誘導の付け間違い:5パターン
- Ⅱ 誘導が直線 ➜ RとアースRFの間違い
- Ⅲ 誘導が直線 ➜ LとアースRFの間違い
- Ⅰ 誘導ですべて陰性+aVRとaVLが逆 ➜ RとLの間違い(アースRFは正しい)
- Ⅰ 誘導ですべて陰性+Ⅱ誘導ですべて陰性 ➜ RとLFの間違い(アースRFは正しい)
- Ⅲ 誘導ですべて陰性 ➜ LとLFの間違い(アースRFは正しい)
Coumel現象(クーメル)
- 頻脈発作中にwide QRSからnarrow QRSに移行する際に頻拍周期の短縮を認める,あるいは逆にnarrow QRSからwide QRSに移行する際に頻拍周期の延長を認める現象.通常は同側(右脚なら右側,左脚ブロックなら左側)に副伝導路を有する房室回帰性頻拍 ORTを示唆する所見.わかりやすいショート動画はココからどうぞ
ST上昇の鑑別
- 早期再分極であれば通常,V6誘導でST高×4<T波高であるが,急性心膜炎ではST高×4>T波高となる
- V2,3のterminal QRS distortion ➜ S波とJ波の両方がない所見で前下行枝の心筋梗塞を示唆(早期再分極 BRE: benign early repolarizationと鑑別に有用)
- Spodick徴候 ➜ TからPへの移行が右肩下がりでなだらかになること.PR低下と同様に急性心膜炎を示唆する.
- V4誘導のfish hook pattern ➜ 早期再分極を示唆する所見で,ST終末部が基線に戻らずJ波を形成(魚の釣り針様)
その他1
- 多形性心室頻拍はQRS波形が異なりRR間隔が(多少)不整で,その亜型にtorsades de pointes(TdP)がある.いずれもQT延長に合併しやすい.
- 低カリウム血症ではT波の平坦化に加えてU波の出現や増高を忘れずに
- 漏斗胸の心電図は通常,V1ですべて陰性(P/QRS/T)+時計回転
- 交代性脚ブロック(Alternating bundle branch block)は3枝ブロックの一種で,右脚ブロックと左脚ブロックが交互に出現する病態
- 心房粗動の周期は通常300 bpmであるが,I 群薬(フレカイニドなど)で延長することが少なくない(例,250 bpm).その結果,1:1伝導を呈することがある.
- P波を伴わない非頻脈性のwide QRSなら心室固有調律を考えるが,通常は20-40 bpmであることに要注意.50 bpmならもともと脚ブロックのある接合部調律のことあり
- 低Mg血症の心電図はQT延長やST低下,T波の平低化など.ちなみにQT延長はMg,Ca,Kのいずれの低下でも生じる.
- Sgarbossaの基準(左脚ブロック例で心筋梗塞の診断基準)➜ 上向きQRSを示す誘導で1 mm 以上のST上昇(positive concordant),V1~V3 誘導で1 mm以上のST下降(negative concordant),下向きQRSを示す誘導で5 mm以上のST上昇が2誘導以上のいずれか一つ(過去の投稿)
- スミスの基準ではST上昇あるいはST低下がS波高あるいはR波高の25%以上であれば心筋梗塞を示唆(過去の投稿)➜ 修正Sgarbossaの基準
その他2
- Ashman(アッシュマン)現象:先行RRが長いと不応期が長くなるため,long-short sequenceで生じたQRSでは変更伝導が生じやすくなること.上室期外収縮や心房細動で見られる.
- 一見,完全房室ブロックに見えても,一回でもPとQRSが繋がっていれば(RR間隔が短縮する/QRSの形も変化あり),高度房室ブロックに分類
- 心房中隔欠損 ASD では不完全右脚ブロック(+右脚あるいは正軸)を認めるが,左軸偏位ならば一次孔欠損(心内膜症欠損・房室中隔欠損)を疑う.ちなみにファロー四徴症なら術後に完全右脚ブロックを呈することが多い
- 平低T波(flat T waves)はR波の1/10以下(ただしR波高が10 mm以上)あるいは-1.0 mm~+1.0 mm
- ウェンケバッハは基本的にHis束の上(AH伝導)の問題で,徐脈時に多くアトロピンに反応があり運動時には消失する.一方,モビッツⅡ型はHVで切れて頻脈時(労作時など)に多くアトロピンやβ刺激に反応なし(むしろ増悪)
- QT延長時にはQTを延長させる Ⅲ 群薬(カリウムチャネル遮断薬:アミオダロン,ニフェカラント(シンビット®),ソタコール)はもちろん使用しない
- 発作生房室ブロック(paroxysmal atrioventricular block: PAVB)は2度房室ブロックに分類され,長時間の心停止からAdams- Stokes発作による外傷やけいれんに至ることが少なくない.
- 心房細動を合併したWPWとLBBBは似た波形になることがある.しかしWPWではケント束の順行伝導の程度によってQRS波形が多少変化することからも鑑別可能
※参考コンテンツ:心電図マイスターチャンネル,他
💁 心電図マイスターに関する過去の投稿 ➜ コチラ
(投稿者 川崎)
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