川崎)

2026-02-12

今週の一枚 🎯

息切れで来院(血液疾患で化学療法中)

😐 解説
  • 眼周囲の明瞭な浮腫(puffy eyes)
  • 浮腫は下眼瞼より上眼瞼で目立つ
  • 浮腫の部分は心持ち蒼白?(pale)
  • 座位で右側内頚静脈の拍動は陽性
  • 心音はギャロップ+全収縮期雑音
  • 最終診断は薬剤性心筋症(HFrEF)

👽 心不全 vs 眼
  • 眼瞼浮腫は必ずしも病的とは言えません(寝不足や号泣後).しかし本例のように上眼瞼が主体の浮腫なら心不全を想起させます(ただしエビデンスは見つからず)
  • 眼瞼浮腫で発赤がないことは炎症やアレルギーに伴う変化の除外に有用と思われます.(本例は血液疾患による貧血に加えて,心不全による血液の希釈も影響?)
  • 心不全の浮腫と言えば下腿浮腫ですが,眼瞼や陰嚢などにも出現することがあります.心不全での眼瞼浮腫の頻度を調べましたが見つけることができませんでした.
  • 心不全ガイドラインは「下腿(末梢あるいは四肢)の浮腫とそれ以外の浮腫」という分類がされています.「眼」という漢字は一つも記載されていませんでした.

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

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(投稿者 川崎)

2019-01-29

Nohria-Stevenson 分類

  • 急性左心不全の重症度分類の一つで,主に身体所見から血行動態を判定する方法
  • ハーバードの循環器内科医Nohriaらが提唱(J Am Coll Cardiol 2003;41:1797-1804


予後の順番(1=良~4=悪)
  1. Profile A ➜ うっ血所見なし+低灌流所見なし(dry-warm)
  2. Profile L ➜ うっ血所見なし+低灌流所見あり(dry-cold)
  3. Profile B ➜ うっ血所見あり+低灌流所見なし(wet-warm)
  4. Profile C ➜ うっ血所見あり+低灌流所見あり(wet-cold)

頸静脈の所見両手のぬくもりで大まかな予測が可能
(第16回循環器Physical Examination講習会の室生先生の講演より)

他の分類
  • 心不全に関連する症状によるNYHA心機能分類
  • 収縮期血圧によるクリニカルシナリオ(CS)分類
  • スワン・ガンツカテーテルによるForrester分類

(投稿者 川崎)

2019-05-20

末期心不全の緩和ケア

  • 終末期心不全 ➜ 呼吸困難(60~88%),全身倦怠感(69~82%),疼痛(35~78%),抑うつ症状(入院症例の70%)(参考:急性・慢性心不全診療ガイドライン 2017年改訂版
  • 2018年の診療報酬改訂 ➜ 「緩和ケア診療加算」の対象に特定の要件を満たす「末期心不全」患者が追加/(1日につき390点)
  • 算定条件 ➜ 「緩和ケアチームのうちいずれか1人は専従。ただし、緩和ケアチームの診療患者数が1日15人以内の場合は、いずれも専任で差し支えない」

末期心不全の定義 以下のア~ウまでの基準及びエ~カまでのいずれかに該当
  • ア) 心不全に対して適切な治療が実施されている。
  • イ) 器質的な心機能障害により、適切な治療にかかわらず、慢性的にNYHA重症度分類Ⅳ度の症状に該当し、頻回又は持続的に点滴薬物療法が必要な状態。
  • ウ) 過去1年以内に心不全による急変時の入院が2回以上。
  • エ) 左室駆出率が20%以下。
  • オ) 医学的に終末期であると判断される状態。
  • カ) エ又はオに掲げる状態に準ずる場合。

(投稿者 川崎)

2026-03-20

論文 🏆 低灌流の身体所見パート2

  • 当院で行った臨床研究が論文になりました.Kasai K, Kawasaki T. Peripheral Perfusion Index as a Marker of Hypoperfusion in Heart Failure. Cardiology 2026 Feb 9:1-10. Epub ahead of print. (PMID: 41662304
  • 以前に当科から,心不全症例の低灌流を反映する身体所見の中で,腋窩と指先の温度差および指先の冷感の有無はいずれも,Nohria-Stevenson分類と同程度のリスク分類に利用できることを報告(Cardiology 2025 May 5:1-11
  • 今回は簡便かつ客観性のある指標 Perfusion Index (PI) を用いた検討です.PIはパルスオキシメータの拍動性血流成分と非拍動性血流成分の比から算出される指標で,心不全例でのリスク評価は初めてと思われます.

