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2016-10-14

松下金曜会 「悪心・嘔吐」

悪心・嘔吐のレッドフラッグと重篤な原因疾患
  1. 大量吐血 ⇒ 消化性潰瘍,静脈瘤またはマロリー・ワイス裂傷からの出血
  2. 頭部外傷歴 ⇒ 頭蓋骨折
  3. 嘔吐前に腹痛 ⇒ 急性虫垂炎
  4. 精神状態の変化 ⇒ 頭蓋内出血,腫瘤,または感染
  5. 体がゆれるような動きで増悪(例,階段を下りる時) ⇒ 腹膜炎
  6. 一定の上腹部痛が30分以上持続 ⇒ 急性胆嚢炎
  7. 左腕への放散痛 ⇒ 急性心筋梗塞
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

企図振戦(きとしんせん)

何かの目的で行動しようとすると生じる振戦(例,物を取ろうと手を伸ばす時)
小脳の損傷によって生じやすい(多発性硬化症,脳卒中,ウィルソン病など)
小脳振戦あるいは意図振戦と呼ばれることもある

その他の振戦
  • 安静時振戦:筋肉を使っていない時に生じる振戦で,パーキンソン病に多い
  • 姿勢振戦:重力に逆らって姿勢を保とうとするときなどに生じる振戦
  • 本態性振戦: 高齢になるほど目立つが,通常は重篤な病態にはならない
  • 生理的振戦:ストレスや疲労,カフェインの過剰摂取などによる一過性の振戦
  • 羽ばたき振戦:厳密には振戦ではなく,肝機能障害(特に肝性脳症)と関連する
(投稿者 川崎)

2016-10-12

緑膿菌

グラム陰性桿菌(GNR)で多くの抗菌薬に耐性である
 
 
  • グラム染色の特徴は染色性が悪く細くて集簇する
  • ムコイド型の緑膿菌では菌が粘液物質で包まれる
  • 色素を分泌するため培地や傷口が緑に着色する
 
(投稿者 川崎)
 

2016-10-11

胸痛 OPQRST

胸痛を訴える症例に対する問診テクニック いわゆる ”OPQRST”
  1. O : Onset: いつ始まったのか
  2. P : Provoking and palliating: 増悪あるいは緩解因子
  3. Q : Quality: 胸痛の性状(鈍い痛み,圧迫感,鋭い痛み,不快感など)
  4. R : Region and radiation: 胸痛の場所と放散(左胸から左腕に広がるなど)
  5. S : Severity and symptons: 症状の程度(1-10のスケール)と随伴症状(嘔気や動悸の有無)
  6. T : Timing: 持続時間
もちろんこの ”OPQRST” 問診テクニックは胸痛以外にも応用できます
(投稿者 川崎)

松下CT道場より 「症例4:食欲不振と衰弱の60代男性」

本ページにアップすると他の動画とリンクエラーを生じたため下記リンクでご覧下さい

「松下CT道場」 ←ココをクリック
(投稿者 川崎)

2016-10-10

冠動脈ステントとMRI

一般的に冠動脈にステント留置2ヵ月以内はMRIを回避すべきと考えられている.
これは発熱によるステント血栓症やステント移動のリスクがあるからと推察される.

しかし下記の報告を考慮すると,留置早期でも必要時はMRIを回避すべきではないと考える

留置2週間以内(平均6日後)に3TのMRIが行われた連続72例の心筋梗塞
 ⇒ ステント血栓症,死亡,心筋梗塞はいずれもなし(Eur Radiol. 2009;19:2913-8.

留置8週間以内(平均18日後)に1.5TのMRIを受けた111例での検討
 ⇒ ステント血栓症なし,非心臓死4例,再治療3例(J Am Coll Cardiol. 2003;42:1295-8.

最も汎用されているのステントの一つXIENCE Alpineでは,単一留置あるいは最大71mmまでステントをオーバーラップさせて留置した場合、留置直後から特定のMRI検査で危険性のない「MR Conditional」に該当することが立証されている。 (http://www.info.pmda.go.jp/ygo/pack/340733/22600BZX00529000_A_01_04/

(投稿者 川崎)

2016-10-08

MRI と刺青の安全性

MRIでは、ループ形成や金属の存在により熱傷をきたすことが知られています。

医療安全情報: 高周波電流ループ形成による熱傷
http://www.med-safe.jp/pdf/med-safe_56.pdf

タトゥーによるI度熱傷の例
http://www.livescience.com/32801-do-mri-machines-affect-tattoos.html

あと、技師さんがこんなものを見つけてくれました。
MRI合併症と有害事象の調査
https://www.bayer-diagnostics.jp/static/pdf/publications/mriinmedicine/mri_3/MRI_Vol_3-2.pdf
p10 MRIとアートメイク:合併症と有害事象の調査

他にもいくつか論文を探しましたが、1~2度熱傷までしか見つかりませんでした。
論文でも、MRIを受けられない不利益を問題にしていますね。たしかにMRIを受けられない場合は不利益があることは理解できます。

ただ、「無条件大丈夫」とは言えません。
また、皮膚に刺入する顔料も昔と今とでは異なっていると思われ、昔の刺青はどうなのか調査から多くが漏れているのではないかと推察します。

刺青も青系は危ない、とか、赤系は危ない、とか都市伝説的に語られていますが、これらもはっきりした根拠は見つけられませんでした。
ご存知の方は御教授ください。

もちろん、MRI室への金属の持込は、絶対にやめてくださいね☆
http://www.med-safe.jp/pdf/med-safe_94.pdf
(投稿者 小谷)

バイオアベイラビリティが良好な経口抗菌薬

腸から薬がどれだけ吸収するのか!=bioavailabilityです。

ペニシリン系(アモキシシリン) 90%
セフェム系(セファドロキシル,セファレキシン) 90-99%
ニューキノロン系(レボフロキサシン,モキシフロキサシン) 90-99%
テトラサイクリン系(ドキシサイクリン,ミノサイクリン) 93-95%
ニトロイミダゾール系(メトロニダゾール) 100%
葉酸代謝拮抗薬(ST 合剤) 98%
リンコサミド系(クリンダマイシン) 90%
オキサゾリジノン系(リネゾリド) 100%

(投稿者 安田)

経口抗菌薬への早期切り替え、誤嚥性肺炎でも有効か?

市中肺炎において、早期に抗菌薬の点滴静注から経口投与に移行するスイッチ療法の有効性が報告されているが、誤嚥性肺炎については報告されていなかった。

聖路加国際病院呼吸器内科 宇仁 暢大氏らは、誤嚥性肺炎においても抗菌薬の早期経口スイッチングの可能性を報告している。(Uni M, et al. Respir Investig. 2015;53:225-231)

早期の切り替えの基準は
◎バイタルサインが安定していること
 (体温:38℃以下、呼吸数:24回/分以下、脈拍:24時間以上100回/分以下)
◎嚥下評価が良好
 (反復唾液嚥下テスト2点以上、改訂水飲みテスト4点以上)

(投稿者 安田)

市中肺炎において、経口抗菌薬への早期切り替えは可能か?

Ans:条件を満たせば可能

下記の全ての項目を満たした場合、早期切り替えは可能。
◎咳嗽および呼吸困難など呼吸器症状の改善
◎CRP 15 mg/dL未満
◎経口摂取機能の十分な改善
◎12時間以上にわたって体温が38℃以下に保たれていること

(投稿者 安田)