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2020-08-06

🎯 今週の一枚

息切れと黄疸で来院した症例

🙌 ばち指(Clubbed finger)
  • 呼吸器疾患やチアノーゼ性心疾患で出現するが,肝硬変や炎症性腸疾患などでも認めることがある.ばち状指や撥指,Nail clubbing, Digital clubbingとも記載される.
  • 機序として,動静脈シャントによる血小板由来成長因子や血管内皮細胞増殖因子の不活性化抑制で結合組織が過形成されるという仮説が提唱されている(Lancet 1987;2(8573):1434-5
  • 少なくともヒポクラテス(紀元前384-322)の時代には病的所見として知られていて,"Hippocratic fingers"(ヒポクラテリック・フィンガー)と呼ばれていたようです(PMID: 30969535
  • 診断の目安は指と爪床の角度が165度以上で,両手の爪を合わせた時に通常存在するダイアモンド型の隙間が消失するシャムロステスト(Schamroth's test)が有用(S Afr Med J 1976;50:297-300


(E=正常・F=ばち指:Respir Med 2017;132:226-31

👽 臨床現場
  • 本例はファロー四徴症に対して幼少期に手術を受けていた.主訴の一つである息切れは肺炎であると考えられたが,肺炎の改善後にもチアノーゼが残存した.肝硬変が合併していたため黄疸があり,遷延する低酸素血症は肝肺症候群(HPS: Hepatopulmonary syndrome)によると判断した.その身体所見はシンプルであったが,背後の病態はとても複雑であった.

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(投稿者 川崎)

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