- 心不全例の末梢PIと心血管事故 -

💁 論文の過去投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2026-03-18

論文 🏆 低灌流の身体所見パート1

  • 当院の臨床研究が論文になりました.Kasai K, Kanehiro C, Honda S, Sakai C, Shindo A, Harimoto K, Kawasaki T. Physical Assessment of Congestion and Perfusion Status in Heart Failure. Cardiology 2025 May 5:1-11. Epub ahead of print.(PMID: 40324360
  • 現在の心不全ガイドラインでは,血行動態評価を4つの臨床プロファイル(すなわち dry-warm,wet-warm,dry-cold,wet-cold )に基づいて行うことが推奨されています.そこで活用されるのがノリアスティーブンソン分類ですが,必ずしも簡便とは言えません.
  • 本検討では心不全症例の低灌流を反映する身体所見の中で,腋窩と指先の温度差および指先の冷感の有無は共に,予後予測に有用であることを示しました.そして頚静脈所見と組み合わせた場合,Nohria-Stevenson分類と同程度の診断能を有していました.

- 心不全例の末梢所見と心血管事故 -

💁 論文の過去投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2017-01-11

狭心症 - ccs分類

カナダ心臓血管協会(CSS)が作成した狭心症の重症度分類
ニューヨーク心臓協会(NYHA)の心不全分類と基本的に同じ

定義 実際の状態
クラスⅠ 日常の身体活動(歩行や階段昇降)では狭心痛は生じないが,激しい,急な,あるいは長い活動では狭心痛が生じる. 制限なし
クラスⅡ 急ぎ足での歩行や階段昇降,坂道,食後,寒冷や強風下,ストレスがあるときまたは起床後1〜2時間以内の歩行または階段登行時にのみ狭心痛が生じる.あるいは普通の速さ,状態でも2ブロック(※100mが目安)以上の平地歩行または2階分以上の階段を登った時に狭心痛が生じる. 僅かに制限
クラスⅢ 普通の速さ,状態での1〜2ブロック(※50~100m)の平地歩行または自分のペースで1階分の階段を昇っても狭心痛が生じる. 高度に制限
クラスⅣ いかなる身体活動も無症状では行えない.安静時にも狭心痛が発症することがある. 絶対安静

(投稿者 川崎)

2023-12-14

今週の一枚 🎯

多量の利尿薬でも息切れが続く慢性心不全症例



(投稿者 川崎)

2025-05-04

心不全:クロライド理論(chloride theory)

概要 医療法人慈恵会 西田病院におられる片岡 一先生が提唱された心不全増悪の病態理論
背景 塩化物(Cl)はレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の活性化に重要な電解質
動態 Clは尿細管で濾過されたNaを細胞外体腔に再吸収し動脈圧を維持する重要な電解質
分類 臨床的に安定した心不全から悪化までに血清Cl濃度が上昇する例と上昇しない例あり
意義 血清Cl濃度の上昇は血管内容量を維持あるいは増加させる働きで心不全の負担を増大
機序 血清Cl濃度の変化が血漿量やAAS,ADHシステム変化の主な決定要因(下図を参照)


- 心不全の悪化過程の流体力学を説明する塩化物理論 -

👉 心不全の増悪に関するの過去の投稿は コチラ(PC版なら右下の欄から選択可能)

(投稿者 川崎)

2022-05-12

🎯 今週の一枚

倦怠感でERに搬入/座位で内頸静脈拍動+PaO2 150mmHg(酸素下)

問題 急性左心不全の重症度分類 ノリア・スティーブンソン で予想されるのは?





