このブログを検索

2020-11-19

🎯 今週の一枚

胸痛で来院した症例



(投稿者 川崎)

2020-11-18

BIS vs TCI

  • BISbispectral index(バイスペクトラルインデックス,二つの波長の指標)
  • 1994年に米国のAspect Medical Systems社(現Coviden社)が開発した指標
  • 全身麻酔中の鎮静度モニターで前頭部に貼付したセンサーから導出(下図)
  • BIS値は0(平坦脳波)~100(覚醒状態)で全身麻酔中は40-60の間を維持
  • 詳細なアルゴリズムは未公開であるが脳波をデータベースと比較して算出
  • 超高齢者や小児,脳機能障害例あるいは筋弛緩薬併用時には誤差に要注意

参考)医機学 2016;86:543-8,他

Wiki

  • TCItarget control infusion(目標濃度調節静注あるいは標的濃度調節静注)
  • 薬物動態モデルから予測された血中濃度を目標にプロポフォールの量を調整
  • BISと組み合わせて全静脈麻酔(TIVA,total intravenous anesthesia)が可能
  • 予測と実測の濃度差が大きいことがあり吸入麻酔薬と比べて個人差は大きい


日本臨床麻酔学会誌 2016;36:441-7/オリジナルは総合医学社 東京 2009:140-1)

💁「麻酔」に関連した過去の投稿は コチラ
(投稿者 川崎)

2020-11-17

デイサービスとデイケア

☆ デイサービス通所介護
  • 利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう,自宅にこもりきりの利用者の孤立感の解消や心身機能の維持,家族の介護の負担軽減などを目的として実施される.
  • 利用者が施設に通い,食事や入浴などの日常生活上の支援や,生活機能向上のための機能訓練や口腔機能向上サービスなどを日帰りで受ける.
  • 生活機能向上グループ活動などの高齢者同士の交流もあり,施設は利用者の自宅から施設までの送迎も行う.デイサービスは要支援1・2の人は利用できない.

★ デイケア通所リハビリテーション
  • 利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう,リハビリテーション施設(老人保健施設・病院・診療所など)に通い,食事や入浴などの日常生活上の支援や,生活機能向上のための機能訓練や口腔機能向上サービスなどを日帰りで提供する.

参考)公表されている介護サービス(厚生労働省)

👻 つまり…
  • 上記の説明ではピンとこないかもしれませんが,デイサービスは日帰りの介護で,デイケアは日帰りのリハビリテーション
  • 利用者負担は1割(一定以上の所得者は2割または3割)で,居住地域区分(1級地~7級地、その他)によって異なるようです.

(投稿者 川崎)

2020-11-16

Löfgren syndrome レフグレン症候群

  • 関節炎と結節性紅斑,両側肺門リンパ節腫脹を三主徴とする急性サルコイドーシスの一型
  • 欧州で罹患率が高い(デンマークで20%,トルコで19.1%,ドイツで8.4%)が本邦では稀
  • 欧米186例の検討:平均37歳で女性85%,多くは無投薬やNSAIDsで1年以内に軽快している
  • 名称はスウェーデンの医師 Löfgren SH の初報に由来(Acta Med Scand 1953;145:424-31


👽 独り言
  • Löfgrenのöにはなかなか馴染めません.ラテン文字 O にウムラウト(¨)を付した文字で,ドイツ語やトルコ語,北欧などで用いられています().ウムラウト(変母音)が表示できないときは大文字は Oe、小文字は oe と代用表記することになっているようです().Löの発音はではなくてのようです.Löffler心内膜炎もフレルと読んでいます.
🉐 サルコイドーシスに関連する過去の投稿 ➜ コチラ (ウェブ版なら右欄の分類からも検索可能)

(投稿者 川崎)

2020-11-15

ハリス・ベネディックトの式
Harris-Benedict Equation (HBE)

  • 基礎エネルギー消費量(基礎代謝量)を算出するために用いられる数式
  • 必要エネルギーはその基礎代謝に活動係数やストレス係数を乗じて算出
  • 米国のHarrisとBenedictが提唱(Proc Natl Acad Sci USA 1918;4:370-3
  • 男性の計算式 ➜ 66.4730➕13.7516✖️体重➕5.0033✖️身長-6.7550✖️年齢
  • 女性の計算式 ➜ 655.0955➕9.5634✖️体重➕1.8496✖️身長-4.6756✖️年齢
  • ハリス・ベネディクトの式を用いた基礎代謝量は ココ から計算できます
  • ただし欧米人を対象とするため本邦では少し高めに算出される可能性あり
  • 日本での簡易版例:男性 ➜ 14.1✖️体重➕620/女性 ➜ 10.8✖️体重➕620

