心不全の低血糖
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先日,急性心不全の症例で低血糖を合併した症例を経験しました.本例には糖尿病の既往はなく,血糖降下薬の服用やインスリンの投与もありませんでした.
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心不全を発症時に自覚症状を伴う低血糖を経験することはあまりありませんが,血糖低下自体は起こりやすいようです(下図:ただしいずれの症例も無症状)
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機序
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血中インスリンは最終的には腎臓の糸球体で分解され尿中に排泄されます.心不全では通常,うっ血(稀に低拍出量)のため腎機能が低下します.よってインスリンの代謝が遷延するため,その血中濃度が上昇して,結果的に心不全の発症時に血糖が低下するのではと推測されます.
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それ以外には,低酸素やカテコラミン増加によるインスリンの分泌亢進,グルカゴンの分泌低下,低栄養に伴う糖質の供給低下,貯蓄能の低下による糖新生阻害などがあるようです(※).また心不全時に著増するBNPには,直接的+間接的な血糖低下作用があるようです(#).
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低血糖に関する過去の投稿 ➜
コチラ
(投稿者 川崎)
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