判定

🚑 現場実況
  • 酸素濃度は保持されているが爪床のチアノーゼあり ➜ 低心拍出量を反映
  • 実際に本例では手指冷感が著明で,末梢循環不全と診断(いわゆるcold)
  • 内頸静脈は座位陽性つまり中心静脈圧の著増が示唆される(いわゆるwet)
  • 以上よりNohria-Stevenson 分類のプロファイルCに分類(一番予後不良)
  • 本例は低左心機能例で electrical storm(incessant VT)に陥った状態
治療後に末梢循環は改善

💙 チアノーゼ
  • 低心拍出量による末梢循環不全のチアノーゼは見た目も冷たそう他の自験例).一方,末梢循環が保たれた心不全増悪による低酸素血症なら冷感なし(自験例
  • 末梢チアノーゼは先天性心疾患でも出現し,この場合はばち指を伴うことが多い(自験例).逆にチアノーゼを伴わないバチ指なら肺癌など肺疾患を疑う(自験例
👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

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(投稿者 川崎)

2019-06-15

HFrEFに使用する薬剤の推奨

推奨クラス 薬剤 病態
IACE阻害薬禁忌を除くすべての患者に対する投与(無症状の患者も含む)
IARBACE阻害薬に忍容性のない患者に対する投与
Iβ遮断薬有症状の患者に対する予後の改善を目的とした投与
Iミネラルコルチコイド受容体拮抗薬ループ利尿薬,ACE阻害薬がすでに投与されているNYHA心機能分類II度以上,LVEF<35%の患者に対する投与
Iループ利尿薬,サイアザイド系利尿薬うっ血に基づく症状を有する患者に対する投与
IIaβ遮断薬無症状の左室収縮機能不全患者に対する投与
IIaβ遮断薬頻脈性心房細動を有する患者へのレートコントロールを目的とした投与
IIaトルバプタンループ利尿薬をはじめとする他の利尿薬で効果不十分な場合に,心不全における体液貯留に基づく症状の改善を目的として入院中に投与開始
IIaジギタリス洞調律の患者に対する投与(血中濃度0.8 ng/mL以下に維持)
IIaジギタリス頻脈性心房細動を有する患者に対するレートコントロールを目的とした投与
IIa経口強心薬(ピモベンダン,デノパミン,ドカルパミン)QOLの改善,経静脈的強心薬からの離脱を目的とした短期投与
IIaアミオダロン重症心室不整脈とそれに基づく心停止の既往のある患者における投与
IIbARBACE阻害薬との併用
IIb炭酸脱水酵素阻害薬・浸透圧利尿薬などループ利尿薬,サイアザイド系利尿薬,ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬以外の利尿薬
IIb経口強心薬(ピモベンダン,デノパミン,ドカルパミン)β遮断薬導入時の投与
IIb硝酸イソソルビドとヒドララジンの併用ACE阻害薬,あるいはARBの代用としての投与
III経口強心薬(ピモベンダン,デノパミン,ドカルパミン)無症状の患者に対する長期投与
IIIその他カルシウム拮抗薬の,狭心症,高血圧を合併していない患者に対する投与
IIIその他Vaughan Williams分類Ⅰ群抗不整脈薬の長期経口投与
IIIその他α遮断薬の投与
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)の表23より(2019年5月閲覧/記載順など一部改編)

👿 関連投稿

(投稿者 川崎)

2021-04-29

🎯 今週の一枚

慢性左心不全の1例に座位で深呼吸負荷



(投稿者 川崎)

2023-11-02

今週の一枚 🎯

慢性心不全でフォロー中の症例(座位)

🔥 解説(個人的見解)
  • 端座位で鎖骨上に内頸静脈の拍動はなし ➜ 中心静脈圧の高度上昇なし
  • 吸気でも拍動は出現せず ➜ 中心静脈圧の中等度上昇なし(ビデオなし)
  • 左上肢の挙上で陥凹が出現(矢印)➜ 中心静脈圧の軽度〜中等度の上昇
  • 新たに出現した陥凹は不規則 ➜ 心房細動の疑い(実際に本例はAFです)

💛 心不全否定のMyパターン
  • 症状で心不全を疑わない症例:安静時に内頸静脈の座位陰性を確認
  • 心不全が否定できない症例:安静時と吸気負荷後ともに陰性を確認
  • 心不全の可能性あり例:安静吸気左上肢挙上すべて陰性を確認

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(投稿者 川崎)

2020-11-26

🎯 今週の一枚

ニコニコして特に症状はないという高齢者(家族が何かおかしいと感じて受診)




(投稿者 川崎)

2019-05-17

キリプ分類 Killip class

  • 急性心筋梗塞の超急性期に行う身体所見に基づいた重症度分類で予後と関連
  • 提唱は米国の循環器内科医Thomas Killip IIIら(Am J Cardiol 1967;20:457-64

クラス 重症度 所見
Iポンプ失調なし肺野にラ音なくIII音を聴取しない
II軽度~中等度の心不全全肺野の50%未満の範囲でラ音を聴取あるいは III音を聴取
III重症心不全肺水腫があり全肺野の50%以上の範囲でラ音を聴取
IV心原性ショック血圧90mmHg未満,尿量減少,チアノーゼ,冷たく湿った皮膚,意識障害を伴う

👿 発表された当時(50年前)の発症30日後の死亡率はクラスIで6%,クラスIIで17%,クラスIIIで38%,クラスIVで81%であった.もちろん現在では予後は全てのクラスで改善しているが,重症度分類として今も多くの施設で使用されている.

