♡ 前PCI時代(川崎医会誌 1993;19:1-11)
- 対象は心筋梗塞発症24時間以内にICUに入室した感染症合併のない49例で,39例(79.6%)に心筋梗塞発症4.3~51時間(平均23.4時間)の間に37℃以上の発熱あり.38例が2日以内に発熱し,そのピークは1例を除き心筋梗塞発症3日以内であった(範囲は37.0~38.4℃,平均37.2℃で1~2日間続き,平均発熱後3.8日間で解熱).ただし最高体温と最高CPK値に有意な相関なし(下図).
♤ PCI時代(J Am Heart Assoc 2017;6:e005687)
- ST上昇型急性心筋梗塞に対して緊急インターベンションを受けた276例中45人が37.7度以上の発熱 (最高体温はインターベンション後4日以内).多変量解析では梗塞後の発熱は大きな心筋梗塞 (オッズ比3.48,95%信頼区間1.71–7.07,P<0.01) および小さい心筋サルベージ指数(オッズ比2.10,95%信頼区間1.01–4.08,P=0.03)と関連していた.ただし最高体温と心筋梗塞サイズや心筋サルベージ指数は有意に相関せず(下図).
♢ 機序
- 壊死した心筋に対する好中球や単球,マクロファージなどの非特異的な反応から合成される各種サイトカイン(インターロイキン-1やインターロイキン-6,インターロイキン-8,腫瘍壊死因子-α,インターフェロン-γなど)の発熱作用によると考えられているようです.さらにこれらのサイトカインによって誘発されたプロスタグランジンE2などによる視床下部領域の体温調節中枢への作用もあるようです.
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(投稿者 川崎)
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