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2025-06-30

夢叶う2 Dreams come true 2

  • 心不全臨床では負荷を併用した頚静脈の座位定性法がとても有用です
  • 5-ステップで学ぶ無料アプリ「シンプル頚静脈」を昨年公開しました
  • 日本語版は総説やSNS,講演などで宣伝する機会がある程度ありました
  • 実は海外展開を念頭に英語版も同時にリリースしていました(コチラ
  • 今回,国際誌にアプリが掲載されました(ESC Heart Fail 2025 May 27

😎 舞台裏
  • はじめに米国の雑誌に投稿しましたが,あっさりreject.でもこれは想定内でした.(内容はともかく)アプリの掲載はとてもリスクがあるからです(スパムを組み込むことも技術的に可能).今回の雑誌にも期待せずに投稿しました.3日後に返事があったので「やっぱりダメだな」と思っていたら,ともて高評価.実際にその1週間後(投稿10日後)に出版されました.
  • 本邦の心不全ガイドライン(2025.3更新)への収載が一つ目「夢叶う Dreams come true」で,今回の海外展開が二つ目の「夢叶う Dreams come true」です.そしていつか,海外のガイドライン収載へ…これは三つ目の「夢叶う Dreams come true」になるでしょうか😃

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2025-06-29

心不全治療:先日のランチョンセミナーから

演者は飯塚病院 循環器内科の松川龍一先生です.2024年10月にメディカ出版から刊行された「ねころんで読める心不全」の著者としてご存じの方も多いかを思います.なお下記の記載に関して投稿者の聞き違いがあればすいません.(資料提供のS氏にも感謝)

💕 2025心不全ガイドラインの改定ポイント
  • ベルイシグアト:EF<45%でクラスⅡa
  • フィネレノン:HFrEFでクラスⅠ,HFmrEFとHFpEFでクラスⅡa
  • サイアザイド系利尿薬:クラスⅠからⅡaにダウン(トルバプタンと同じクラス)

💓 クラスⅡaの薬剤をうまく使う
  • イバブラジン:EFが低く心拍数が早い場合に投与.血圧が上がることでARNIを導入しやすくなる.sCGを直接指摘することでcGMPを活性化
  • ベルイシグアト:血圧が低い場合ACE阻害薬と組み合わせて仮想ARNI.血圧も下げにくく,腎機能も関係なく使える.早期からPCWPを下げる報告もあり,症状改善にも寄与

💘 第5の矢をどう使っていくか
  • Fantastic Fourに加える:心不全入院の既往が一度でもあれば,安定していてもベルイシグアトの追加を検討
  • 血圧が低くてARNIが入れられない場合:少量のACE阻害薬+ベルイシグアトの作用機序でARNIに迫る
  • 心拍数が低い場合:β遮断薬やイバブラジンが入れられない場合にベルイシグアトの追加を考慮
  • 心拍数が高い場合:イバブラジンの追加を検討

💁 心不全治療に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2025-06-28

「来院時NEWSは…」

  • 一般病棟での容態急変(つまり集中治療の必要性)を予測する世界標準指標の一つ
  • National Early Warning Scoreの略で2012年に英国で開発された(London: RCP, 2012
  • 呼吸数,酸素飽和度,酸素療法,体温,収縮期血圧,心拍数,意識レベルの7項目
  • 合計0~4点=低リスク,5~6点またはred score 1つ=中リスク,7点以上=高リスク
  • 5点以上ではpreventable deathを減らすため院内専門家に迅速に相談することが推奨


(投稿者 川崎)

2025-06-27

「とりあえず吸気負荷」

久しぶりに外来を受診した心不全例(座位)

🐤 解説
  • 息遣いが荒く頚部拍動の有無は判定難
  • 吸気で鎖骨上窩に明瞭な拍動(矢印)
  • 本例はHFrEFで怠薬後に息切れを自覚
  • その後の精査で心不全増悪を確認した
🐣 独り言
  • 負荷を併用した頚静脈の座位定性法(シンプル頚静脈)では,安静時に拍動を認めれば負荷を追加する必要はありません.ただし本例のように頚静脈の拍動なのか呼吸に伴う変化なのか分からない症例を時々経験します.そのようなときには「とりあえず負荷をかけてみる」のがいいと思います.特に吸気負荷なら手間もかからず,負荷に対するリスクもほとんどありません.