(投稿者 川崎)

2018-02-14

Proportional pulse pressure

  • (収縮期血圧 - 拡張期血圧) ÷ 収縮期血圧 × 100(%)で算出される指標
  • 急性心不全や慢性心不全の急性増悪時のNohria-Stevenson分類で利用
  • 本指標が25%未満なら小さい脈圧(つまり前方障害・低灌流・coldがある)

Nohria-Stevenson分類のオリジナル ⏩ J Am Coll Cardiol. 2003;41:1797-804

(投稿者 川崎)

2023-12-17

第136回日本循環器学会近畿地方会より

😃 個人的に気になった報告
 
4-17 心筋梗塞後のVT/VF stormに対してPurkinje systemのde-networkingが有効であった一例
  • 心筋梗塞後の VT/VF storm は重大な合併症である。Purkinje-related triggerを標的とするアブレーションの有効性が報告されてきたが,新たな手法としてPurkinje de-networkingが注目されている。VT中に先行するPurkinje電位を認め,左脚後枝末梢及び前枝領域のde-networkingを図りnon-inducibleで終了したが再発。再治療時にleft septal fascicle領域のde-networkingを追加することでstormからの離脱と救命に成功。

5-21 血行再建を施行された夏型・冬型心筋梗塞の背景因子・予後比較
  • 夏型MIはplaque erosion,冬型MIはplaque ruptureが多いことが示唆されている。しかし今回の単施設での検討では,夏型(6~8月)MIに比して冬型(12~2月)MIでは STEMI患者やLMT病変の割合が多かったが,予後に差は認めなかった。

6-9 Marshall静脈へエタノールアブレーションが奏効した僧帽弁輪旋回型心房頻拍の一例
  • 僧帽弁輪旋回型心房頻拍と診断し,僧帽弁輪峡部に対する線状焼灼およびMarshall静脈(VOM)の走行に沿って内膜を焼灼中に心房頻拍の停止を得た。しかし,4ヶ月後に心房頻拍が再発したため再CAを行った。前回と同じ VOM を介した僧帽弁輪旋回型心房頻拍と診断された。心内膜側からの通電では永続的なブロックが難しいと判断し,エタノールアブレーションを行った。エタノールをVOMに注入したところ頻拍周期が延長を伴って停止し,僧帽弁輪峡部のブロックを得た。(補足)マーシャル静脈は冠静脈洞から分岐し左肺静脈と左心耳の間の心外膜側を斜走する静脈で,心房細動の発生や維持に関与することがある。

7-7 金属アレルギーを有する労作性狭心症患者に対して,proBIO coatingを有するOrsiro stentで治療し得た1例
  • RCAに高度狭窄病変を認めたが,金属アレルギーの申告があったため,薬物治療を優先する方針とした。後日実施した金属アレルギー検査ではニッケルで陽性,ステントではXienceで陽性が確認された。最終的に本症例では金属イオン溶出を抑制し得るproBIO coatingを有するOrsiroステントで治療を実施した。(補足)このproBIO coatingはステントの金属表面と周辺血管組織との間に起こる炎症の一因とされる金属イオンの溶出を抑制することで再狭窄を減らしているそうです。

8-6 Wolf-Ohtsuka法術後に両心房血栓を認めた一例
  • ヘパリンの持続投与を開始したが,腫瘤のサイズに変化はなく,右房内血栓も縮小しなかったため,開心術による摘除を行った。摘除した腫瘤の病理所見は血栓であった。術後,ヘパリン持続点滴,ワルファリン内服を開始したが,血栓の再発を認めた。ワルファリンのコントロールを強化したところ,血栓は消失した。Wolf-Ohtsuka 法術後に血栓を認めることは稀である。(補足)ウルフ‐オオツカ法は胸腔鏡下左心耳閉鎖術で5mmから10mm程度の穴を胸の壁に4ヶ所開けるだけで傷もほとんど目立たず,手術に用いられる自動吻合器代も6万円とWatchmanに比べるとかなり安価(引用

