4-17
心筋梗塞後のVT/VF stormに対してPurkinje systemのde-networkingが有効であった一例
- 心筋梗塞後の VT/VF storm は重大な合併症である。Purkinje-related triggerを標的とするアブレーションの有効性が報告されてきたが,新たな手法としてPurkinje de-networkingが注目されている。VT中に先行するPurkinje電位を認め,左脚後枝末梢及び前枝領域のde-networkingを図りnon-inducibleで終了したが再発。再治療時にleft septal fascicle領域のde-networkingを追加することでstormからの離脱と救命に成功。
5-21
血行再建を施行された夏型・冬型心筋梗塞の背景因子・予後比較
- 夏型MIはplaque erosion,冬型MIはplaque ruptureが多いことが示唆されている。しかし今回の単施設での検討では,夏型(6~8月)MIに比して冬型(12~2月)MIでは STEMI患者やLMT病変の割合が多かったが,予後に差は認めなかった。
6-9
Marshall静脈へエタノールアブレーションが奏効した僧帽弁輪旋回型心房頻拍の一例
- 僧帽弁輪旋回型心房頻拍と診断し,僧帽弁輪峡部に対する線状焼灼およびMarshall静脈(VOM)の走行に沿って内膜を焼灼中に心房頻拍の停止を得た。しかし,4ヶ月後に心房頻拍が再発したため再CAを行った。前回と同じ VOM を介した僧帽弁輪旋回型心房頻拍と診断された。心内膜側からの通電では永続的なブロックが難しいと判断し,エタノールアブレーションを行った。エタノールをVOMに注入したところ頻拍周期が延長を伴って停止し,僧帽弁輪峡部のブロックを得た。(補足)マーシャル静脈は冠静脈洞から分岐し左肺静脈と左心耳の間の心外膜側を斜走する静脈で,心房細動の発生や維持に関与することがある。
7-7
金属アレルギーを有する労作性狭心症患者に対して,proBIO coatingを有するOrsiro stentで治療し得た1例
- RCAに高度狭窄病変を認めたが,金属アレルギーの申告があったため,薬物治療を優先する方針とした。後日実施した金属アレルギー検査ではニッケルで陽性,ステントではXienceで陽性が確認された。最終的に本症例では金属イオン溶出を抑制し得るproBIO coatingを有するOrsiroステントで治療を実施した。(補足)このproBIO coatingはステントの金属表面と周辺血管組織との間に起こる炎症の一因とされる金属イオンの溶出を抑制することで再狭窄を減らしているそうです。
8-6
Wolf-Ohtsuka法術後に両心房血栓を認めた一例
- ヘパリンの持続投与を開始したが,腫瘤のサイズに変化はなく,右房内血栓も縮小しなかったため,開心術による摘除を行った。摘除した腫瘤の病理所見は血栓であった。術後,ヘパリン持続点滴,ワルファリン内服を開始したが,血栓の再発を認めた。ワルファリンのコントロールを強化したところ,血栓は消失した。Wolf-Ohtsuka 法術後に血栓を認めることは稀である。(補足)ウルフ‐オオツカ法は胸腔鏡下左心耳閉鎖術で5mmから10mm程度の穴を胸の壁に4ヶ所開けるだけで傷もほとんど目立たず,手術に用いられる自動吻合器代も6万円とWatchmanに比べるとかなり安価(引用)
8-25
最北端の非専門医によるVMTスコアを用いた心不全管理の有用性(市立稚内病院)
- 常勤の循環器内科医では対応しきれず,非専門医が大半の心不全患者を管理しているため,非専門医でも心不全の診断・治療方針の決定ができる指標が必要である。そこで村山,岩野らが考案した心エコー図のドプラ機能を使うことなくB modeのみで左室充満圧を推定できるVMTスコアを活用し心不全の診断・治療方針の決定に寄与している。(補足)VMT(visually assessed time difference between the mitral valve and tricuspid valve opening)スコアは断層心エコー法を用いて評価した左右の房室弁開放時相差の視覚的評価に基づいたスコアリング法。
👻 当院からの発表
- 3-1 肥大型心筋症の予後とⅣ音(循環器内科 川﨑達也ほか)
- 3-29 心不全患者のリスク層別化:各種負荷に対する頸静脈所見(循環器内科 野口理希ほか)
- 7-14 身体診察が特徴的であったトランスサイレチン型心アミロイドーシスの1例(循環器内科 平野達大ほか)
- 8-4 身体所見を契機に診断に至った静脈洞型心房中隔欠損症の1例(循環器内科 大江彩佳ほか)
すべて英語論文化(2つは掲載済,1つは投稿中,もう1つは投稿待)
💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)
(投稿者 川崎)
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