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2017-08-31

グラム染色クイズ

免疫力低下症例の血培で嫌気性ボトルとそのグラム染色

嫌気性ボトルがあわ立ち,グラム染色で多数の陽性桿菌を認めた(好気性ボトルからは検出されず)
最終的にはクロストリディアム・パーフリンジェンス Clostridium perfringens であった

C. perfringens
  • 動物(ヒト含む)の腸内細菌叢の主要菌で、河川や土壌,海などにも広く分布している
  • 別名はウェルシュ菌で食中毒(特にカレー)や筋肉壊死(ガス壊疸)を生じることがある

グラム陽性桿菌 ⇒ コリネバクテリウム(V字型が特徴)やクロストリジウム(嫌気性),バチルス(主に好気性菌)など

(投稿者 川崎)

Wells スコア

肺塞栓の可能性を判定するスコア (Wells PS, et al. Thromb Haemost. 2000;83:416-20
深部静脈血栓を判定するスコアもある(Wells PS. J Thromb Haemost. 2007;5:41-50

※いずれの疾患も陰性診断的中率の高いDダイマーとうまく組み合わせて使用することが大切
ウェルズ 深部静脈血栓 肺血栓 PE DVT
(投稿者 川崎)

2017-08-30

ERでの心エコー図:大動脈弁狭窄 AS

ERで大動脈弁狭窄ASの有無をエコーで評価することは難しくない(重症度判定は専門医に任せる)

・大動脈弁狭窄例の傍胸骨左室長軸像と左室短軸像(大動脈弁レベル)


・健常者の傍胸骨左室長軸像


心エコー図にはいろいろな断面があるが傍胸骨左室長軸像が一番のお勧め
左室の壁運動・拡大・肥大,大動脈弁狭窄,僧帽弁逆流などがすべて分かる
⇒ 心エコ-図を学びたければ 松下心エコー塾 (あとは実践あるのみ)

(投稿者 川崎)

Ogilvie syndrome オギルビー症候群

機械的閉塞機転がなく大腸が急速に拡張する疾患(概ね10cm以上)
別名は急性大腸偽性腸閉塞症で中毒性巨大結腸症とは異なる病態
英国の外科医William H. Ogilvieが1948年に報告(Br Med J. 1948;2:671-3

(By Milliways - Own work, CC BY-SA 3.0)

  • 原因 不明(自律神経異常?) 様々な全身疾患に併発,特に術後に続発
  • 症状 腹部膨満感,腹痛 (排ガスはある程度保たれる点に注意)
  • 治療 脱水補正,ネオスチグミン,内視鏡的減圧(←中毒性巨大結腸症では禁忌)
  • 予後 原疾患に大きく依存(盲腸穿孔時の死亡率は50%)

中毒性巨大結腸症やHirschsprung病との鑑別はコチラへ ⇒ 巨大結腸症:横浜市立大学附属病院

(投稿者 川崎)

2017-08-29

FEUN 尿素窒素部分排泄率

FEUN=fractional excretion of urea nitrogen
=[(随時尿BUN/血中BUN)/(随時尿Cr/血中Cr)]×100
基準値55~65%,FEUN<35%で腎前性の急性腎障害を示唆
⇒ 感度90%,特異度96%(Kidney Int. 2002;62:2223-9

急性腎障害で腎前性と腎性の鑑別にはFENaを用いることが多い
基準値は1%未満で腎性腎障害なら上昇するが利尿薬使用時にも上昇
FEUNは利尿薬の影響を受けないため利尿薬使用時にも応用可能

(投稿者 川崎)

2017-08-28

ムコール症

ムコール菌による感染症の総称で別名は接合菌症(日和見型深在性真菌症
 ムコール菌=広く自然界に遍在するムコール目の真菌
  接合菌=接合胞子嚢(多核の菌糸)を作る菌類(例:ケカビやクモノスカビ)
  • 経路 環境中に浮遊する真菌の吸引(経気道的感染)
  • 診断 病理組織学的検査および真菌学的検査
  • 分類 鼻脳型,肺型,皮膚型,消化管型,播種型
  • 症状 発熱,疼痛,腫脹,壊死など(部位により大きく異なる)
  • 治療 基礎疾患治療+病変部切除,大量アムホテリシンB
  • 予後 皮膚型を除き不良(急性に進行して多くは致死的)
ムーコル
典型例 ⇒ 急速な転帰を辿った鼻副鼻腔ムコール症の1例(耳展1997;40:192-199)

(投稿者 川崎)

2017-08-27

SAHと破裂動脈瘤

CTでクモ膜下出血を診断したら血腫の分布から破裂した動脈瘤の部位を推定


(くも膜下出血をシェーマで理解する【画像診断チャンネル】SAHより)

(投稿者 川崎)

2017-08-26

市販薬ブスコパン

医師が処方するブスコパン(ブチルスコポラミン)が薬局でも購入可能
いずれも医療用と同量含(1錠中にブチルスコポラミン臭化物10mg)
  • ブスコパンA錠/ブスコパンMカプセル エスエス製薬
  • ストマオフ糖衣錠 ゼリア新薬工業
  • ブチスコミン 佐藤製薬
  • ブスポンS 小林薬品工業


※腹痛に対して売薬ブスコパンを連用してイレウスが増悪した症例を経験したので要注意

(投稿者 川崎)

松下金曜会 「骨盤痛」

骨盤痛のレッドフラッグと重篤な原因
  1. 疼痛の持続期間<15日 ⇒ 虫垂炎,急性骨盤内炎症性疾患
  2. 淋菌保有者との性的接触,発熱または悪寒 ⇒ 骨盤内炎症性疾患
  3. 異常な膣出血 ⇒ 骨盤内炎症性疾患,子宮内膜症,異所性妊娠(子宮外妊娠),急性虫垂炎,閉経後女性の子宮内膜癌
  4. 一過性の反復痛で始まる進行性の疼痛 ⇒ 付属器捻転
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2017-08-25

気管軟化症

気管や気管支の脆弱性により高度の呼気性気道虚脱が生じる閉塞性気道性疾患
  • 疫学 乳児や幼児に多い(2歳頃までに軽快しやすい),先天性食道閉鎖症の約10%に合併
  • 症状 犬吠様咳嗽,持続する喘鳴,繰り返す呼吸器感染,チアノーゼ発作,無呼吸など
  • 診断 気管支鏡で呼気時に気道閉塞の確認,吸気と呼気時のCT(目安は>50%の虚脱)
  • 原因 軟骨部/膜性部の低下(通常は4~5),発育異常,大動脈などによる圧迫など
  • 治療 呼気終末陽圧管理,人工呼吸,気管切開,外・内ステント術,大動脈前方固定術

小児の疾患と捉えられることが多いが成人でも稀ながら報告されている点に注意
数年来喘息と誤診されていた中年男性例 ⇒ 日呼吸会誌 2000;38:476-479
 
※今回経験した症例は先天性心疾患を合併した学童でnasal highflowが有効であった

(投稿者 川崎)