8-25 最北端の非専門医によるVMTスコアを用いた心不全管理の有用性(市立稚内病院)
  • 常勤の循環器内科医では対応しきれず,非専門医が大半の心不全患者を管理しているため,非専門医でも心不全の診断・治療方針の決定ができる指標が必要である。そこで村山,岩野らが考案した心エコー図のドプラ機能を使うことなくB modeのみで左室充満圧を推定できるVMTスコアを活用し心不全の診断・治療方針の決定に寄与している。(補足)VMT(visually assessed time difference between the mitral valve and tricuspid valve opening)スコアは断層心エコー法を用いて評価した左右の房室弁開放時相差の視覚的評価に基づいたスコアリング法。

👻 当院からの発表
  • 3-1 肥大型心筋症の予後とⅣ音(循環器内科 川﨑達也ほか)
  • 3-29 心不全患者のリスク層別化:各種負荷に対する頸静脈所見(循環器内科 野口理希ほか)
  • 7-14 身体診察が特徴的であったトランスサイレチン型心アミロイドーシスの1例(循環器内科 平野達大ほか)
  • 8-4 身体所見を契機に診断に至った静脈洞型心房中隔欠損症の1例(循環器内科 大江彩佳ほか)

すべて英語論文化(2つは掲載済,1つは投稿中,もう1つは投稿待)

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(投稿者 川崎)

2026-08-13

今週の一枚 🎯 時には外頚静脈も活用

体重が少し増加した心不全例(座位)

😐 解説
  • 外頚静脈の明瞭な上下運動あり(矢頭)
  • 吸気保持で拍動は消失し膨隆(=怒張)
  • 当日のBNPは前回の700から1300に増加
  • 本症例はDCMで心不全の悪化と診断した
  • 利尿薬を追加して早めに再診を予定した

😶 追加コメント
  • 心不全の評価で用いる頚静脈は、外頚静脈ではなくて、内頚静脈です(もちろん右側)。これは解剖学的な理由です(外頚静脈は右房と直線的関係でなく、有効な逆流防止弁があり、胸鎖乳突筋の緊張の影響を受ける)。
  • ただし本例のように心周期に伴う拍動が明瞭な場合は、中心静脈圧の推定(心不全判定)に用いてもOKです。あるいは呼吸変動(自発呼吸に伴う変動あるいは深吸気負荷に伴う変化)がある場合も、判定可能と思われます。
  • 本例では外頚静脈に目が行きますが、よく見ると内頚静脈の拍動も十分に視認できます。通常呼吸時には鎖骨上窩で陥凹があり、吸気負荷後は頚部の中央(外頚静脈を含む)が面として周期的に陥凹しています。

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(投稿者 川崎)

2023-12-25

🏆 論文

  • 当院のリハビリテーション室のPT笠井先生の研究が出版されました
  • 吸気負荷を用いた頸静脈の座位定性法による心不全リスク評価です
  • 同評価法は心不全の多様性(REF vs PEF他)によらず一貫して有用
サブグループ解析

😀 当院の頸静脈評価
  • 当院では頸静脈の座位定性法を知って以降,積極的に臨床活用してきました.つまり安静時に右鎖骨上に拍動があるか否かです.視認しなければ心不全は安定していると判断していました.しかしある時,安定しているにも関わらず運動負荷後に頸静脈拍動が出現した症例に遭遇しました.本例は残念ながら数ヵ月後に死亡されました.
  • この時に心疾患の慢性期では負荷が重要であることを再認識しました.負荷心電図や負荷心エコー図と同様に,負荷頸静脈です.そこで負荷頸静脈の報告を検索したのですが,ほとんどないことが分かりました.これは頸静脈評価の従来定量法(例:45度半坐位で胸骨角からの垂直距離を測定:ルイス法)に問題があると考えました.
  • 近年普及してきた座位定性法なら,負荷後も頸静脈の判定が容易です.早速6分間歩行で行ってみると,予想以上にいい結果が得られました(笠井論文).運動が困難な症例も少なくないので,吸気負荷(前負荷増大)に対する反応を確認しましたが同様に良い結果でした(車古論文).今回は第三弾で心不全の多様性に対する検討です.

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(投稿者 川崎)