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(投稿者 川崎)

2025-06-26

今週の一枚 🎯

胸やけが持続する症例茶は来院時緑は数年前



(投稿者 川崎)

2025-06-25

レボドパチャレンジテスト Levodopa challenge test

  • パーキンソン病(PD)の診断確定が必要な場合に考慮される薬剤の試験
  • PDは(特に初期段階の)診断が難しく確定できる検査や血液検査はない
  • PDの主な特徴の一つは黒質緻密部と呼ばれる脳領域のニューロンの減少
  • これらのニューロンは神経伝達物質であるドーパミンを産生・放出する
  • レボドパはドーパミンに変換される(現在でもPD治療で最も効果的な薬)

👯 具体例(統一された方法は未確立)
  • 12時間~服用しないオフ時にレボドパ(ドパストン注)の1回量の1.5~2倍(最大300mg)を静脈内投与
  • 1時間観察し被験者が最も効果が出たと感じた段階でUPDRS運動スコアで判定(30%以上の改善で有効と判定)
  • 客観的な評価をするためオフ時とオン時をビデオで記録して両者を比較することが重要である(そうです📷)


(投稿者 川崎)

2025-06-24

UPDRS 統一パーキンソン病評価尺度

Unified Parkinson's disease rating scaleの略で以下の6セクションから成る

  1. パートI ➜ 精神状態、行動、気分の評価
  2. パートII ➜ 発話、嚥下、筆記、着衣、衛生、転倒、唾液分泌、寝返り、歩行、食物カットを含む日常生活動作(ADL)の自己評価
  3. パートIII ➜ 臨床医によるモニタリング運動評価
  4. パートIV ➜ 治療の合併症
  5. パートV ➜ パーキンソン病の重症度に関するHoehnとYahrの分類
  6. パートVI ➜ SchwabとEnglandのADLスケール
※判定の目安: 軽度:0〜86点 中等度:87〜173点 重度:174点以上

💫 実際の確認シートは コチラ からどうぞ
💁 パーキンソンに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2025-06-23

フィジカルクイズ(No. 9 & 10)

  • 循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.
  • 2025年4月から毎週金曜日に循環器に関するフィジカルクイズを2題ずつX(旧Twitter)で発信しているので,よろしければフォローしてみてください(@PhysicalExamin1).こちらにも2週分ずつまとめてアップします.



👻「フィジカルクイズ」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

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(投稿者 川崎)

2025-06-22

パテラ Patella

  • 英語で膝蓋骨を意味し,発音はパラ(pəˈtel.ə/音声).世間ではペット犬の膝蓋骨脱臼として使用されています.整形外科の先生に尋ねたら,ヒトの膝蓋骨脱臼をパテラと呼ぶことはないと言われました. 
  • パテラになった犬には次のような症状が出現するようです ➜ スキップしたり跳ねたりする,脚を引きずる,起き上がらない,動きが硬くぎこちない,ひざを外側に向けて座る(参考:KINS WITH動物病院

🐶 分類
  • 膝蓋骨内方脱臼:子犬に多く遺伝的な要因あり
  • 膝蓋骨外方脱臼:大型犬に多く骨格異常と関連
  • 外傷による脱臼:転倒や事故に関連して生じる

🐕 重症度
  • グレードⅠ:用手的に外したり戻せる状態で症状には乏しい
  • グレードⅡ:脱臼と整復を繰返す状態で痛みを伴うことあり
  • グレードⅢ:常に外れていて(戻せる)歩き方に支障が出る
  • グレードⅣ:常に外れていて(戻せず)歩行に異常をきたす

🐾 対応
  • 予防:床材調整,体重管理,適度の運動,爪管理など
  • 内科:サポーター,サプリメント,消炎鎮痛薬など
  • 外科:滑車溝造溝術,脛骨粗面転移術,骨切り術など

超小型および小型犬種における膝蓋骨内方脱臼の発生率

💁 膝蓋骨に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2025-06-21

前心不全に対する心保護薬

腫瘍内科から「前心不全に対する心保護薬」について相談を受ける機会が増加してきました.癌治療の進歩にエビデンスが追い付いていない領域ですが,ガイドラインの関連記載をアップしておきます.

📗 日本臨床腫瘍学会 Oncocardiology ガイドライン - 総説

📙 日本循環器学会/日本心不全学会 心不全診療ガイドライン

💁 化学療法に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)