🉐 関連投稿(栄養編)

(投稿者 川崎)

2020-11-14

再登場:触ってナンボの法則

心電図異常を指摘された無症状の症例

🔗 肥大型心筋症
  • 触診では典型的な二峰性の抬起性心尖拍動であった.しかし視診や舌圧子(収縮期に左方移動)では分かりにくい.抬起性拍動は明瞭であるが,その直前にあるatrial kickはあまり伝わらない.
  • これも”触ってナンボの法則”が当てはまる.右手の第2〜3指腹を拍動部に当ててみる.ダブルインパルスは肥大型心筋症の特徴であるが,視診で明瞭に認識できる例は決して多くない(自験例).
  • 視診はわずかな色調差の認識は得意であるが,微妙な凹凸の判定は苦手である.一方,指腹は超高精度の圧センサーである.フィジカルをとるときには,視診・聴診・触診をうまく使い分けたい.

🉐 関連投稿(ダブルインパルス編)

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2020-11-13

放射線治療 vs 弁膜症

🕐 後ろ向き研究BMJ 2009;339:b4606
  • 対象は21歳未満で悪性疾患と診断され5年以上生存できた14,358症例
  • 兄弟姉妹よりも心不全,心筋梗塞,心膜疾患,弁膜症が高頻度に発生
  • 弁膜症は初診から平均20年後に238名(1.6%)に発生(同胞は0.5%)
  • 1500 cGy以上の放射線治療(特に縦隔へ)で弁膜症は有意に増加する
  • 1500-3500 cGyで発症ハザード比は3.3,3500 cGy以上でハザード比5.5
  • 放射線治療後の弁膜症は観察期間である30年後まで一貫して増加した

ホジキンリンパ腫と診断後の弁膜症の発生率(線量別)

🔍 おまけ
  • 放射線治療が弁膜症の発症と関連する正確な機序は不明ですが,動脈硬化と同様に炎症の関与が推察されているようです (J Natl Cancer Inst 2015;107:djv008).

(投稿者 川崎)

2020-11-12

スマート療法 SMART therapy

  • SMART=Symbicort Maintenance And Reliever Therapy(シムビコート®を用いた喘息治療法)
  • 同薬剤は長期管理薬(maintenance)であるが,発作治療薬(reliever)の働きも兼ね備える
  • シムビコート®=ICS(吸入ステロイド薬)+LABA(長時間作用性β2刺激薬フォルモテロール)
  • フォルモテロールは長時間作用性であるが発現時間がSABA(短時間作用性β2刺激薬)に匹敵
  • 維持療法として一日2吸入+発作治療として一日最大6吸入(一日当たり合計8吸入まで可能

スマート療法は従来のICS/LABA+発作時SABAよりも増悪率を1年間で30%減少

😅 おまけ
  • SMARTのSはSymbicort®ではなくてSingleと定義している論文も散見されます(むしろ多い? Google Scholarでは164件 vs 197件)
  • SMARTのTはTherapyなのでSMART therapyは変な用法ですがレビュー論文でも気にせず利用されています(Thorax 2010;65:747-52
  • 呼吸器領域のSABAやLABA,ICSなどの略語の確認 ➜ コチラ/当院で採用されている吸入薬の確認 ➜ コチラ(最新ではありませんが…)

(投稿者 川崎)

🎯 今週の一枚

労作時の息切れで受診した症例・左半側臥位で心尖部を記録





(投稿者 川崎)

2020-11-11

I-ROAD(アイロード)

👤 院内肺炎の重症度分類
  • Immunodeficiency 悪性腫瘍または免疫不全状態
  • Respiration SpO2 90%以下(PaO2 60 Torr 以下)
  • Orientation 意識障害あり
  • Age 男性70歳以上,女性75歳以上
  • Dehydration 乏尿または脱水

👥 市中肺炎の分類であるA-DROPとの違いは最初のIだけだよ(A-DROPでは代わりに血圧低下のP:収縮期血圧<90mmHg)


🉐 関連投稿(肺炎の重症度分類編)

(投稿者 川崎)